eぶらあぼ 2024.10月号
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第725回 定期演奏会 10/12(土)18:00 サントリーホール川崎定期演奏会 第97回 10/13(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp50十八番。マチュー・アカール(1988-2022)のプリペアド・ピアノのための「アルテファクト・エチュード第1番」から〈鏡のヴァリアシオン〉ではクリスタルな響きの世界が広がる。フィリップ・アタ(1993-)への委嘱新作は、異常気象や自然災害をめぐる哲学的な思索を含み、木魚やバンブーチャイムなど、自然素材の楽器の使用も予定していて、賑やかな一曲になりそうだ。注目の女性作曲家カミーユ・ペパン(1990-)からは「ナンバー・ワン」「虹色─氷」を取り上げる。ぺパンクシシュトフ・ウルバンスキ ©Marco Borggreve奏曲第2番。あのキリル・ペトレンコの指揮で当曲を録音し、エコークラシック賞を受賞しているラツィックなら、このロマンティックな名曲の隠れた魅力を感知させてくれるに違いない。後半はショスタコーヴィチの交響曲第6番。シリアスな緩徐楽章から爽やかなスケルツォを経て陽気なフィナーレに至るならではの極彩色の世界に深見が肉薄するのが楽しみだ。デヤン・ラツィック ©Lin Gothoni変則構成の本作は、約30分の意外に親しみやすい音楽だ。ウルバンスキは、18年にNDRエルプフィルとのCDで第5番、19年に東響の公演で第4番と同作曲家の交響曲の快演を聴かせているので、今回への期待も大きい。これは、“何かが起こりそう”な、ライブ感満点の公演だ。文:柴田克彦文:伊藤制子©studiOAR10/10(木)19:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ問 エラート音楽事務所 075-751-0617 https://erato.jp10/15(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jpクシシュトフ・ウルバンスキ(指揮) 東京交響楽団個性派二人がロシアの名作に新風を吹き込む 10月の東京交響楽団定期は、クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮)、デヤン・ラツィック(ピアノ)という個性派の登場。1982年ポーランド生まれのウルバンスキは、インディアナポリス響等のポストを歴任し、ベルリン・フィルをはじめ世界各地の著名楽団に客演を続ける実力者で、東響でも2013~16年に首席客演指揮者を務めて好評を博している。シャープな切り口で生き生きと表出されるその音楽はいつもフレッシュ。特に23年4月東響との「新世界より」では、聴き慣れた名作の清新な表現で皆を驚嘆させた。1977年現クロアチア生まれのラツィックは、13歳で協奏曲を披露後西欧で活躍し、チャンネル・クラシックスに録音したCDで才能を印象付けた。研ぎ澄まされた感性で音楽の本質を自然に聴かせるセンス抜群の名手だけに、約15年ぶりの東京登場となる今回の演奏がすこぶる楽しみだ。 演目はまずラフマニノフのピアノ協東京オペラシティ B■■■■■■■→C 深見まどか(ピアノ)フランス近現代からコンテンポラリー最前線まで 中学生の頃からフランス音楽の魅力にとりつかれ、藝高時代には、通学時に毎日のようにラヴェル、ドビュッシー、メシアンを聴いていたという深見まどか。藝大在学中にパリ国立高等音楽院へ留学し、8年ほど同地で学びつつ、内外で活躍してきた深見は、「フランス音楽への愛」に満ちたピアニストである。ベロフ、エル・バシャ、ピレシュら名手の薫陶を受け、フランス創作界をリードする気鋭の作曲家とも親交を結んだ彼女によるB→Cのリサイタルは、フランス音楽の現在を照射するスリリングなプログラムだ。テーマは「自然と自由」である。自然の普遍的なエネルギーが混沌とした社会に生きる人々を解放するという物語を紡ぎたいと語る。 バッハの2曲の「トッカータ」以外は、オール・フランス近現代作品からの選曲になっている。ラヴェルの水の戯れ、ドビュッシーの映像 第2集は深見の

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