eぶらあぼ 2024.09月号
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第174回 リクライニング・コンサート 髙木竜馬(ピアノ)11/7(木)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp9/18(水)13:30 大田区民ホール・アプリコ(小)問 大田区文化振興協会03-3750-1555https://www.ota-bunka.or.jp 「リクライニング・コンサート」シリーズは、ゆったりと45度まで傾くシートで鑑賞できるコンサートだ。 「癒しや安らぎ、エネルギーを求めてこられるお客様とともに、コンサートの空間を一緒に作るのが楽しみです。CDに収録した時点とはすでに解釈が変わっている作品もありますので、ぜひご期待ください」66Interview髙木竜馬(ピアノ)デビューCDに込めた“移ろい”をライブで色鮮やかに描く いま最も躍進を続けるピアニスト、髙木竜馬。2018年のグリーグ国際ピアノコンクールほか数々の国際コンクールで優勝し、TVアニメ『ピアノの森』メインピアニストとしてのコンサート・ツアーや、メディア出演でも人気を集める。11月にはHakuju Hallの「リクライニング・コンサート」に登場する。今年4月にリリースしたデビューアルバム『Metamorphose』に込めた思いを、ライブで直に客席へと届ける。 「Metamorphose(メタモルフォーゼ)とは『変容していく』『移り変わっていく』という意味の言葉です。プログラミングにあたっては、自分がこれまで師事してきたエレーナ・アシュケナージ先生や中村紘子先生、ミヒャエル・クリスト先生、ボリス・ペトルシャンスキー先生から受け継いだ“黄金のバトン”を手に、幼少期から行き来したロシア、10年以上暮らしたウィーン、大好きなフランスやドイツの音楽から受けた影響を色鮮やかに取り入れて、人生の移り変わりをテーマに選曲しました」 コンサート前半は、ラフマニノフの名曲「鐘」で幕を開け、同音を軸とした「パガニーニの主題による狂詩曲~第18変奏」へと繋げる。 「ラフマニノフの『第18変奏』は、片目で微笑みながら、もう片方の目からはフレッシュ名曲キャンペーン ファゴットと不思議な世界木管楽器の名役者の魅力をトークと演奏でひも解く! ファゴットと言えばデュカス「魔法使いの弟子」やストラヴィンスキー「春の祭典」の出だしが頭に浮かぶ。独特な魅力を放つ楽器だが、ピアノやヴァイオリンのような花形の楽器ではなく、オリジナル作品も少ないため、その役割や特徴はあまり知られていない。そんなファゴットの歴史や謎をスライドや実際の音、演奏で解説、後半はモーツァルトの協奏曲やウェーバーの作品などを楽しむコンサートが開かれる。 演奏を担当するのは第21回東京音楽コンクール木管部門第1位および聴衆賞を受賞した保崎佑。日本初となるファゴットでの博士号を取得した俊英だ。ナビゲーターと企画構成は、文筆家、文化芸術プロデューサーの浦久俊彦。前半の解説では、ヨーロッパ文化の知識を織り交ぜたトークを展開するという。ピアノは浜松国際管楽器アカデミー公式伴奏者も務める遠藤直子。 保崎がソリストとして出演する「フレッシュ名曲コンサート」(角田鋼亮指揮・都響、11/9)のプレイベントでもある本公演。紹介されることの少ないファゴットの魅力を存分に楽しめる、貴重な機会となるだろう。涙がこぼれているような、あるいは届かぬものに必死に手を伸ばしているかのような、憂いを帯びたロマンに彩られています。変ニ長調という調性ですが、これはラフマニノフが本当に伝えたいことを表現するときに扱った調性です。同じ変ニ長調で、ドビュッシーの『月の光』に入りますが、少しカラーが違います。その移り変わりを、Hakuju Hallの柔らかな響きの中で体験できるのが僕自身も楽しみです」 後半のメイン曲として据えたのは、若き日のシューマンによる「謝肉祭」だ。 「祭会場で一晩に起こる出来事を、20の小品で綴った曲集です。彼の作品の中では外向的な性質ですが、私小説的な要素を赤裸々かつ繊細に表現していて、文学を愛したシューマンらしさが如実に表れていますね。一見して多彩な曲が並びますが、ひとつの小宇宙としてのまとまりを大切に演奏したいです。僕が一番好きなのは『プロムナード』という曲です。賑やかな祭の中で、恋する者たちがふと二人きりの時間を過ごす世界です。この曲も変ニ長調ですね」保崎 佑 ©猪狩健太郎浦久俊彦 ©新津保建秀取材・文:飯田有抄文:長谷川京介©Yuji Ueno

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