eぶらあぼ 2024.8月号
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第763回 東京定期演奏会 9/6(金)19:00、9/7(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp9/27(金)19:00 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/48新の音楽学的成果が詰め込まれたフィナーレの意義を認めつつも、アダージョの静けさを存分に堪能できる3楽章版での演奏には筆舌に尽くしがたい魅力があるとカーチュンは語っている。 カーチュンがこの秋、首席指揮者に就任するマンチェスターのハレ管弦楽団から、コンサートマスターのロベルト・ルイジが客演し、日本フィルとともにブルックナーを演奏する点も要注目である。マエストロが「コンサートマスターになるために生まれてきた音楽家」と高く評価するルイジが、日本フィルとどのような化学反応を起こすのか、大いに期待したい。 バッハのヴァイオリン協奏曲第2番とヴィヴァルディの「四季」では、ソリストとして韓国の新星ヴァイオリニスト、ヤン・インモが招かれる。2022年のシベリウス国際コンクール、15年のパガニーニ国際コンクールで第1位を獲得した逸材だ。ニューイングランド音楽ベルリン・バロック・ゾリステンカーチュン・ウォン ©Ayane Satoヤン・インモ ©Neda Navaee院でミリアム・フリードに、ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学とクロンベルク・アカデミーでアンティエ・ヴァイトハースに師事している。ベルリン・バロック・ゾリステンとは今回が初共演。若き俊英が精鋭集団との間にどんな化学反応をもたらすのか、注目したい。文:八木宏之文:飯尾洋一カーチュン・ウォン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団初となるブルックナーは最愛の第9番 2023年秋に日本フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者に就任して以来、快進撃を続けるカーチュン・ウォン。就任1シーズン目から、マーラーの交響曲第3番、第9番やこだわりのガムラン・プログラムで音楽ファンの心を鷲掴みにしてきた。そんなカーチュンと日本フィルの2シーズン目は、ブルックナーの生誕200年を記念した交響曲第9番、一曲入魂のプログラムで幕を開ける。マーラーではすでに大きな成果をあげているカーチュンと日本フィルのコンビだが、両者がこの作曲家に取り組むのは今回が初めてとなる。 作曲家最後の交響曲にして未完の傑作、第9番は、カーチュンにとって最愛のブルックナー作品。この曲によってブルックナーの魅力に開眼し、その神聖さに心を揺さぶられてきたという。近年、第4楽章を含む補筆完成版での演奏も増えてきた第9番だが、今回は伝統的な3楽章版を演奏する。最ベルリン・バロック・ゾリステン with ヤン・インモ(ヴァイオリン)韓国の新星を迎えて輝きを増す至高のアンサンブル 世界最高峰のオーケストラであるベルリン・フィルの精鋭たちによって結成されたベルリン・バロック・ゾリステンが来日する。1995年に創設されて以来、彼らはバロック音楽を中心にさまざまなレパートリーに取り組んできた。単に「ミニ・ベルリン・フィル」に留まるのではなく、古楽のスペシャリストたちの薫陶を受けながら、モダン楽器にふさわしいバロックの演奏スタイルを追求してきたのがこのアンサンブルだ。 今回演奏されるのはバッハ・ファミリーの音楽とヴィヴァルディの協奏曲集「四季」。大バッハのヴァイオリン協奏曲第2番、「音楽の捧げもの」から「6声のリチェルカーレ」に、C.P.E.バッハの弦楽のためのシンフォニア ヘ長調やJ.C.F.バッハの弦楽のためのシンフォニア ニ短調を組み合わせて、バッハ父子の作風を対照させる。ヴィヴァルディの「四季」では雄弁で精彩に富んだ演奏を楽しめそうだ。

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