eぶらあぼ 2024.11月号
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第726回 定期演奏会 11/9(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jpミューザ川崎シンフォニーホール & 東京交響楽団 名曲全集 第201回11/10(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 https://www.kawasaki-sym-hall.jp50樫本大進〈プレミアム室内楽シリーズ〉vol.3樫本大進(ヴァイオリン) & ラファウ・ブレハッチ(ピアノ) デュオ・リサイタル興趣溢れる奇跡のデュオが実現 樫本大進の深化は止むことがない。最前線のソリストだった彼は、2010年ベルリン・フィルの第1コンサートマスターに就任後もソロや室内楽を継続。持ち前の高度な技巧と美音を生かした音楽に、細かなニュアンスや豊かな陰影を加え、世界最高峰楽団での経験を深化に結び付けている。23、24年には日本で「プレミアム室内楽シリーズ」のvol.1と2を開催。フランスの名ピアニスト、ル・サージュと共に、ブラームスとシューマンの全ソナタを披露し、聴く者を唸らせた。そして彼は今回同シリーズのvol.3を行い、ラファウ・ブレハッチと多様なソナタ主体のプログラムを聴かせる。 ヴァイオリンのリサイタルにおけるピアニストの影響力は極めて大きい。樫本も、ル・サージュのほか、リフシッツ、バックス、ゲルシュタイン、小菅優といった名ソリストたちとデュオを組み、各々の特性が生きるレパートリーで魅了してきた。その点で、今回のブレハッいた。本作にはそんな異国趣味が存分に発揮されている。 さらにスイスの作曲家ミカエル・ジャレルのクラリネット協奏曲「Passages」の日本初演が続く。オーケストラが描き出す宇宙空間のような広がりの中を、クラリネットがスリリングに遊泳しチとの共演は実に興味深い。2005年のショパン・コンクール優勝以来、世界的に活躍するブレハッチは、こうした著名コンクールの覇者には珍しく、親密さや温かさを湛えた内省的な音楽を奏でる印象がある。つまり、樫本がこれまで共演した才色溢れる面々とはややタイプが違う。そこに本コラボで創造される音楽への楽しみがある。 モーツァルト、ベートーヴェン、フランク、ドビュッシー、武満徹による広範な名作が並んだ「美しく、心が踊るプログラム」(樫本)は、まさしく彼が言う12/14(土)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール12/19(木)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp他公演12/11(水) 札幌コンサートホール Kitara(道新プレイガイド0570-00-3871)12/15(日) 所沢市民文化センター ミューズ アークホール(04-2998-7777)12/17(火) 水戸市民会館 グロービズホール(水戸芸術館チケット予約センター029-231-8000)12/20(金) 愛知県芸術劇場 コンサートホール(中京テレビクリエイション052-588-4477)12/21(土) 兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255)ジョナサン・ノット ©N.Ikegami中島郁子青山 貴マルティン・フレスト ©Sony Music Entertainmentていく。独奏のマルティン・フレストはクラリネット界のスター奏者で、近年は指揮でも才能を発揮している。昨年10月にノットが同じく音楽監督を務めるスイス・ロマンド管と本作を世界初演しており、今回はさらに洗練された演奏を聴かせてくれるだろう。樫本大進 ©Keita Osada(Ossa Mondo A&D)ラファウ・ブレハッチ ©Christoph Köstlin「宝物といえる作品の再発見」が期待される内容。その成果が待ち遠しい。文:江藤光紀文:柴田克彦ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団デュリュフレが到達した美の極み 東響11月定期は音楽監督のジョナサン・ノットがフランスものを中心とするプログラムを取り上げる。メインはモーリス・デュリュフレの「レクイエム」だ。オルガニストとしても活躍したデュリュフレは第二次大戦終戦の後、同じくオルガニストだったフォーレの「レクイエム」を範にして本作に取り掛かった。グレゴリオ聖歌を引用しながらハイセンスな和声や効果的なオーケストレーションを施すことで、フォーレ以降のこのジャンルの最美の作と言うべき仕上がりとなった。東響と東響コーラスは18年前に本作をレコーディングしているが、今回はノットと共に更なる高みを目指す。中島郁子(メゾソプラノ)、青山貴(バリトン)と独唱陣も強力だ。 プログラム前半はノットらしい趣向を凝らしたエキゾティックな冒険が楽しめそうだ。まずはラヴェルの「スペイン狂詩曲」。ラヴェルの母親はスペインのバスク地方の出身で、彼自身も母親を通じてスペイン民謡に親しんで

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