eぶらあぼ 2024.10月号
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42サイモン・ラトル ©Astrid Ackermannニコラス・チャイルズ ©John Stirzakerバイエルン放送交響楽団 ©Astrid Ackermann 昨年で20回目を迎えたNHK音楽祭。開局以来、クラシック音楽の普及に貢献してきたNHKならではの音楽祭だ。今年も、ホスト役でもあるNHK交響楽団(10/30, 完売)のほか、ブラック・ダイク・バンド(10/28)、バイエルン放送交響楽団(11/28)による3公演が行われる。 バイエルン放送交響楽団の同音楽祭への出演は、2005年以来の2度目。前回は、当時首席指揮者を務めていたマリス・ヤンソンスの指揮で、ベートーヴェンの交響曲第7番をメインとしたプログラムを披露した。今回は同じ第7番でも、マーラーの交響曲が演奏される。指揮は、現在もっともエキサイティングなマーラーを聴かせてくれる、サイモン・ラトルだ。 齢を重ねてもその冒険的な姿勢は変わらないものの、音楽そのものに円熟味が出てきたラトル。そして、南ドイツ特有の明るい音色を生かしつつ、優れたアンサンブルでハーモニーを響かせることにかけては、ベルリン・フィルやウィーン・フィルをもしのぐバイエルン放送交響楽団。最高のマーラー体験になること間違いない。 交響曲第7番という選曲もすばらしい。親しみやすい旋律にあふれていながら、第6番のように悲劇に向かって崩壊していくといった強いドラマ性がないので、つかみ所のない大曲といわシャルル・デュトワ ©Chris Leeニコライ・ルガンスキー ©Caroline Doutre Naiveブラック・ダイク・バンド ©堀田力丸れるこの交響曲。ラトルは、この作品のもつ、抒情とグロテスクさが交錯するようなセレナード風の音楽に、はっきりとしたコントラストを与え、目鼻立ちくっきりとした表情で描く。古典的なフォルムのなかにロマン的な情熱をたぎらせ、しかも現代的で精緻な書法をクールに示す名演になるはず。 交響曲の前には、バートウィッスルの「サイモンへの贈り物 2018」が演奏される。タイトル通り、ラトルへ献呈された作品で、木管、金管、打楽器のためのファンファーレ。4分ほどの短い作品だが、マーラー作品への導入としての効果も興味深い。ラトルならではの気の利いたアペリティフだ。 ブラック・ダイク・バンドも2016年以来、2度目の出演となる。1855年に創設(前身はそれから40年遡る)された英国のブラスバンド文化を象徴するアンサンブルだ。金管と打楽器のみの編成で、英国やヨーロッパの選手権での優勝実績では他を寄せ付けない、最強のブラスバンドとして知られている。 音楽監督で首席指揮者のニコラス・チャイルズが指揮する今回の公演プNHK交響楽団 ©N響ログラムはとにかく多彩だ。エリック・ボールの「スター・レイク」、オリヴァー・ヴェースピによる「ウィリアム・ビルドの主題による“アンティフォニー”」などのブラスバンド作品、ヴェルディの歌劇《ナブッコ》序曲、ラヴェルの「ボレロ」といったクラシカルな作品の編曲。そして、ジョン・ウィリアムズの『ハリー・ポッター』シリーズから、ビル・コンティの『007 ユア・アイズ・オンリー』などの映画作品も取り上げる。NHKホールが強烈なブラス・サウンドで満たされることだろう。 そして、NHK交響楽団。同音楽祭で最大の話題といえば、シャルル・デュトワが7年の歳月を経てNHKホールの指揮台へと帰ってくることだ。かつて常任指揮者、音楽監督として、オーケストラの可能性を拡大した功労者が、彼らの原点たるストラヴィンスキーの「春の祭典」を振る。ラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」、ニコライ・ルガンスキーをソリストとして迎えてのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番も、デュトワの手腕が十二分に発揮される選曲だ。デュトワ&N響による黄金時代再び!文:鈴木淳史ブラック・ダイク・バンド 10/28(月) NHK交響楽団 10/30(水)(完売)バイエルン放送交響楽団 11/28(木)各日19:00 NHKホール問 NHKプロモーション 音楽祭係03-3468-7736 https://www.nhk-p.co.jpNHK音楽祭 2024日・独・英の名門団体それぞれの妙技に触れる熱き3日間

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