eぶらあぼ 2024.11月号
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田中淑惠(メゾソプラノ) 129藤岡幸夫プロデュース弦楽四重奏団The 4 Players Tokyo11/1(金)19:00 杉並公会堂ロータス・カルテット & ターリヒ・カルテット メンデルスゾーン・プロジェクト11/10(日)14:00 東京文化会館(小)オーケストラ・プロジェクト 2024 全曲初演11/27(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール1979年以来国内作曲家の貴重な新作発表の場を担ってきた「オーケストラ・プロジェクト」。今回は「直感とイマジネーション—AIと作曲家の現在」と題し、森上野耕平 垣桂一、松波匠太©Yuji Ueno郎、山内雅弘、今堀拓也の新作が初演される。最前線の作曲家たちが現代とどう対峙しているのかを目の当たりにする貴重な公演だ。大井剛史率いる東京フィルの演奏で、サクソフォン奏者の上野耕平を迎える布陣からしてすでに興味深い。文:近松博郎BSテレ東の音楽番組『エンター・ザ・ミュージック』から生まれたカルテット、The 4 Players Tokyoによる公演。メンバーの戸澤哲夫、遠藤香奈子、中村洋乃理、藤岡幸夫 ©Shin 矢口里菜子はいずYamagishiれも国内のプロ・オーケストラ所属の名手たち。ベートーヴェンの本格的な名作から、映画、アニメ、クラシックとジャンルを超えて活躍する和田薫の現代作品までを一度に楽しめる好企画だ。指揮者・藤岡幸夫の司会/トークにも注目。2022年に結成30周年を迎えた日本発祥のロータス・カルテットはドイツ・シュトゥットガルトを拠点として国際的に活躍。ヨーロッパの名だたる四重奏団から薫陶を受け、カルテットの伝統を継承してきた。今年創立60周年となるターリヒ・カルテットはチェコを代表する名門四重奏団。彼らによる渾身のメンデルスゾーン特集だ。日本に居ながらにしてここまでカルテットの神髄に迫る演奏会を聴ける機会は滅多にない。The 4 Players Tokyo ©hiro.photo大井剛史 ©Ayane Shindoロータス・カルテットターリヒ・カルテットメゾソプラノ歌手、田中淑惠によるリサイタル。日本人の低声の魅力に気付いた作曲家たちによる低声用曲集の名曲を厳選したという。成田為三〈浜辺の歌〉や山田耕筰〈かやの木山の〉など、懐かしくもなじみ深い作品群だ。他にシューベルトの〈野ばら〉やビゼー、サン=サーンスのオペラまでレパートリーの広さを示す。1980年ミュンヘン国際音楽コンクールの覇者となった田中の円熟の声に聴き入りたい。本邦初の国際的オペラ歌手・三浦環(1884~1946)。彼女が死の直前に自らの訳で歌ったシューベルト「冬の旅」の録音と、訳詞が掲載されたプログラムが近年発見三浦 環 された。本公演はこ©Makiko Hayasakaの伝説的演奏を現代に甦らせる大変意欲的な企画だ。ソプラノの小林沙羅、ピアノの河野紘子といった実力者を揃え、語り役として吉田孝が加わる。近代日本の音楽発展に絶大な貢献を果たした不世出の歌手の人生に改めて思いを馳せたい。ガブリエル・フォーレ歿後百年記念井上二葉(ピアノ) 演奏会11/4(月・休)14:00 広島/エリザベト音楽大学セシリアホール 11/12(火)19:00 王子ホールオーストラリア生まれの井上二葉は東京音楽学校(現東京藝術大学)で安川加壽子に師事し、渡仏後にラザール・レヴィ、ヴラド・ペルルミュテールに学んだフランス音楽の第一人者だ。その彼女によるフォーレ没後百年記念の演奏会。夜想曲、舟歌、即興曲などの独奏曲のほか、熟練のフルート奏者・工藤重典を迎えて各種ソロ楽器とピアノのための作品も披露する。深まる秋に聴くいぶし銀のごときフォーレは格別だろう。11/19(火)19:00 王子ホール生誕140年記念三浦 環のシューベルト《冬の旅》11/29(金)18:30 旧東京音楽学校奏楽堂掲載している公演の最新情報は、それぞれの主催者のホームページなどでご確認ください。小林沙羅 ©日本コロムビア月の11

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