1月の見もの・聴きもの■■■■■■〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場1月1、4日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 指/B.ド・ビリー、演出/O.シェンク、出/G.ニグル、H=E.ミュラー、W.バンクル1月2日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 指/A.コーバー、演出/A.ノーブル、出/J.シュメッケンベッヒャー、R.ハングラー1月6、10、13、17、20日 プッチーニ:トゥーランドット 指/C.リッツィ、演出/C.グート、出/E.パンクラトヴァ、D.P.ドゥミトレスク、M.ファビアーノ、S.ザネッティ1月8日 G.ニグルBr、N.オフチャレク(俳優)共/V.ユロフスキーp1月12、15、19、22日 マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ/レオンカヴァッロ:道化師指/N.ルイゾッティ、演出/J=P.ポネル、出/〔カヴァレリア・ルスティカーナ〕E.ガランチャ、J.テテルマン、E.ザレンバ、A.プラチェトカ/〔道化師〕J.カウフマン、M.アグレスタ、A.プラチェトカ1月21、25、28、31日 R.シュトラウス:ナクソス島のアリアドネ 指/C.マイスター、演出/S=E.ベヒトルフ、出/B.シール、A.エレート、K.リンジー、M.スパイアーズ1月24、26、29日 プッチーニ:ラ・ボエーム 指/L.パッセリーニ、演出/F.ゼッフィレッリ、出/L.アヴェティシアン、A.ペレス★◎1月27、30日 モーツァルト:魔笛[プレミエ] 指/F.ウェルザー=メスト、演出/B.ホラーコヴァー、出/G.ツェッペンフェルト、J.プレガルディエン、J.シュメッケンベッヒャーウィーン・フォルクスオーパー1月1(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 演出/R.ヘルツル1月2(19:00)、5(16:30)、10(18:00)、13(19:00)、15(19:00)、18(18:00)、20(18:00)、26(16:30)日 F.ロウ:マイ・フェア・レディ(ミュージカル) 演出/R.ヘルツル1月3(19:00)、9(19:00)、28(11:00)、31劇場(ザルツブルク)]◎1月1(11:15)日 R.ムーティ指揮(ニューイヤー・コンサート) J.シュトラウス・ファミリー他の作品◎1月11(15:30)、12(11:00)、13(19:30)、14(19:30)、16(19:30)(KH)、17(20:00)(PAR)日 Z.メータ指揮 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番、ブルックナー:交響曲第9番 独/P.ズーカーマンvn◎1月25(19:30)(SZG)、29(19:30)(SZG)日 A.フィッシャー(25日)/T.グックアイス(29日)指揮 → 〔ザルツブルク・モーツァルト週間〕参照ウィーン響[会場:(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(GRZ)=シュテファニーエンザール(グラーツ)、(SZG)=祝祭大劇場(ザルツブルク)、(BRZ)=祝祭劇場(ブレゲンツ)]1月1(20:00)(KH)日 M.ジャコ指揮 ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」 独/E.プロンカS、E.グバノワMs、B.ブルンスT、他1月9(19:30)(KH)、12(19:30)(KH)日 V.ユロフスキー指揮 マーラー:交響曲第6番1月15(19:30)(MV)、16(19:30)(MV)、20(19:30)(GRZ)、21(19:30)(GRZ)、22(19:00)(SZG)、24(19:30)(BRZ)日 P.ハーン指揮 グリンカ:ルスランとリュドミラ〜序曲、M.ニグシュ:チェロ協奏曲第1番(世界初演)、チャイコフスキー:交響曲第5番 独/K.ソルターニvc◎1月18(19:30)(MV)、19(19:30)(MV)日 P.ポペルカ指揮 アイネム:管弦楽のための音楽、R.シュトラウス:4つの最後の歌、歌曲(3曲)、シューベルト:交響曲第7番「未完成」 独/A.グリゴリアンSムジークフェライン[楽友協会]大ホール[ウィーン](主要公演のみ)◎1月1(11:15)、11(15:30)、12(11:00)、13 本文とは関係ないが、届いたばかりの独Opernwelt誌9月号に、二期会が1ページを割いて「Tokyo Opera Days 2024」と題する広告を掲載している。国立能楽堂での能狂言公演と東京文化会館でのコンヴィチュニー演出によるR.シュトラウス「影のない女」を組み合わせた企画。海外のオペラ・ファンにどうアピールしてインバウンドを取り込むのか興味津々だ。 さて、1月はベルリンで「ウルトラシャル」という恒例の現代音楽祭が開催される。本文中に紹介した限りでは、ベルリン・ドイツ響の2公演とベルリン放送響の1公演がそれに当たる。現代音楽に興味のない方には申し訳ないが、ヨーロッパの音楽潮流を知る上では注目すべきイベントと言えよう。これと同じ流れというわけではないが、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管で、パッパーノの指揮、レヴィットのピアノで、1904年に完成されたブゾーニのピアノ協奏曲が取り上げられる。この曲は全5楽章70分に及び、終楽章では男声合唱まで加わるという大作だが、なぜか最近、実演で取り上げられることが多い。2024年中に本稿で取り上げた公演だけでも6公演もある。ブゾーニのピアノ協奏曲、謎の大ブームだ。 もう一つ、2025年は、現代音楽界に巨大な軌跡を残したレジェンド、ピエール・ブーレーズの生誕100年に当たっている。そのため、1月の公演中にもブーレーズへ138(18:00)日 オッフェンバック:月世界旅行演出/L.ペリー1月4(19:00)日 チャイコフスキー:イオランタとくるみ割り人形 演出/L.デ・ベア1月6(17:00)日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 演出/K.デンヒ1月7(20:00)、22(19:30) Ein bisschen trallalala(F.マサリーとM.パレンベルクへのオマージュ) 演出/M.グレートラー1月9(11:00)、12(17:30)、17(19:00)、23(19:00)日 モーツァルト:魔笛 演出/H.メイソン1月11(19:00)、19(19:00)、21(19:00)、24(19:00)、30(19:00)日 ベナツキー:白馬亭にて[24年12月プレミエ] 演出/J.P.グローガー1月12(11:00)日 J.アロウアス:ボタン戦争[24年11月プレミエ] 演出/J.アロウアス1月29(19:00)日 J.ボック:アナテフカ(ミュージカル) 演出/M.ダヴィッズアン・デア・ウィーン劇場〔注〕2022年より継続していた改修工事が終了し、2024/25シーズンは本来の劇場で公演が行われます。★◎1月18(19:00)、20(19:00)、22(19:00)、24(19:00)、26(15:00)、28(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:女王のレースのハンカチーフ[プレミエ] 指/M.スタキオニス、演出/C.タウシンク、出/D.ハラー、E.フーバー、B.リッター、演奏/ウィーン室内管◎1月27(19:00)日 C.プルハー指揮ラルペッジャータ バルカンルート(多言語によるコンサート) 独/K.パパドプル(vo/ギリシャ)、N.ミルコヴィチ(vo/ボスニア・ウィーン)、V.カペッツート(vo/イタリア)、C.シェーンSウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(PAR)=シャンゼリゼ劇場(パリ)、(SZG)=祝祭大のオマージュを謳ったものが多く、SWR響やフランス国立管、フィルハーモニー・ド・パリでのアンサンブル・アンテルコンタンポラン(1月6日)をはじめとして、マケラ=パリ管、ラトル=ロンドン響などでもブーレーズが多数取り上げられる。 一方、年初恒例のニューイヤー・コンサートでは、ムーティ指揮によるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは特別な公演としても、2025年はそれほど奇をてらった玄人好みの公演は見当たらないようだ。むしろ、マルヴィッツ指揮のベルリン・コンツェルトハウス管、シュテンツ指揮のケルン・ギュルツェニヒ管、ホーネック指揮のケルンWDR響、ノット指揮のスイス・ロマンド管、アルティノグリュ指揮のモネ劇場響、ネトピル指揮のチェコ・フィルなど、華やかで、いかにも楽しそうな管弦楽名曲を並べて、新年をファミリーでも楽しめるように選曲されている(曲目詳細はホームページでご確認ください)。 年明けの常連作曲家であるJ.シュトラウスでは、アン・デア・ウィーン劇場で上演される「女王のレースのハンカチーフ」というオペレッタが珍しい。なお、同じ劇場で演奏されるプルハー指揮ラルペッジャータによるバルカンルートを辿る多言語によるコンサートというのも大変興味深い。興味深いという点では、ユロフスキー指揮ベルリン放送響による「アウシュヴィッツ強制収容所開放80周年記念コンサート」も重い名を背負った演奏会。 オペラ公演に話を移すと、1月は、ウィーン国立歌劇場のモーツァルト「魔笛」(ウェルザー=メスト指揮)、ザルツブルク・モーツァルト週間のモンテヴェルディ「オルフェオ」(プルハー指揮)、ベルリン州立歌劇場のクルターグ「勝負の終わり」(S.ベケット原作)、ハンブルク州立歌劇場のR.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」(ナガノ指揮)、ジュネーヴ大劇場のR.シュトラウス「サロメ」(ムンドルツォ演出)、ミラノ・スカラ座のヴェルディ「ファルスタッフ」(ガッティ指揮)、テアトロ・レアルとリセウ大劇場で上演されるモーツァルト「イドメネオ」(ヤーコプス指揮)、パリ・オペラ座のワーグナー「ラインの黄金」(ビエイト演出)、オランダ国立オペラのR.シュテファン「最初の人類」などが要注目。 オーケストラでは、ペトレンコがベルリン・フィルで披露するラフマニノフのオペラ「フランチェスカ・ダ・リミニ」やシベリウスの「レンミンカイネン組曲」、東京交響楽団の次期音楽監督に決まったヴィオッティがケルン・ギュルツェニヒ管を振るプロコフィエフの交響曲第5番、ラトル=チェコ・フィルのヤナーチェク「グラゴル・ミサ」などが面白そう。ほとんど言及できなかったが、「ザルツブルク・モーツァルト週間」はもちろん注目公演揃い。 (曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演曽雌裕一 編2025年1月の
元のページ ../index.html#141