eぶらあぼ 2024.09月号
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9/16(月・祝)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp東京オペラシティシリーズ 第141回9/28(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp67「蝶々夫人」を歌う〜プッチーニ没後100年によせる 愛と平和への祈りをこめて Vol.14森 麻季 ソプラノ・リサイタル心揺さぶる“マダム・バタフライ”がふたたび この6月、ソプラノ森麻季は英国でで《蝶々夫人》の抜粋を歌プッチーニのオペラ《蝶々夫人》に主演い、ピアニストの山岸茂人し絶賛された。舞台は山田和樹指揮のと共に、集中力の塊のようバーミンガム市交響楽団による演奏会な演奏を繰り広げたが、そ形式上演で、相手役のピンカートンはテうした実演の積み重ねがノール界のスター、ペネ・パティ。森はいま、大きな実りの時を迎着物姿で歌い通し、〈愛の二重唱〉や名えているのだろう。 この9月、森麻季は「愛アリア〈ある晴れた日に〉で大喝采を浴と平和への祈りをこめて びたのだそう。地元紙の『バーミンガム・Vol.14」と題するコンサープレス』にも「胸が張り裂けるようなパトを開催。没後100年のフォーマンス」と賞賛されていた。フォーレや生誕100年の デビュー以来、繊細な歌いぶりを貫く團伊玖磨のほか、没後50森。筆者はいまだに、彼女の声を初め年のミヨーの清々しい歌て聴いた記憶―ドリーブ《ラクメ》の〈鐘曲を歌い上げ、後半が待の歌〉の神秘的なヴォカリーズ—が耳に望の《蝶々夫人》ハイライ焼き付いているが、彼女の声の柔らかさト。熱いチャレンジ精神や透明感は、いまも全く変わらぬまま。の上に花開く、劇的な歌しかし、近年の森は、歌い回しを逞しくすの世界をお聴き逃しなく!ることにも成功し、ドラマティックな蝶々さんの役でも、客席を揺さぶることができている。先述のバーミンガムに発つその直前にも、彼女は調布国際音楽祭トンチエ・ツァン ©Harald Hoffmannかせること。まだ40代前半のツァンは、2015年マルコ国際指揮者コンクール優勝、近年はドイツを中心に活躍し、21年からはボーフム交響楽団音楽総監督を務める。日本では18年に東京シティ・フィル定期に出演し、キレと愉悦に満ちたハイドン、巧みな語り口で鮮やかなレスティモシー・リダウト ©Jiyang Chenピーギの快演を実現。それ以来の東京の舞台は、マーラー編曲のJ.S.バッハ「アリア」で開始。メインはドイツ音楽のど真ん中、ブラームスの交響曲第1番。ツァンの巧みなバトンと独自の解釈が東響から明瞭なサウンドを引き出し、発見の多い新鮮な演奏になるに違いない。文:岸 純信(オペラ研究家)文:林 昌英©Yuji Horiトンチエ・ツァン(指揮) 東京交響楽団次世代のスターたちがフレッシュに描く珠玉の名曲 9月の東京交響楽団の東京オペラシティ公演が興味深い。 まず、ティモシー・リダウトがウォルトンのヴィオラ協奏曲を弾くこと。英国出身のリダウトは世界的ヴィオラ奏者として人気・実力共に屈指の名手。子どもの頃には歌に夢中だったとのことで、ヴィオラを奏でても喜びにあふれる歌心、そして圧巻の名技で聴く人を惹きつける。20世紀イギリスのウォルトンの本協奏曲は、独特の哀愁に満ちた旋律と鮮烈な技巧性がヴィオラの魅力を最大限に引き出し、ウォルトン一流の洒落たオーケストレーションも光る逸品で、近年は演奏機会も増加。この母国の傑作をリダウトが弾く、絶好の機会だ。また、今年度の東響はヴィオラとの共演が多く、その流れでも楽しめるし、ヴィオラファン以外にもインパクトの大きい体験になるはず。 そして、台湾出身の指揮者トンチエ・ツァンが登壇し、ドイツの王道名曲を聴

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