eぶらあぼ 2024.8月号
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を2008年に行い、演奏を重ねてきた間柄である。蓼沼も澤のプロデュースにより、彼らと2010年にシューマンとブラームスのピアノ五重奏曲を録音(和歌山・美里ホールでのセッション)し、高い評価を受けた。 今回の和歌山城ホールでのコンサートでは、澤はヴィオラで参加してモーツァルトの弦楽五重奏曲第2番を披露し、蓼沼はブラームスのピアノ五重奏曲を弾く。澤の生まれ故郷での共演は貴重な機会となる。塩しおのや谷 哲さとる想像の上をいく圧巻のライブパフォーマンス ジャズにクラシック、ラテンなど、幅広い領域で活躍するピアニストで作編曲家・塩谷哲のコンサートが横浜みなとみらいホールで開催される。前半は塩谷の独奏によるアコースティック・ピアノステージで、後半はフラメンコ・ギタリストの沖仁らを迎えてのコラボ・ステージとなる。 「ピアノ・ソロでは、様々なジャンルの音楽を通して自由に表現していきます。オリジナルだけではなく、皆様がよく知っている曲もその場で即興的に演奏する予定です。お客様の雰囲気を見て、対話するように選曲や演奏をしていくので、私自身、今からどんなものになるのか楽しみです」 プログラムは当日の“お楽しみ”だが、自作曲「Elegy for Piano and Orchestra」の第2楽章(ピアノ独奏)は決定している。昨年、塩谷のソロデビュー30周年のコンサートで東京フィルハーモニー交響楽団との共演により生まれた作品だ。 「ジャズとクラシックが見事に融合し、それぞれのジャンルの魅力を届けることに成功したガーシュウィン『ラプソディ・イン・ブルー』のような作品になってほしいという願いを込めて書いた楽曲です。これまで色々なジャンルの音楽に携わり、その魅力を知った私だか54(ピアノ)らこその作品で、ジャンルを超えた感動を多くの人に届けたいのです。これは私の使命でもあると思っています」 昨年の初共演が大いに話題を呼んだ沖とのコラボレーションが再び実現することも注目される。 「前回ご一緒した際、おたがいに強い手ごたえを感じましたし、お客様からも、“新しい一面を見ることができた”というお声をたくさんいただきました。沖さんのスパニッシュに対して私はラテンのスタイルで臨みますが、おたがいがもつグルーヴの共通点と相違点が重なることでどんどん新しい感動が生まれていくのです」 横浜みなとみらいホールで結成された、中高生によるジュニア・ビッグバンド「みなとみらいSuper Big Band」との共演も注目だ。 「熱い想いをもってジャズに取り組んでいる素晴らしいビッグバンドです。熱帯 JAZZ楽団等のメンバーの指導を受けていることもあって非常に高い演ヘンシェル・クァルテット ©HPRemark取材・文:長井進之介文:片桐卓也©平舘 平Brilliant Jazz Pianist 塩谷 哲 コンサート8/17(土)16:00 横浜みなとみらいホール問 横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000https://yokohama-minatomiraihall.jp9/28(土)14:00 和歌山城ホール(小)問 和歌山城ホール073-432-1212https://www.wakayama-johall.jp奏レベルで、若いエネルギーと前向きでストイックな姿勢が音からも伝わってきます。ぜひ多くの方に今回の演奏を聴いていただき、“ジャズっていいな”と思ってもらえたらうれしいですね」 塩谷哲というピアニストの多彩さと魅力を存分に感じられるステージとなることは間違いない。ジャンルを超え、音楽を愛するたくさんの人々にぜひ聴いてほしい公演だ。Interviewヘンシェル・クァルテット with 澤 和樹(ヴィオラ) & 蓼沼恵美子(ピアノ)ドイツを代表する弦楽四重奏団と日本の名手たちの麗しき邂逅 今年創設30周年を迎えたヘンシェル・クァルテットはドイツを代表する弦楽四重奏団としてめざましい活動を続けているが、1996年には大阪国際室内楽コンクールで第1位を獲得するなど、以前から日本でも知名度の高い団体である。来日の機会も多いが、今回は東京藝大学長を退任後もヴァイオリニストとして活躍する澤和樹、夫人でピアニストの蓼沼恵美子とともに和歌山でコンサートを開く。 ヘンシェル・クァルテットと澤は、これまでにマックス・ブルッフの弦楽五重奏曲の世界初演および世界初録音

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