43銀座ぶらっとプレミアム #200 福川伸陽(ホルン)スーパー・ホルニストが語りとともに描く源平絵巻 銀座の王子ホールが月イチで開催している人気企画「銀座ぶらっと」シリーズは、ランチ終わりや買い物ついでに気軽に寄れるコンサート。出演者は毎回、名手揃いだ。記念すべき第200回には日本が世界に誇る当代随一のホルン奏者・福川伸陽が、信頼を寄せるピアニストの岡田奏とのデュオで出演する。 前半は「ハンガリー狂詩曲第2番」、外山雄三が日本各地の民謡をまとめた名曲「管弦楽のためのラプソディ」のホルン版、「ラプソディ・イン・ブルー」と、お馴染みのメロディばかりなのにホルンで聴くのは意外で新鮮というユニークな選曲。ホルンという楽器の常識を覆してしまうようなヴィルトゥオーゾ(巨匠)である福川の妙技が堪能できる。 後半は、福川のために書き下ろされた語りつきの作品「源平音楽絵巻」だ。作曲した挾間美帆はグラミー賞にノミネートされる等、本場アメリカでも高い藤岡幸夫 ©青柳 聡森野美咲 ©Yuki Suwa楽章は清らかに歌わせるだろう。4つにバランス感覚。終楽章は激しく盛り上げるだろうが、オーケストラ、ソリスト、合唱の均衡はしっかりと保たれるに違いない。 藤岡と同様に、常に熱く燃え全力な東京シティ・フィルの演奏は定評がある。共演のソリストは、ウィーン・フィル夏のアカデミー《偽の女庭師》題名役出演の森野美咲(ソプラノ)、チョン・ミョンフン、パーヴォ・ヤルヴィ等との第九の共演もある林美智子(メゾソプラ評価を得ているジャズ作曲家だが、実は彼女にとって作曲家を目指した原点のひとつは大河ドラマだった(今も大河ドラマの音楽を手掛けることが夢なのだという!)。源平合戦という題材も挾間の提案で、「平治の乱」から「壇ノ浦の戦い」までの8つのエピソードを語り林 美智子 ©Toru Hiraiwa福川伸陽 ©大津智之村上敏明岡田 奏 ©Makoto Kamiya文:長谷川京介文:小室敬幸平野 和 ©武藤 章ノ)、人気・実力ともに日本を代表する歌手・村上敏明(テノール)、ウィーンを拠点に欧州および日本各地で活躍する平野和(バリトン)という堂々たる布陣。東京シティ・フィル・コーア(合唱指揮:藤丸崇浩)は、歌に気持ちが入っており、温かみのある合唱からはチームワークのよさと誠実さが感じられる。 藤岡の指揮のもと出演者全員が一体となる第九は、熱気と音楽的な美しさが両立する充実の名演になることだろう。近藤サトで繋ぎながら50分かけて描く大曲だ! 今回は元フジテレビアナウンサーの近藤サトが語りを務めることで、まるで本物の大河ドラマのような重厚な物語が堪能できるに違いない。全編聴きどころだらけといって過言ではない傑作なので、自信をもってお薦めしたい。 藤岡幸夫は2019年4月東京シティ・フィルの首席客演指揮者に就任以来、同楽団と息の合った名演を積み重ねてきた。 12月のベートーヴェンの交響曲第9番も熱演となることは確実だが、筆者は藤岡の指揮する第九に触れる機会がこれまでなかったため、過去に聴いた彼の指揮の特長からどのような演奏になるのか予測してみた。 特長の1つは熱気。情熱的な指揮は求心力が強く、オーケストラは一つに結束する。2つに力強い推進力。第1、第2楽章は激しい戦いのように進むと思われる。3つにフレージングの美しさ。第312/28(土)15:00 東京文化会館 問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp11/14(木)13:30 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第九特別演奏会2024熱きタクトで導く「歓喜の歌」が年末を締めくくる
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