eぶらあぼ 2024.11月号
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2月の見もの・聴きもの■■■■■■〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場◎2月1、4、7、10日 モーツァルト:魔笛[25年1月プレミエ] 指/F.ウェルザー=メスト、演出/B.ホラコヴァ、出/G.ツェッペンフェルト、J.プレガルディエン2月2、5、8、11日 ヴェルディ:イル・トロヴァトーレ 指/P.G.モランディ、演出/D.アバド、出/A.ルチンスキ、M.アグレスタ、C.マルゲーヌ、V.グリゴーロ、I.カザコフ2月3日 プッチーニ:ラ・ボエーム 指/L.パッセリーニ、演出/F.ゼッフィレッリ、出/L.アヴェティシアン、A.ペレス◎2月9、12、15、17日 プッチーニ:トスカ 指/P.G.モランディ、演出/M.ヴァルマン、出/S.ヨンチェヴァ、P.ベチャワ2月13、16、20、23日 ベートーヴェン:フィデリオ 指/A.コーバー、演出/O.シェンク、出/P.ケルナー、B.ターフェル、M.スパイアーズ、G.ツェッペンフェルト2月14、18、21日 ロッシーニ:セビリアの理髪師 指/D.マテウス、演出/H.フリッチュ、出/E.ロチャ、P.ボルドーニャ★◎2月22日 ベッリーニ:ノルマ[プレミエ]指/M.マリオッティ、演出/C.テステ、出/J.D.フローレス、I.ダルカンジェロ、F.ロンバルディ、V.ベルザンスカヤ、尼子広志2月27日 〔第67回ウィーン・オーパンバル(オペラ舞踏会)〕ウィーン・フォルクスオーパー2月1(19:00)、7(19:00)、11(19:00)、14(19:00)、20(19:00)、28(19:00)日 プッチーニ:つばめ 演出/L.デ・ベア2月3(19:00)日 F.ロウ:マイ・フェア・レディ(ミュージカル) 演出/R.ヘルツル2月4(19:00)日 ベナツキー:白馬亭にて[24年12月プレミエ] 演出/J.P.グローゲル2月6(19:00)、16(17:00)、21(19:00)日  今年も、毎年恒例の独OPERNWELT誌の年間最優秀賞(2022/23シーズン)が発表になっている。主要な受賞は、オペラハウスがまたもやフランクフルト歌劇場、女声歌手がアスミク・グリゴリアン、演出家がリディア・シュタイアーといったところだが、同誌のホームページでは全体の一部分しか閲覧できないので、本誌入手後の来月の本欄でさらに補足したい。 なお、最初にお断りだが、今月の本文中に「メトロポリタン歌劇場」の掲載がないのは、もともと2月にオペラ公演がないためで、ミスによる欠落ではない。ご了解のほどお願いしたい。 さて、例年2月は現代音楽関係のコンサート、オペラが目立つ。例えば、フランス国立管やフランス国立放送フィルが参加する「フェスティバル・プレザンス2025」とか、SWR響の参加する「ECLAT現代音楽フェスティバル」。もちろん、2月に限らないケルンWDR響の「ムジーク・デア・ツァイト」などの通常企画もある。 その観点でオペラを眺めると、英国ロイヤル・オペラで世界初演される、マーク=アンソニー・ターネジ作曲の「フェステン」がまずは注目の現代作品。彼はこの作品について「ぶらあぼ」のインタビューで、「来年(2025年)、ロイヤル・オペラで新しいオペラを発表するが、それはデンマークの映画『セレブレーション』(原題:Festen)に基づいたもので、児童虐待や132オッフェンバック:地獄のオルフェ(天国と地獄)演出/スパイモンキー、A.バサウリ、T.パーク2月9(17:00)、13(19:00)、15(19:00)、22(19:00)、27(19:00)日 J.ハーマン:ラ・カージュ・オ・フォール(ミュージカル) 演出/M.キング2月12(19:00)、17(19:00)、23(17:00)日J.ボック:アナテフカ(ミュージカル) 演出/M.ダヴィッズ2月16(11:00)、23(11:00)日 J.アロウアス:ボタン戦争[24年11月プレミエ] 演出/J.アロウアス2月25(20:00)日 Ein bisschen trallalala(F.マサリーとM.パレンベルクへのオマージュ)演出/M.グレートラーアン・デア・ウィーン劇場〔注〕2022年より継続していた改修工事が終了し、2024/25シーズンは本来の劇場で公演が行われます。◎2月16(19:00)、19(19:00)、23(19:00)、26(19:00)日 ベッリーニ:ノルマ 指/F.ランツィロッタ、演出/V.バルハトフ、出/A.グリゴリアン、A.アクメチーナ、F.デ・トマーゾ、T.ナズミ、V.レシュケヴィチ、演奏/ウィーン響◎2月28(19:00)日 D.テラデーリャス:メローペ(演奏会形式) 指/F.コルティ、出/E.バラート、V.コンタルド、P=A.ベノス=ディアン、P.F.ヴィターレ、イム・スンヘ、M.M.サーラ、M.ニューリン、演奏/ベルリン古楽アカデミーウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(SZG)=祝祭大劇場(ザルツブルク)、(GRZ)=ムジークフェライン・フュア・シュタイアーマルクト(グラーツ)、(MIL)=スカラ座(ミラノ)、(NY)=カーネギー・ホール(ニューヨーク)]◎2月1(19:30)(SZG)日 O.リーニフ指揮 人種差別という重たいテーマを扱ったオペラ」であることを公表していた(https://ebravo.jp/archives/162948 参照)。 もう一つ、現代オペラというわけではないが、2月には過酷な歴史を背負ったオペラがフランクフルト歌劇場で上演される。作品はフランス人作曲家マニャールによる「ゲルクール」。マニャールの住居は第1次世界大戦の際にドイツ兵により火を放たれ、マニャール自身もそのために焼死してしまう。しかも、この作品の譜面の一部も同時に焼失してしまうという悲劇の連鎖に見舞われる。だが驚いたことに、後年、ジョゼフ=ギィ・ロパルツという作曲家が、消失した部分を何と自分が聴いた記憶から再構成して、1931年に再上演にこぎ着ける。全く驚くべきエピソードだ。 さて、こうした特別なオペラ以外にも、2月には、R.シュトラウス「ダナエの愛」(バイエルン州立歌劇場)、ワーグナー「ワルキューレ」(ミラノ・スカラ座。ティーレマンが降板した後の指揮者は原稿執筆時点で未定)、ファリャ「はかない人生」(テアトロ・レアル)、ヘンデル「オルランド」(パリ・シャトレ座)、ヘンデル「セメレ」(シャンゼリゼ劇場)、リュリ「ペルセ」(同)などの注目公演がある。また、今シーズンでハンブルク州立歌劇場の音楽監督を退任するケント・ナガノの同劇場でのオペラ公演もできるだけ聴いておきたい。2月はR.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」、オッフェンバック「ホフマン物語」が上演される。古楽系では、ベルリン古楽アカデミーが演奏を担当するテラデーリャスの「メローペ」という珍しい作品も要注目。 ところで、冒頭に紹介したアスミク・グリゴリアンが2月に登場するのはアン・デア・ウィーン劇場でのベッリーニ「ノルマ」。同じ作品がウィーン国立歌劇場でも上演されるが、こちらは、フローレスの出来次第だろうか。なお、あまり話題にならないが、ベルリン・ドイツ・オペラのR.シュトラウス「影のない女」でバラクの妻を歌うキャサリン・フォスターも、今絶好調のベテラン・ソプラノだ。 オーケストラでは、セクハラ疑惑で苦境に陥っている指揮者のロトが、果たしてベルリン・フィルとバイエルン放送響に予定通り出演できるかどうかが個人的には大注目。復活が叶うなら、是非どちらかのオケで聴いてみたい。大御所ムーティの振るウィーン・フィル、ラトルの振るバイエルン放送響、サヴァールの振るル・コンセール・デ・ナシオン(ウィーンのコンツェルトハウス)などは定番の注目公演。最近、ベートーヴェンの交響曲をリストによるピアノ編曲版でよく取り上げるレヴィットのピアノも要注目だ(ケルンのフィルハーモニー、フランクフルトのアルテオーパーなど)。(曽雌裕一・そしひろかず) (コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演曽雌裕一 編→ 〔ザルツブルク・モーツァルト週間〕参照◎2月13(15:30)(公開リハーサル)、14(19:30)(GRZ)、15(15:30)、16(11:00)、18(19:30)、25(20:00)(MIL)、28(20:00)(NY)日R.ムーティ指揮 シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」、ブルックナー:交響曲第7番◎2月22(15:30)、23(11:00)日 R.ムーティ指揮 カタラーニ:コンテンプラツィオーネ、ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント(妖精の口づけ〜組曲)、シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレイト」ウィーン響[会場:(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)](主要公演のみ/アン・デア・ウィーン劇場でのオペラ公演は同劇場を参照)2月13(19:30)(KH)日 A.グレーテルス指揮 E.エシェンヴァルドス:雲、R.シュトラウス:ブルレスケ、シベリウス:交響曲第2番 独/R.ブッフビンダーp2月14(19:00)(KH)日 A.グレーテルス指揮(フライデーズ@7) R.シュトラウス:ブルレスケ、シベリウス:交響曲第2番、他 独/R.ブッフビンダーp2月20(19:30)(MV)、21(19:30)(MV)日R.ティチアーティ指揮 シェーンベルク:ナポレオンへの頌歌、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、交響曲第3番「英雄」 独/K.ゲルシュタインp、語り/C.オボニアムジークフェライン[楽友協会]大ホール[ウィーン](主要公演のみ)2月5(20:00)、6(20:00)、7(20:00)、8(20:00)、12(20:00)日 ディー・シュロス・カペレ ハイドン:交響曲第81番、モーツァルト:交響曲第40番、ヴィヴァルディ:四季 独/F.キルヒャーvn◎2月13(15:30)(公開リハーサル)、15(15:2025年2月の

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