eぶらあぼ 2024.10月号
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39ケストラとの間にどんな化学反応が起きるのか、興味深い。 ブレーメンを拠点とする室内オーケストラ、ドイツ・カンマーフィルの最大の特徴は運営面でも芸術面においても強い自主性を持っている点だろう。首席指揮者の任命を含め、運営は個々のメンバーの総意で決められる。楽員にとって、パーヴォは自分たちが選んだ首席指揮者だ。さらに音楽面でも一人ひとりの楽員に主体性が求め12/8(日)16:00 横浜みなとみらいホール12/9(月)、12/12(木)各日19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp12/10(火)19:00 文京シビックホール問 シビックチケット03-5803-1111 https://www.b-academy.jp/hall/他公演12/7(土) 熊本県立劇場コンサートホール(096-363-2233)12/13(金) 所沢市民文化センター ミューズ アークホール(04-2998-7777)12/14(土) 兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255)12/15(日) 大分/iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ(097-533-4004)※公演により出演者、プログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。パーヴォ・ヤルヴィ ©Kaupo Kikkasヒラリー・ハーン ©Chris Leeドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団 ©Julia Baierられる。ヒラリーはかつてドイツ・カンマーフィルとのリハーサルで、ヴァイオリン・セクションの後席の奏者が提案を発し、これをパーヴォが受け止め、提案を巡ってみんなで議論をする場面に出会って、一般的なオーケストラとの大きな違いを感じたという。全員のアイディアが歓迎される様子はいかにも精鋭集団らしい。今回の来日公演でも、このコンビならではの創意と覇気に満ちた演奏をくりひろげてくれるはずだ。ラファウ・ブレハッチ ©Christoph Köstlin文:飯尾洋一パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団常に新鮮な驚きをもたらす精鋭集団が来日 12月、パーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団が来日する。数年おきに12月になるとやってくるのがこの名コンビ。季節の風物詩のようにもなっているが、その音楽の鮮烈さは何度聴いても色あせることがない。このオーケストラは毎回の来日公演でセンセーションを巻き起こす稀有な存在だ。 パーヴォ・ヤルヴィがこのオーケストラの首席指揮者に就任して、今年で20年を迎える。ひとつのオーケストラと指揮者がこれほど長期にわたる関係を築くことはめったにない。パーヴォ自身、この間にフランクフルト放送交響楽団、パリ管弦楽団、NHK交響楽団、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団などでシェフを務めてきたわけだが、ドイツ・カンマーフィルとの協働は変わることなく続いている。それでいながら、このオーケストラにはルーティンの香りがまったくしない。同じレパートリーをくりかえしとりあげても、毎回新しいアイディアが盛り込まれ、作品の知られざる魅力に気づかせてくれるのだ。 今回のツアーでは、東京、横浜、所沢、兵庫、熊本、大分の各都市で、全8公演が開催される。東京では文京シビックホールと東京オペラシティ(2公演)の合わせて3公演。プログラムはモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトによるウィーンの音楽で構成される。各公演で少しずつプログラムは異なっており、中心となるのはモーツァルトの交響曲第31番「パリ」、交響曲第41番「ジュピター」、シューベルトの交響曲第7番「未完成」のいずれかで、公演によってヒラリー・ハーンの独奏によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(12/9, 12/10, 12/12, 12/14, 12/15)、ラファウ・ブレハッチをソリストに迎えてモーツァルトのピアノ協奏曲第23番(12/7, 12/8)や、シューベルトの「イタリア風序曲」、モーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》序曲が組み合わされる。いずれも名曲ぞろい、そしてこのコンビにとっての得意のレパートリーである。ソリスト陣は強力。ヒラリーは以前にもこのコンビとベートーヴェンを共演しており、パーヴォとは長年にわたる信頼関係を築いている。ブレハッチは2005年のショパン国際ピアノ・コンクール優勝者。オー

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