eぶらあぼ 2024.8月号
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第1004回 オーチャード定期演奏会9/15(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール第1005回 サントリー定期シリーズ 9/17(火)19:00 サントリーホール 第164回 東京オペラシティ定期シリーズ 9/19(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp9/13(金)15:00 高崎芸術劇場 音楽ホール問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/44高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Mastersシリーズ vol.8徳永二男 ヴァイオリン・リサイタル楽壇を支えてきた重鎮による熟成の音色を味わう 高崎芸術劇場の芸術監督・大友直人がプロデュースする演奏会シリーズ「T- Masters」は、日本を代表する演奏家を招いてその音楽を存分に堪能してもらおうというもの。その第8回が9月13日に開催される。出演するのは、東京交響楽団、そしてNHK交響楽団のコンサートマスターとして一時代を築いたヴァイオリニストの徳永二男だ。ソリスト、室内楽奏者としてだけでなく、近年は指揮者としても積極的に活動を行う。また、教育者としての優れた資質も、彼を語る際には避けて通ることはできない。今、日本の楽壇に徳永の薫陶を受けた演奏家がどのくらいいるのか、正確な数はわからないが、現在の日本クラシック界において層の厚さの一翼を担っていることは間違いない。まさに、“日本が誇るべき”ヴァイオリニストである。 そんな徳永が今回の演奏会のプログラムに選んだのは、フランクのヴァ想的だ。マクベスとマクベス夫人に、国際的に活躍し、本作でも高い評価を得ているセバスティアン・カターナとヴィットリア・イェオが出演する。カターナは一昨年、前述のチョン・ミョンフン指揮《ファルスタッフ》で題名役を歌い、その歌役者っぷりが絶賛されたのイオリン・ソナタ、サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」など、よく知られたヴァイオリンの名曲ばかり。生涯で幾度となく演奏してきたであろうこれらの作品に対する徳永の理解が群を抜いていることは言うまでもないだろう。ピアノは、彼がこれまで音楽監督を務めてきた宮崎国際音楽祭でも共演を重ねてきた坂野伊都子。豊かな響きに定評のある高崎芸術劇場音楽ホールで、巨匠が奏でる珠玉の名曲の数々にひたる。実に贅沢な午後のひとときではないだろうか。チョン・ミョンフン ©上野隆文セバスティアン・カターナヴィットリア・イェオ ©Sergio Ferriは記憶に新しい。イェオは同じ演奏会形式で16年に《蝶々夫人》に主演し、やはり素晴らしい歌唱を聴かせている。来日歌手陣に加え、日本人キャストも充実。新国立劇場合唱団も迫力の歌で、シェイクスピアの世界を描き出してくれるだろう。文:井内美香文:室田尚子©ヒダキトモコチョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団ヴェルディ 歌劇《マクベス》オペラ演奏会形式ヴェルディに精通するマエストロで聴く悲劇の「ドラマ」 東京フィルハーモニー交響楽団がもっとも深い絆で結ばれている指揮者の一人が、名誉音楽監督のチョン・ミョンフンであることに議論の余地はないだろう。なかでも長年続いている人気のシリーズが、彼らの演奏会形式でのオペラだ。近年はヴェルディが多く、2022年は《ファルスタッフ》、23年は《オテロ》、そして今年はついに《マクベス》が上演される。 《マクベス》はヴェルディが初めて取り組んだシェイクスピア原作のオペラだ。まだ若かった作曲家の、情熱がたぎるような傑作である。彼が、マクベス役を初演した歌手に国王暗殺後の場面で「声をひそめて歌う」ことを要求したり、マクベス夫人役の歌手に「耳ざわりな、くぐもった、暗い声」を望んだのは有名な話だ。ヴェルディが目指したのは美しい歌より、音楽によるドラマの表現だったのである。 その意味でも、今回のキャストは理

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