68Interview北村 陽(チェロ)新天地ベルリンでの出会いと経験を糧に 昨秋、ヨハネス・ブラームス国際コンクールと日本音楽コンクールで立て続けに優勝した北村陽は2004年生まれの若きチェリスト。8月のリサイタルではルーマニアの作曲家・ヴァイオリニスト、ジョルジェ・エネスクのチェロ・ソナタ第2番を軸に、シューマンの幻想小曲集 op.73からリゲティの無伴奏ソナタ、ブラームスのソナタ第2番というプログラムを組んだ(ピアノ:大伏啓太)。 「幻想的なものからあらゆる変化とともに新しいものが生まれ、そこに、美しいだけではなく、無意識に目を逸らしているような醜いものも含めて人間の本質が見えてくる。それを乗り越えた先に、ブラームスの2番の喜びや幸せがある。そんなプログラムです」 昨年10月からベルリンに留学。その日々の刺激が、プログラムに色濃く反映されている。 「異文化の人々の感性や視野の違いは新しい感覚です。混ざり合えないと思えるようなものが、ほんの小さなきっかけでうまく絡み合って、新しいものが生まれていく。エネスクの曲にはそれに似た感覚があります。混ざり合わないように見えて、よく聴くとチェロとピアノが絡み合っていたり、散りばめられた短い主題に意味を持たせて、先を予感させていたり。 リゲティはホロコーストの時代を生きたユダヤ系のハンガリー人です。私がいま住んでいるのが、昔多くのユダヤ人が住んでいた地域で、通りに看板のような記念碑がたくさんあってナチの時代の差別的な条例が刻まれています。ユダヤ人はすべての学校への登校禁止や、居住地を離れるには警察の許可が必要など、悲惨な歴史が現実のものだったと実感させられます。だから今の自分にできる表現があるのではないかと思ってリゲティを選びました」 留学先にベルリンを選んだのには、チェリストとしての自分の“ルーツ”も関係しているのだという。 「一番の理由はイェンス=ペーター・マインツ先生に師事するためです。また師匠筋のゆかりもあって。私の師匠の堤剛先生と山崎伸子先生の師匠が齋藤秀雄先生。約100年前、その齋藤先生がエマヌエル・フォイアマンに学んだのがベルリン高等音楽院(現ベルリン芸大)だったのです。私はその直系ですし、マインツ先生もフォイアマンをとても尊敬していて、レッスン室にはフレッシュ・アーティスツ from ヨコスカ シリーズ65北村 陽 チェロ・リサイタル8/12(月・休)14:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット問 横須賀芸術劇場046-823-9999 https://www.yokosuka-arts.or.jp彼の巨大な肖像があるんですよ。私もいつもその前でレッスンを受けていて、繋がりを感じます」 「音楽と誠実に向き合って、国を超えて互いを知り、自分自身を知らなければ」と将来を見据える新星。多士済々の日本のチェロ界がさらに賑やかになった。福島康晴取材・文:宮本 明文:白沢達生上野訓子10/12(土)~10/14(月・祝) アクロス福岡、あいれふホール問 新・福岡古楽音楽祭事務局 kogaku.fes@gmail.com https://www.kogaku.net新・福岡古楽音楽祭2024 「バロックの幕開け~イタリア音楽の栄光~」古楽の魅力をマスタークラスや講座も交え多角的に健、イタリア音楽の伝道師たる福島康 最前線のソリストや楽団が「作曲者が知っていた当時流」を意識、演目に合晴ら声楽陣に加え、数世紀来のファゴッわせ楽器や奏法を使い分ける21世紀。トの歴史と演奏に通じた長谷川太郎やラ・プティット・バンドやバッハ・コレギウ木管コルネットの上野訓子ら器楽勢のム・ジャパンの名手勢など一流古楽プレ充実は吹奏楽ファンなどにも響くはず。イヤーたちが、福岡や九州の実力派と欧州古楽の学びを伝える岩田耕作の恒豊かな経験を注ぎ込んできた新・福岡例セミナー、パッヘルベル生前の流儀で古楽音楽祭は、そんな「当時の流儀」を「カノン」を弾く古楽奏法ワークショッ本格的に味わえる絶好の機会だ。プなど、硬軟さまざまな各種講座も興 今年は西洋音楽発展の要・イタリア味深い。秋を彩る忘れがたい連休体験初期バロックに注目、参加型イベントやがアクロス福岡で待っている。無料展示も交え400年前の音楽の素顔を体感できる充実の内容。九州を拠点に全国各地で活躍する中川詩歩や田尻
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