eぶらあぼ 2024.10月号
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第175回 リクライニング・コンサート 水野優也(チェロ) & 吉見友貴(ピアノ)活躍著しいふたりが創る緻密な響き Hakuju Hallの好評シリーズ「リクライニング・コンサート」にチェロの水野優也とピアノの吉見友貴が登場する。ファン注目の若手旗手2人はこれまでにも共演を重ねており、「吉見さんの音のひとつひとつには明確な意思を感じます。リハーサルの段階から、細かく解きほぐして緻密に音楽を作れるのでとても楽しみです」(水野)、「水野さんの自然でノーブルな音楽は印象的です。音楽に対する高い美意識とストイックさに、いつも感銘を受けます」(吉見)と互いを高くリスペクトしている。 プログラムは水野の選曲。シューマンの「民謡風の5つの小品」、ブルッフの「コル・ニドライ」、メンデルスゾーンの「ピアノとチェロのためのソナタ第1番」。本格的なドイツ・プロながら、素朴なメロディがふんだんに現れて、リラックスして聴ける作品が並ぶ。ユダヤ教の宗教歌も採り入れた「コル・ニドライ」で心が浄化されてリラックスした第271回 土曜マチネーシリーズ 11/23(土・祝)第271回 日曜マチネーシリーズ 11/24(日)各日14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp44ジャン=クロード・カサドシュ ©Ugo Ponteの間に生まれ、さまざまなコンクールで上位入賞を果たす若き逸材だ。得意とするラヴェルで、その技巧と表現力をたっぷりと味わいたい。 そして、ベルリオーズの「幻想交響曲」。透明感あるフォルムのなかに、そ水野優也 ©Yuji Uenoところで、深き淵からいきなり立ち現れてくるようなメンデルスゾーンのソナタ冒頭へ。その部分の“流れ”はこだわりのポイントだ。 世界で初めてコンサートホールに設置されたリクライニング・シートに身を沈めて楽しむ1時間。身体を倒せるこ田所光之マルセル ©Shigeto Imuraれぞれの声部をシャープに描き分け、作曲家によるさまざまな仕掛けを明瞭に聴かせてくれよう。さらに、第4楽章から終楽章にかけては、豪快ながらすっきりとしたサウンドで、壮大なクライマックスを築くこと、間違いなしだ。吉見友貴 ©Shigeto Imuraともさることながら、客席を1列おきに使用するので、前後の空間が大きく空いていて、ゆったり感が尋常ではない。いわばビジネスクラス感覚。演奏者のトークも恒例になっていて、アーティストの素顔に触れることができるのもうれしい。文:鈴木淳史文:宮本 明12/18(水)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jpジャン=クロード・カサドシュ(指揮) 読売日本交響楽団大御所・カサドシュが魅せるフランス管弦楽作品の神髄 フランスの名匠ジャン=クロード・カサドシュは、今年の暮れに89歳になる。高名なヴィオラ奏者アンリの孫で、また巨匠ピアニストのロベールの甥でもあるという芸術家の家系に生まれた彼は、デルヴォーやブーレーズに師事、リール国立管弦楽団を一流オーケストラへ育てたことでも知られる。切れ味鋭い演奏が持ち味で、サバサバと豪快な一面もある一方、しっかりとしたバランスから雄大に山場を作り出す。 その名匠が読響の土曜・日曜マチネーシリーズで、得意のフランス・プログラムを披露する。1曲目は、デュティユー門下で、マエストロの実弟でもある作曲家プローブストによる「群雲」(日本初演)。映画音楽を思わせるゴージャスなサウンドで開始される、フランスの色彩にもあふれた交響詩風の音楽だ。 ラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調では、田所光之マルセルが独奏者として登場。日本人の父とフランス人の母

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