eぶらあぼ 2024.8月号
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65夜クラシック Vol.33 横坂 源・上野通明・水野優也・柴田花音旬のチェリスト4人が紡ぐ至高のアンサンブル 平日夜にすばらしいアーティストによる上質の音楽を楽しめる、文京シビックホールの人気シリーズ「夜クラシック」に、屈指の俊英チェリスト4人が集結! J.S.バッハからデューク・エリントンまで、世紀もジャンルもこえて愛される楽曲の数々を、チェロ・アンサンブルの深い響きで楽しめる8月の一夜となる。 出演は横坂源、上野通明、水野優也、柴田花音。コンクール受賞歴を中心に紹介すると、「ミュンヘン」第2位以来第一線で多彩に活躍を続ける横坂、コロナ禍中の「ジュネーヴ」優勝で注目を浴びた若手の旗手の一人である上野、「日本」と「東京」の両コンクールで第1位と聴衆賞に輝いた期待のホープ水野、昨年の「日本」で第2位受賞、惹きつけられる演奏とキャラクターでも印象を残した柴田と、実に魅力的な顔ぶれ。ソリストとして卓越した力量をもちながら、アンサンブルを完璧にこなせる柔軟性と視野も備えた4人の邂逅で、期待が大きい。 プログラムについて、中心的存在の横坂のコメントを参照すると、ドビュッシー「月の光」で始まり、「棘や毒と美しさが表裏一体で存在する感じ」が全体に伝わっていくイメージとのこと。ジョンゲンやフィッツェンハーゲン、エリン8/23(金)19:00 文京シビックホール問 シビックチケット03-5803-1111 https://www.b-academy.jp/hall/もにフェスティバルホールのステージに立つ決意をした。これは聴衆の感動が約束されたということに他ならない。 シューベルト、ベートーヴェン、そしてドヴォルザーク畢生の大作をまとめて聴いた最後にアンコールとして演奏される曲は、大阪フィル16型の弦楽器が奏でる恒例の「ダニーボーイ」だ。小林マエストロが指揮する、ダイナミックレンジをいっぱいに使った祈りの音楽にも似た「ダニーボーイ」こそ、他所では聴くことができないこのコン三大交響曲の夕べ 8/10(土)17:00 大阪/フェスティバルホール問 大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890 https://www.osaka-phil.com横坂 源 ©Takashi Okamoto上野通明 ©Seiji Okumiya水野優也 ©Yuji Ueno文:林 昌英文:磯島浩彰柴田花音 ©Shigeto Imuraトン、ピアソラと多彩な楽曲を経て、最後はガーシュウィン「ポートレート」で盛り上がる設計となる。その流れの中核に据えられるのはバッハ「シャコンヌ」。4人の奏でる重厚な傑作はやはり要注目。若き達人たちが、チェロの多様な表現を余すところなく伝える。小林研一郎 ©K.Miuraサートだけのご褒美のような演奏。未来のことは分からない。今この瞬間、至福のひと時を楽しみたい。チケットは完売間近。急ぐしかない。小林研一郎(指揮) 大阪フィルハーモニー交響楽団熱きタクトで導く三大交響曲 1990年に始まった大阪フィル真夏の風物詩「三大交響曲の夕べ」は、今年も灼熱の8月に通算33回目の公演を行う。序曲から始まり、協奏曲を経てメインの交響曲を演奏するという一般的なコンサートの流れとは違い、「未完成」「運命」「新世界より」という人気の交響曲3曲をまとめて演奏するというスタイルは、当時「美味しいところ取り!」と話題を呼んだ。 この公演を第1回目から指揮するのは小林研一郎。昨年から外山雄三、飯守泰次郎、小澤征爾と次々と巨匠指揮者が亡くなった日本の音楽界にあって、秋山和慶とともに最年長指揮者として益々活躍中だ。とはいえ、第1回当時50歳だった小林マエストロも現在84歳。全身全霊でこれらの名曲に向き合い、楽譜の行間から作曲家の声を探り、情熱的な指揮で聴く者にその魅力を届けてきた “炎のコバケン” は、34年を経過した今年も大阪フィルとと

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