eぶらあぼ 2024.10月号
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第660回 定期演奏会〈トリフォニーホール・シリーズ〉2025.1/25(土)14:00 すみだトリフォニーホール〈サントリーホール・シリーズ〉2025.1/26(日)14:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp56日本デビュー20周年記念 福間洸太朗 ピアノ・リサイタル《ストーリーズ》ゆかりの作品で感じる20年の歩み 日本でのリサイタル・デビューから20周年を迎えた福間洸太朗。2003年にクリーヴランド国際コンクールで日本人初優勝を飾って以来、世界各国からの招聘が後を絶たず、現在最も多忙なピアニストの一人であるが、近年では価値ある作品を掘り起こす「レア・ピアノミュージック」プロジェクトを進め、アレンジ譜の出版や後進の指導も行い、まさにピアノ文化の全方位で精力的に走り続けている。 そんな福間が「日本デビュー20周年記念」を掲げるサントリーホールのリサイタルは、「ストーリーズ」がテーマ。常に明確なコンセプトをもって演奏会を構成する福間だが、今回は自身の20年の歩みの中で見出されたさまざまな物語を、ピアノで語ろうという意図が読み取れる。前半は福間が大切に思い続ける作曲家ショパン。「英雄」ポロネーズ、「葬送」ソナタ、「幻想ポロネーズ」の3作を通じて、ダイナミックな感情の起伏や人生観を伝えることだろう。後半では野平一郎の新作「水と11/11(月)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp他公演9/22(日・祝) 京都コンサートホール(小)(otonowa 075-252-8255)9/28(土) 札幌コンサートホール Kitara(小)(道新プレイガイド0570-00-3871)10/4(金) 横浜みなとみらいホール(神奈川芸術協会045-453-5080)10/5(土) 所沢市民文化センター ミューズ アークホール(04-2998-7777)10/6(日) 三重県文化会館(059-233-1122)10/9(水) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール(025-224-5521)10/11(金) 群馬/美喜仁桐生文化会館(小)(0277-22-9999)10/19(土) 大阪/ザ・シンフォニーホール(06-6453-2333)11/8(金) 愛知/電気文化会館 ザ・コンサートホール(CBCテレビ事業部052-241-8118)※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。響曲というだけではなく、作品内容でもドイツ・オーストリアの交響曲の系譜における終着点のような趣がある。透徹した美意識で貫かれ、作品は大きなドラマを描くが、最後に訪れるのは虚無のようにも思えるし、安らぎのようにも思える。多義的な解釈の余地があるという点でも、指揮者によるアプローチに注目が集まる。 さらに、この曲は佐渡の師バーンスタインの十八番であったことを思い出す。バーンスタインはこの曲で伝説を作った。師への地の色彩」の日本初演も行われる。自身の名「洸」の文字に由来する煌めく水のイメージを響きに変えて、ホールの隅々まで届けてくれるに違いない。《トリスタンとイゾルデ》や「牧神の午後への前奏曲」では、オーケストラ・サウンドの深みに迫る福間のタッチに期待が高まる。締めくくりは、「洸」の様相が溢れんばかりに表現された、自身のアレンジによるスメタナの「モルダウ」だ。福間のこれまでとこれからに思いを馳せて臨みたいリサイタルだ。思いを込めた記念碑的な名演を期待せずにはいられない。文:飯尾洋一文:飯田有抄©Takashi Iijima ©Shuga Chiba佐渡 裕(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団満を持して臨むマーラー第9番の頂 2025年1月、いよいよ佐渡裕が新日本フィルとともにマーラーの交響曲第9番に挑む。23年4月より新日本フィル第5代音楽監督に就任した佐渡が、レパートリーの中核に置いてきたのが「ウィーン・ライン」。ハイドン、ベートーヴェン、ブルックナー、リヒャルト・シュトラウス、マーラーら、ウィーンの音楽を積極的にとりあげてきた。欧州の拠点を同地に置き、オーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督を務める佐渡が、新日本フィルとの新時代をウィーンの音楽で彩ることは、もっともなこと。オーケストラと共演を重ね、相互理解を深めた今が、マーラーの交響曲第9番に取り組むにふさわしいタイミングなのだろう。 マーラーの交響曲はどの作品であれ、演奏者への要求水準は高いものであるが、やはり第9番は特別な作品だ。単にマーラーが最後に完成させた交

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