eぶらあぼ 2024.10月号
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46Interview飯森範親(群馬交響楽団 常任指揮者)本拠地・高崎芸術劇場で《魔笛》をハイライト上演! 2023年4月に群馬交響楽団の常任指揮者に就任した飯森範親は、初年度、すべての定期演奏会でプログラムの中にモーツァルトの作品を入れた。群響と高崎芸術劇場がタッグを組み、2022年から開催している人気演奏会シリーズ「GTシンフォニック・コンサート」でも、こうした流れを汲み、この11月にモーツァルトの歌劇《魔笛》をハイライトで上演する。飯森&群響が次の段階へとステップを進める公演となる。 「群響とモーツァルトに取り組み、1年間でオーケストラの精度がかなり上がった実感があります。そして、今までやってきたモーツァルトのオーケストラ作品での成果をオペラでも発揮したいと、《魔笛》を取り上げることにしました。僕にとって《魔笛》は1989年にドイツのバイエルン州立歌劇場で初めてコレペティトゥアとして勉強した曲で、一番慣れ親しんでいるオペラです。群響とは初めてのオペラ共演ですが、きっと面白いものになると思います」 演奏会形式での上演ではあるが、歌手たちの演技は入る。台詞はカットされ、その代わりに飯森自身がストーリーを語る。タミーノに鈴木准、パミーナに砂川涼子、パパゲーノに近藤圭、パパゲーナに九嶋香奈枝、ザラストロに伊藤貴之、夜の女王に小川栞奈など、旬の歌手たちが集う。 「キャストは一人ひとり聴いて決めました。今、日本で考えられる、最も素晴らしい歌手の方たちが集まります。基本的にザラストロがこのオペラを支配しているという見せ方を考えています」 《魔笛》は、モーツァルトの最晩年のオペラ。彼の集大成ともいえる作品である。 「オーケストラが素晴らしいですね。歌手を活かし、歌手とオーケストラが対峙するところでは徹底的に絡み合う。モーツァルト自身にいろいろなシンフォニーを書いてきて得た確信があり、オーケストレーションにまったく無駄がありません。最大限に削ぎ落として、国内トップクラスの歌手陣自ら選び抜いた最上のものを作り上げました。パミーナのアリア〈愛の喜びは露と消え〉は、オーケストラが絶妙ですし、和音も調性も声域も言葉の選び方も完璧なのです。夜の女王のアリアは、第2幕のものにみんな注目しますが、第1幕のアリア〈恐れることはない、我が子よ〉は、何かが起こるようなワクワクする音楽で始まります。ヴェルディやワーグナーとは違う、モーツァルトならではの音楽です」アンサンブルの精度向上で 飯森はかつて、音楽監督を務めていた山形交響楽団でモーツァルトの全交響曲を演奏し、山響の演奏水準を引き上げた。そして今、群響でのモーツァルトの取り組みにも成果を感じている。 「オーケストラの和音の感じ方が明らかに変わりました。弦楽器の精度が上がり、ものすごく繊細になりました。シビアにモーツァルトをやったから、7月の第600回定期演奏会でのR.シュトラ群馬交響楽団 × 高崎芸術劇場GTシンフォニック・コンサート vol.4 オペラ《魔笛》ハイライト(演奏会形式)11/2(土)14:00 高崎芸術劇場問 高崎芸術劇場チケットセンター 027-321-3900https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/新たなステップへウスの『家庭交響曲』のような大きな編成の作品でも、弦楽器の後ろの方まで積極的に演奏し、パート内での時間差は生じませんでした。 僕は、モーツァルトでは、弦楽器のヴィブラートを極力減らし、音程を合わせて良い響きになるように心がけています。また、例えば第2ヴァイオリンが同じファの音を刻んでいても、和音の中での役割が変わると違うように演奏しなければならないので、和音の進行を理解してもらうように普段からかなり言っています。そういうことを意識するとアンサンブルが良くなります」 高崎芸術劇場は2019年にオープンした、群響の新しい本拠地。 「群響がこの劇場で練習と本番ができることはとても恵まれていると思います。新幹線の高崎駅から歩いて5分とアクセスも良いので、まだいらしたことのない方にあの素晴らしい響きを聴いていただきたいですね。群響と高崎芸術劇場が共に高みを目指していきたいと思います」取材・文:山田治生©山岸 伸

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