eぶらあぼ 2024.09月号
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第374回 定期演奏会 11/14(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp9/10(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp52ラムはチャイコフスキーの交響曲第4・6番と、ド直球勝負のシンフォニック・プログラムだ。コバケンのチャイコと言えば複数の楽団と交響曲全曲演奏にも繰り返し挑んできた歴史があり、わけても人気曲をカップリングした今回の演奏会は、まさにコバケン芸術の精髄に触れる格好の機会となろう。 東京シティ・フィルと言えば昨年亡くなった飯守泰次郎が育ててきたオケだが、飯守と小林は同い年。ライバルとして、畏友として切磋琢磨しながら日と、前半は自らへと至る都山流の系譜にも思いを馳せる。 後半は、意外かもしれないが尺八で演奏されることが極めて稀な――もしかすると全曲は史上初!?――J.S.バッハの無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013ではじまる。特にサラバンドの奥行きの深さは尺八ならではで、必聴だ! もうひとつの委嘱作として、いまジャンルを超えて注目・評価をされている坂東祐大の新作が続き、最後はまるで古典のような趣をもつ松村禎三の傑作「詩曲二番」(委嘱と初演は初代山本邦山!)で締めくくられる。ストイックでありながらも多彩なプログラムに期待値は非常に高い。本の音楽界を引っ張ってきた仲間だ。この四半世紀でぐっとパワーアップした東京シティ・フィルとの久々の共演に、小林もひとかたならぬ思いで臨むことだろう。文:江藤光紀文:小室敬幸小林研一郎©平舘 平小林研一郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団四半世紀ぶりの登場を渾身のチャイコフスキーで飾る 外山雄三や小澤征爾といった“長老”指揮者たちが鬼籍に入る中、近年ますます存在感を増しているのが1940年生まれの小林研一郎だ。音楽が大地にどっしりと根を張っているような揺るぎのないテンポ感、悠然とした歩みでオーケストラを鳴らし切るスタイルには“炎のコバケン”の異名が与えられてきた。84歳になった現在もそのパワーは衰えを知らず、全国のオケからオファーが引きも切らないだけでなく、先日は彼の名前を世界に知らしめた1974年のブダペスト国際指揮者コンクールでの優勝から半世紀を記念して、つながりの深いハンガリー・ブダペスト響とも熱い演奏を繰り広げたばかり。その名前は欧州にも轟いているのだ。 そんなマエストロが11月には東京シティ・フィルの定期に登場する。前回の登壇は1998年のことなので、実に四半世紀を超えた共演となる。プログ東京オペラシティ B■■■■■■■→C 長谷川将山(尺八)楽器が秘めた可能性を探究し尽くす一本勝負のステージ 東京オペラシティの名物企画「B→C」には、毎年10人ほどの若手・中堅の音楽家が選ばれているが、25年を超える歴史のなかで邦楽器の出演は7名と数少ない。過去出演者のひとりに、現在は名実ともに尺八の第一人者である藤原道山がいるが、その高弟と呼ぶに相応しいのが、今年30歳を迎える長谷川将山だ。今回、その彼が「B→C」でこだわりの無伴奏プログラムに挑む。 「慷月調」は彼が所属する都山流の流祖である初代中尾都山の第一作。宮城道雄とヘンリー・カウエルに学んで、世界に箏を広めた唯是震一の無伴奏組曲第三番は、もともとフルートの曲だが伝説的な尺八奏者である初代山本邦山によって尺八のレパートリーとなった。12音技法で書かれているがまるでヒンデミットのよう! そして師である藤原道山に捧げられた川島素晴の難曲、自分がコラボレーションしてきた同世代の作曲家・向井響の書き下ろし新作……

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