eぶらあぼ 2024.8月号
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文:矢澤孝樹8/1(木)19:30 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 https://www.geigeki.jp他公演 7/26(金) 岐阜/サラマンカホール(058-277-1110)     8/4(日) 石川県立音楽堂 コンサートホール(076-232-8632)    8/7(水) 愛知県芸術劇場 コンサートホール(052-211-7552)第270回 土曜マチネーシリーズ 9/28(土)第270回 日曜マチネーシリーズ 9/29(日)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp66東京芸術劇場ナイトタイム・パイプオルガンコンサート Vol.52フランソワ・エスピナス劇場空間に広がるフランス実力派の響き 19時30分から約1時間、1,000円という価格で、名手たちの演奏によるガルニエ・オルガンの響きに浸る。東京芸術劇場の「ナイトタイム・パイプオルガンコンサート」は、喧騒に満ちた大都会・東京の夜のオアシスだ。第52回はフランソワ・エスピナス、コロナ禍による延期をはさみ7年ぶりの来日を果たすフランスの名手である(岐阜、石川、愛知でも公演が行われる)。ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂のオルガニストに任命されるなど古楽に造詣が深く、一方で同時代作曲家との協働作業も行う、現代ならではの幅広い視野を備えたオルガニストだ。 プログラムはフランスのオルガン音楽を主体としている。まず17世紀初頭のティトゥルーズとロベルデの、古風だが多彩な響きを。同時代フランドルのコルネと、エスピナスの師アンドレ・イゾワールが編曲したバッハが続く。「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番」第1楽章の編曲に、バッハ自身がオルガン用に編曲した同曲の第2楽章フーガをつなげるという凝りよう。そして一転、シンセ世代のオーベルタン、そして20世紀前半の神秘主義的オルガン音楽の大家トゥルヌミールで締めくくられる。 ルネサンス、バロック、モダン3タイプの演奏が可能な東京芸術劇場のオルガンの特性を生かし、広大な時の流れを圧縮したプログラムだ。折しもパリ・オリンピックの最中。ひと時フランス・オルガン音楽の響きの饗宴に身をゆだねるのもまた一興だろう。セバスティアン・ヴァイグレ ©読響のために書かれた音楽をもとに作られた十数分ほどの作品である。初演は1946年。映画音楽を素材としているだけあって、短いながらも大編成を取り、モダンで美しく、聴きやすい作品となっている。また、コルンゴルトのつエドガー・モロー ©Parlophone Records Ltdながりで、ヨハン・シュトラウスII世へのオマージュである、「シュトラウシアーナ」が披露されるのも楽しみ。そのほか、ヴァイグレが十八番とするドイツ・オペラからウェーバーの歌劇《オベロン》序曲も演奏される。©Louis Nespoulous文:山田治生セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団名匠のタクトが鮮やかに描くドイツ・オペラのオーケストレーション この4月にR.シュトラウスの楽劇《エレクトラ》の演奏で大好評を博したセバスティアン・ヴァイグレ&読売日本交響楽団のコンビが、再び、得意のR.シュトラウスを取り上げる。今回は、歌劇《ばらの騎士》組曲。ヴァイグレ&読響は2017年に東京二期会の《ばらの騎士》上演に際しオーケストラ・ピットで共演しているだけに、彼らの関係の深化を聴くには最適の作品といえるだろう。 このコンサートでは、チェロのエドガー・モローが、ブルッフの名曲「コル・ニドライ」のほか、コルンゴルトのチェロ協奏曲を弾くことにも注目。モローは、1994年パリ生まれ。2011年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位に入賞した。演奏機会の少ない協奏曲にも積極的に取り組み、これまでにコルンゴルトのほか、オッフェンバック、ヴァインベルグ、デュティユー、グルダなどの録音を残している。コルンゴルトのチェロ協奏曲は、映画『愛憎の曲』

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