eぶらあぼ 2024.09月号
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豊田泰子さんて所属したオーケストラなので、豊田さんよりも比較が難しいのですが(笑)…、そもそも阪さんは私が留学していたウィーン国立音楽大学の大先輩であり、自分にとって神のような存在でした。共演させていただけること自体がとても嬉しかったですし、阪さんはヨーロッパ各地で指揮をされており、その音楽的経験を私たちに共有してくださるので、毎回それがすごく勉強になっています」 山響はオペラを積極的に取り上げるほか、新曲の演奏にも精力的な姿勢を見せるなど、非常に意欲的なプログラミングが特徴の一つである。太田「チャイコフスキーの交響曲など、王道のものもやりますが、そうでない作品も本当に多く取り上げていますね。また少人数ならではの音楽づくりというのも特徴だと思います。王道の曲をやるとしても、人数が少ないからこその密度の高さや繊細さをお届けできているかなと。これを活かしてこれからの様々な楽曲に臨めるのが楽しみです」豊田「少人数だからこそ、『グラス・ハーモニカのためのアダージョとロンド』など、他のオーケストラではめったに扱われないようなものも演奏できたり、14型など大型の弦楽器編成で奏でられるブラームスも魅力ですが、山響では8型、もしくは10型でやるので、違った表現ができとても面白いです」常盤「古典やバロック作品をよく扱っているのも大きいですね。ピリオド楽器も積極的に使っていて、私もバロックティンパニを演奏する機会もいただけるなど、なかなかできない経験をさせてもらっています」 山響はコロナ禍のあいだも「音楽を止めない」ことをモットーに、ベートーヴェン交響曲全曲演奏を常盤紘生さん372020年7月から開始。わずか3ヵ月という期間で交響曲5曲を収録し、「CURTAIN CALL」で配信した他、「Music Library Project」と題し、県下全図書館・学校に演奏を収録したDVDを寄贈するなど、意義深い活動を行っている。団員の皆さんにとって印象に残っているのはどんな公演だろう。太田「どれか一つの公演…というよりは、やはりコロナ禍に行った演奏会全般ですね。次々と公演が中止となり、“この先どうなるか”という不安のなか無観客で公演を開始しましたが、その後初めて有観客公演を行ったときの感動はとても大きかったです。声を出せなくても、“ブラボー”と書かれたタオルを掲げるなどして気持ちを伝えてくださって、“音楽をやっていてよかった”と強く感じました」豊田「山響が創立以来行っている『スクールコンサート』ですね。とくに阪さんが指揮をしてくだる際はいつも新しい発見があります。オーケストラから自然に音がひき出されて、弾きなれた曲に違う輝きがでてくることにとても驚き、感動しました」常盤「はじめて参加した定期演奏会です。終演後、ロビーでお客様と直接やりとりをさせていただくこともでき、それがとても嬉しかったですし、いまでもそのときのことが忘れられません」Information第320回 定期演奏会10/19(土)19:00、10/20(日)15:00 山形テルサホール 出演/指揮&クラリネット:ポール・メイエ    管弦楽:山形交響楽団曲目/プーランク:シンフォニエッタ FP 141   シュポア:クラリネット協奏曲 第2番 op.57   シューベルト:交響曲 第4番「悲劇的」D.417■ 山響チケットサービス023-616-6607https://www.yamakyo.or.jp

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