eぶらあぼ 2024.11月号
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12/14(土)、12/22(日)各日14:00 東京オペラシティ コンサートホール12/15(日)14:00 横浜みなとみらいホール12/17(火)、12/18(水)各日19:00 サントリーホール12/19(木)19:00 大阪/フェスティバルホール12/24(火)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp12/13(金)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp46 今年も多数の年末「第九」が開催される。中でも注目したいのが読響の公演だ。理由は、毎年異なる世界的指揮者が登場し、各々の個性を生かした名演を聴かせてくれる点、そして機能性抜群の管弦楽と豪華な声楽陣にある。 今回の指揮者はフランチェスコ・アンジェリコ。1977年イタリア生まれの彼は、チロル響等のポストを歴任後、ドイツのカッセル歌劇場の音楽総監督を務め、バイエルン国立歌劇場やゲヴァントハウス管等に客演している。特にオペラに強く、カッセルでは《ニーベルングの指環》をはじめとする幅広いレパートリーで高い評価を得ている。つまり、イタリア人特有の“歌わせる”力とドイツ流の堅牢で重厚なテイストを 左より:フランチェスコ・アンジェリコ ©Giancarlo Pradelli/中村恵理/清水華澄 ©Mariko Tagashira/ダヴィデ・ジュスティ ©Laura Broccolo/エギルス・シリンス ©Jānis Deinats/新国立劇場合唱団 ©読響ゾソプラノ)、輝かしい声で欧州の観客を魅了するダヴィデ・ジュスティ(テノール)、バイロイト音楽祭など世界の檜舞台で活躍中のエギルス・シリンス(バス)と、年末「第九」の中でも際立つ。合唱も近年種々のコンサートで高度な歌唱を披露している新国立劇場合唱団ゆえに、すべてが磐石の態勢。ここは、最高の布陣で不朽の名作を堪能し、平和へのメッセージと新年への希望を噛み締めたい。併せ持ち、しかもドラマを構築する能力に長けている。これらはまさに「第九」の性格にピッタリだし、読響「第九」は2021年の出演がコロナ禍で叶わなかっただけに、今回は満を持しての舞台となる。ならば当然ドラマティックかつパッショネイトで感動に満ちた「第九」が期待される。 ソリストは、欧州のトップ歌劇場に出演を続ける中村恵理(ソプラノ)、読響との名演奏も多い実力者・清水華澄(メロマン・シモヴィッチプログラムは、ストラヴィンスキーの「イタリア組曲」で始まる。バレエ「プルチネルラ」からの編曲による新古典主義の作品を彼らは明確な縁取りで描いてくれよう。続くベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」では、その激しいやり取りに、彼らの鋭い個性もくっきりと浮かび上がるに違いない。アンドレイ・ググニン ©Anna Shlykova 後半のプログラムに、リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタをもってくるというのも挑戦的だ。伝統的な形式のなかに、華やかなロマン派情緒をたたえた作品。テクニックはもちろんのこと、ロマンティシズムと構成力をも兼ね備えた2人による鮮やかなパフォーマンスが期待できそうだ。文:柴田克彦文:鈴木淳史フランチェスコ・アンジェリコ(指揮) 読売日本交響楽団 「第九」最高の布陣による重厚かつ情熱的な“歓喜の歌”ロマン・シモヴィッチ(ヴァイオリン) & アンドレイ・ググニン(ピアノ)ラトルが信頼を置くロンドン響コンマスの妙技を聴く ロンドン交響楽団のコンサートマスターを長年務めているロマン・シモヴィッチによる、日本初となるリサイタルだ。このサイモン・ラトルの信頼も厚いヴァイオリニストは、モンテネグロに生まれ、モスクワ音楽院で学び、さまざまな国際コンクールで名を上げた。パガニーニ「24の奇想曲」全曲録音では、その高度なテクニックに加え、精緻にして大胆な音楽性がほとばしっている。 そんな逸材と共演するピアニストは、アンドレイ・ググニン。ロシアがウクライナに侵攻した当日、モスクワから海外公演に旅立ち、その日から一度も帰国していない彼は、日本でもたびたび演奏を行っており、その濃密なピアニズムに触れた人も少なくないはず。ハイペリオン・レーベルを代表するピアニストとして、ゴドフスキーなどの難曲にも挑んでいる。 実力派の2人による王子ホールでの

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