eぶらあぼ 2024.09月号
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第1009回 定期演奏会Aシリーズ 10/7(月)19:00 東京文化会館プロムナードコンサートNo.409  10/13(日)14:00 サントリーホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp10/24(木)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp65音色豊かなピアニズムで、作品世界を明晰に描いてくれるはずだ。 プロムナードコンサートでは、ソリストとして英国を代表するピアニスト、イモージェン・クーパーが登場し、得意のモーツァルトの協奏曲第23番を弾く。会では、ブルネロがイタリアで録画した追悼のメッセージと演奏が流された。同財団の解散(2013年)後は紀尾井ホールとの関係をさらに深め、紀尾井シンフォニエッタ東京・紀尾井ホール室内管弦楽団の指揮台に立ったこともある。カステルフランコ・ヴェネトの自宅の庭園に音楽堂をしつらえてワインもつくり、富士山頂を含む世界の大自然の中でバッハを弾いてきたブルネロの人と音楽は、確実に音のエピキュリアン(快楽主義者)、川口のテイストと合致する。 プログラムはショパンとメンデルスライアン・ウィグルスワース ©Benjamin Ealovegaマリオ・ブルネロ ©Gianni Rizzottiイモージェン・クーパー 北村朋幹 ©Sim Canetty-Clarke©TAKA MAYUMI気品あふれ、端正ながら深い音色に彩られたモーツァルトが期待できそうだ。そして、ベートーヴェンの交響曲第3番。彼ならではの繊細な組み立てによって、鮮やかに屹立するシンフォニーを堪能したい。川口成彦 ©武藤 章ゾーン、2つのソナタを軸に、メンデルスゾーンの姉ファニーの小品、モーツァルトの《魔笛》に触発されてベートーヴェンが書いた変奏曲の1つを組みあわせ、2つの楽器のデュオの歴史も俯瞰できるように組まれている。文:鈴木淳史文:池田卓夫ライアン・ウィグルスワース(指揮) 東京都交響楽団初登場、英国の俊英がこだわり抜いた2つのプログラムで魅せる! 英国の指揮者ウィグルスワースには、マークとライアンの2人がいる。若いほうのライアンは、名門ハレ管の首席客演指揮者を経て、BBCスコティッシュ響の首席指揮者を務める。作曲家やピアニストとしても活躍するヨークシャー生まれの44歳。作曲家ならではのクールな視点に加え、レパートリーの広さも売りだ。今年10月には、降板したロトの代役として、コンセルトヘボウ管弦楽団のシェーンベルク生誕150年演奏会にも出演する。 都響とは初顔合わせとなるライアン。今回、2つのプログラムを指揮する。 定期演奏会Aシリーズは、シェーンベルクの「5つの管弦楽曲」でスタート。その作品の初演を聴いたホルストが創作意欲を刺激されて書いた組曲「惑星」が組み合わされる。そのあいだに、武満徹の「アステリズム」(星の集まりという意味)が演奏されるという、練りに練ったプログラムが嬉しい。武満作品のソリストは北村朋幹。ソリッドかつマリオ・ブルネロ(チェロ) & 川口成彦(フォルテピアノ)知と悦びの探究者2人が初共演で描くロマン派の調べ イタリアのチェロ奏者マリオ・ブルネロ(1960年生まれ)、日本の鍵盤楽器奏者の川口成彦(1989年生まれ)の年齢差は親子ほどに開いている。しかし中世・ルネサンスから現代に至るまですべての音楽に対する旺盛な探究心、人生全般の楽しさを極めるライフスタイル、その点でしっかりと同じ土俵に立つ。10月24日、紀尾井ホールのデュオ・リサイタルでは古典派からロマン派まで「5人の作曲家の4曲」を並べ、川口はプレイエル(1843年)とクレーマー(1825年)、2台のフォルテピアノを弾き分ける。 ブルネロはかつて、1986年チャイコフスキー国際コンクールでイタリア人初の1位に輝いた俊英チェロ奏者と、ごく普通に紹介されたが、アリオン音楽財団理事長の故・江戸京子がさらなる可能性を見抜き、多彩なプロジェクトに起用して「特別な音楽家」の評価を得た。今年5月に行われた江戸を偲ぶ

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