eぶらあぼ 2024.8月号
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8/1(木)19:00 としま区民センター 多目的ホール問 プロムジカ使節団事務局090-3230-1685 https://www.promsinc.com60Interview進藤実優(ピアノ)ロシアでの研鑽を経て解き放つチャイコフスキー 読売日本交響楽団の「サマーフェスティバル」は毎年夏に開催される人気企画。「三大協奏曲」と「三大交響曲」から成り、「三大協奏曲」では、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの俊英ソリスト3名が、協奏曲の傑作を披露する。2024年は大井剛史の指揮のもと、中野りな(ヴァイオリン)、佐藤桂菜(チェロ)、進藤実優(ピアノ)が出演。その進藤に公演への意気込みなどを聞いた。 「読響の皆さんとの共演、東京芸術劇場で演奏することがどちらも初めてで、いまからどんな演奏になるかとても楽しみです。指揮の大井さんとは2021年にピティナの特級ファイナル、昨年の群馬交響楽団『高校音楽教室』に続き3度目の共演となります。こちらの意図をすぐに汲み取ってくださり、あたたかいお人柄が音楽にもあらわれていて…心から尊敬するマエストロですね」 今回の公演で、中野はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、佐藤はドヴォルザークのチェロ協奏曲、そして進藤はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏する。 「チャイコフスキーをコンサートで演奏するのは3回目で、約2年ぶりとなります。この曲に限らず、久しぶりに演奏する曲には常にゼロから始める気持ちでの活躍や、第161番では「マタイ受難曲」で有名なコラール旋律が登場するなど、聴きどころが多い。さらに平川加恵の新作も。歌手陣はデビュー盤で共演した加耒徹(バス)など豪華、器楽陣も大充実。コーアトーンと呼ばれる高いピッチを取るなど、攻めた仕掛け満載の模様だ。古楽を今に生きる臨んでいるのですが、今回もいまの私だからこそできる表現をお届けしたいです。チャイコフスキーは技術的に難しいだけでなく規模も大きな作品なので、俯瞰して取り組むことを心がけています」 第18回ショパン国際ピアノコンクールのセミファイナリストになり注目を集め、現在はハノーファー音楽演劇メディア大学で研鑽を積んでいる進藤。2021年まではモスクワ音楽院付属中央音楽学校で学んでおり、ロシアの作品にも多く触れてきた。そのなかで、ロシア人にとってチャイコフスキーの作品は特別だと感じたという。 「チャイコフスキーはロシアの“心”、もしくは“魂”といえるような存在で、ロシアの人々から非常に尊敬されています。そのぶん作品に対する想いも強く、妥協は許されません。モスクワで協奏曲のレッスンを受けたときには“もっとシンプルに”と言われたのをよく覚えています。また、民謡や童謡がもとになった楽曲であることを意識することも大切だと学びました。それらを念頭に置きつつ、ロシアの広大な大地のイメージ、これまで学読売日本交響楽団 サマーフェスティバル 2024 《三大協奏曲》8/21(水)18:30 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp圓谷俊貴音楽として蘇らせる「使節団」の壮大な船出。その乗客にならない手はない。んできたことをお届けできるように演奏したいです」 現在ドイツでレパートリーの拡大とともに、技術、表現力を磨き続ける進藤。新たな気持ちで挑む彼女のチャイコフスキーをはじめ、才能あふれる若き奏者たちの演奏を存分に堪能したい。取材・文:長井進之介プロムジカ使節団文:矢澤孝樹All Bach Cantatas Vol.1気鋭の古楽オーケストラ、バッハの大海原へと旅立つ! プロムジカ使節団はチェンバロ・通奏低音奏者の圓谷俊貴率いるピリオド楽器オーケストラ。池田梨枝子(ヴァイオリン)や山本徹(チェロ)をはじめ気鋭の奏者が揃い、声楽も積極的に導入、今や日本の古楽演奏の台風の目。デビュー盤『イタリアンソング』が本誌6月号で紹介されたばかりだ。 この8月に「使節団」は「All Bach Cantatas」という大プロジェクトを開始する。その名の通り、バッハのカンタータ全曲演奏を目指す。第1回は初期の第4番、第106番とヴァイマール時代の第161番。いずれも「生と死」に関わるテクストの作品であり、リコーダー2本

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