eぶらあぼ 2024.11月号
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第2025回 定期公演 Aプログラム11/30(土)18:00、12/1(日)14:00 NHKホール第2027回 定期公演 Cプログラム12/13(金)19:00、12/14(土)14:00 NHKホール問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp49品だ。ルイージ持ち前のカンタービレを交えた鮮烈な官能美に期待したい。 Cプログラムでは、ゲーテの戯曲にインスパイアされたリスト作品をフィーチャー。交響詩「タッソー」はヴェネツィアの船頭の歌を主題に、悲劇から勝利までを描く。後半は、終楽章後半にテらせたものだ。そのステージに、なんと佐渡裕が特別参加。指揮者ならぬナレーターとして、モーツァルト最晩年を飾る歌劇の世界を自ら監修した台本で語り尽くしてくれる。 プログラムの前半は、まず同じモーツァルトが25歳で書き上げたオーボエ12/5(木)19:00 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/他公演12/4(水) 鶴岡、12/6(金) 河口湖、12/8(日) 松戸、12/9(月) 足利、12/10(火) 堺左より:ファビオ・ルイージ ©NHKSO/クリスティアーネ・カルク ©Gisela Schenker/ジェームズ・マッコークルノール独唱(ジェームズ・マッコークル)と男声合唱(東京オペラシンガーズ)が加わる「ファウスト交響曲」が登場。ルイージの本領発揮といえる大曲だ。旋律を心地よく歌わせつつも、巧みな響きの構築で圧倒させてくれること間違いない。フィルハーモニー・オーボエ・カルテット ©Hermann Bredhorst佐渡 裕 ©Peter Rigaud c/o Shotview Artists四重奏曲。青春の輝きと哀しみの両方を刻印した名作である。そしてハルトマンがコールアングレに持ち替えて吹くフランセの四重奏曲(1971)には、「こんなにお洒落な曲があったのか!」と驚くこと必至。管楽器ファンならずとも注目のコンサートだ。文:鈴木淳史ファビオ・ルイージ(指揮) NHK交響楽団後期ロマン派の爛熱とリストを魅了した物語 12月のNHK交響楽団は、首席指揮者ファビオ・ルイージが9月に続いて登場。NHKホールで行われる2つの定期公演では、それぞれシェーンベルクとリストに焦点を当てた意欲的なプログラムを披露する。 Aプログラムは、「シェーンベルク生誕150年」と銘打ち、シェーンベルクが新しい音楽技法に至った背景を浮かび上がらせる趣向だ。まず、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》から「前奏曲と愛の死」で、調性が曖昧になっていく様子を描く。それに続くのは、オペラとリートの両輪で活躍中のクリスティアーネ・カルクを迎えてのリヒャルト・シュトラウスの歌曲集。熟れに熟れたロマンティシズムを香り立たせてくれよう。 そして、シェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」。後期ロマン派のサウンドをベースとしながらも、作曲家の新しい挑戦をふんだんに盛り込んだ作フィルハーモニー・オーボエ・カルテット with 佐渡 裕(ナレーター)ベルリン・フィルの名手たちがマエストロの語りとともにひらく《魔笛》の世界文:木幡一誠 フィルハーモニー・オーボエ・カルテットの結成は2016年。ベルリン・フィルのオーボエ奏者クリストフ・ハルトマンが1999年から主宰するドイツのランツベルク音楽祭で、モーツァルトの《魔笛》のオーボエ四重奏版を取り上げたのがきっかけだった。 弦楽器の3人はいずれもハルトマンの盟友。彼が同音楽祭の発足を機にスタートさせたアンサンブル・ベルリンの創設メンバーにあたる、チェロ奏者クレメンス・ヴァイゲル。そしてベルリン・フィルの同僚からはヴァイオリンのルイス・フィリペ・コエーリョと、ヴィオラのワルター・ケスナー。旧知の間柄にして音楽的視野を共有する、室内楽には理想の顔ぶれといってよい。 彼らの抱く使命感のひとつが、埋もれていた作品に光をあてること。今回も取り上げる《魔笛》は、モーツァルトと同時代のオーボエ奏者フランツ・ヨーゼフ・ロシナックによる、ドナウエッシンゲン宮廷図書館所蔵の編曲譜を現代に蘇

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