eぶらあぼ 2024.11月号
51/145

〜N響メンバーによる室内楽シリーズ〜N響チェンバー・ソロイスツ 第7回 金管五重奏の煌めく響き12/12(木)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp第552回日経ミューズサロン マリオ・ヘリング ピアノ・リサイタル大胆かつ繊細に――リーズ2位の俊英が導く愉悦の時 繰り出す音の一つひとつに生命力を与え、深みある音楽を聴かせるピアニスト、マリオ・ヘリング。巨匠バドゥラ=スコダが絶賛したその才能により、リーズ国際ピアノコンクール第2位をはじめ、数々のコンクールで優勝・入賞を重ねてきた。ヴァイオリニストの両親は、父がドイツ人で母は日本人。ハノーファーで生まれベルリンで育ったヘリングは、今年35歳。これまでに独奏はもちろん、室内楽やオーケストラの弾き振りなど数々のステージで聴衆を湧かせ、録音のリリースにも積極的だ。11/25(月)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227https://art.nikkei.com48Interview長谷川智之(トランペット)よく響くホールでこそ味わえる華麗な金管サウンド N響の気鋭メンバーによるHakuju ので、この会場でバロックを披露したHallの室内楽シリーズ「N響チェンいと考えました。そして後半は、金管バー・ソロイスツ」の第7回「金管五重らしさが際立つプログラム。厳かな感奏の煌めく響き」が12月に開催されじから賑やかな感じに一変します」る。その中心的存在が首席トランペッ 前半各曲は「金管の効果が生きる」ト奏者の長谷川智之。このシリーズアレンジもの。 「冒頭の『シバの女王の入城』は金管初の金管アンサンブル公演には、長谷の定番曲、ヴィヴァルディの協奏曲ヘ川の他、山本英司(トランペット)、今井長調は、5楽器の声部が際立つ合奏協仁志(ホルン)、古賀光(トロンボーン)、奏曲的な音楽です。バッハの『パル池田幸広(チューバ)と首席級が居並ティータ』第2番の〈シンフォニア〉は鍵ぶ豪華な五重奏団が出演する。 「彼らは日頃から組む機会が多いメン盤楽器用の作品で、教会的な雰囲気もバー。個々が卓越した達人で、全員があります。そして二人が合体したヴィソリスティックな要素を持って対等にヴァルディ=バッハの協奏曲ハ短調は、『調和の霊感』第11番に基づく作品。アピールできます。それに同じ楽団なぜひやりたいと思った聴き応えのあるらではのサウンド・イメージの共有も強1曲です。これらは、各声部が均等にみで、質量多め、重心低めのサウンドが配分されているので、全楽器発声体が特徴的。加えて多様なレパートリーに同じ金管に置き換えると魅力が発揮さ対応する柔軟性も備わっています。たれます」だしオケをそのまま小型化せずに、室 後半は近代の作品。内楽的な軽さや繊細さを追求したいと 「アーノルドの金管五重奏曲は大定思っています」番。技巧的難度は高いのですが、金 プログラムは前後半が対照的だ。 「前半はオール・バロックです。当時管を生かしたモティーフが連なり、造の主力だった教会のパイプ・オルガンりに全く無駄のない名曲です。最後のは、金属の管を振動させる点で金管『ポーギーとベス』はエンパイア・ブラ楽器と同じ。従ってバロック的な音楽は金管とマッチします。また以前当シリーズでマーラーの交響曲第10番(室内オーケストラ版)を演奏した際、残響が多い豊かな響きのホールだと感じた そんなヘリングが「恍惚の音楽」をテーマに「日経ミューズサロン」に登場する。ドビュッシー「喜びの島」やワーグナー=リスト「イゾルデの愛の死」といった魅惑的な作品のほか、ベートーヴェンの瑞々しい初期のソナタ第6番もプログラミング。また、生彩に富んだ演奏を聴かせる石上真由子とのデュオで、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」も披露する。熱量の高いステージとなりそうだ。左:マリオ・ヘリング ©Zuzanna Specjal 右:石上真由子スのためのアレンジ。有名曲を多く含む20分ほどの作品です。全体に華やかで、黒人霊歌がジャズに発展していく過程のスイング的な要素もありますし、洗練されたアレンジなので楽しんでいただけると思います」 長谷川が「楽に響くホールゆえに、無理なく演奏してニュアンスを伝えたい」と語る本公演。金管愛好家にも未知の方にもフレッシュな体験が待っている。取材・文:柴田克彦文:飯田有抄

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る