eぶらあぼ 2024.8月号
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■ N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp※各公演のプログラムや発売日等の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。27時代に好評を博した「白鳥の湖」をN響で初披露する公演も見逃せない。 10月はブロムシュテットが待望の復帰。ウィーン・フィルとも演奏して話題を呼んだオネゲルとブラームス、自身のルーツである北欧もの、ライフワークたるシューベルトの二大交響曲のいずれも集大成的名演の予感が漂うし、常に進取の意気を持った巨匠が与える新鮮な感触にも期待したい。 11月は3人の俊才が登場。日本期待の山田和樹がフランス近代音楽、ロシア生まれでラハティ響等のシェフを歴任したスロボデニューク、および世界を席巻するオロスコ・エストラーダは共にロシアものと、それぞれ得意のレパートリーで勝負する。“世界のヤマカズ”の色彩感、スロボデニュークの切れ味、オロスコ・エストラーダの重層感はすべて聴きものだし、後者2人のN響定期初登場にも熱視線が注がれる。 12月はルイージが24年を締めくくる。生誕150年のシェーンベルク初期の大作を軸にしたドイツ後期ロマン派、意外にも初挑戦の「展覧会の絵」等のスラヴ音楽、そして昨年のマーラー「一千人の交響曲」に続く、ゲーテの戯曲に基づく作品であるリスト「ファウスト交響曲」等、どれも劇的な快演が待っている。 25年1月はN響と相性抜群のソヒエフが、思い入れの深いショスタコーヴィチの「レニングラード交響曲」、第1コンサートマスターの郷古廉が弾くバルトークの協奏曲を含めた東欧プロ等を披露し、魔左より:ヘルベルト・ブロムシュテット ©Paul Yates/パーヴォ・ヤルヴィ ©Kaupo Kikkas/ウラディーミル・フェドセーエフ ©Roman Goncharov/トゥガン・ソヒエフ ©Marco Borggreve/アンドレス・オロスコ・エストラーダ ©Martin Sigmund/ペトル・ポペルカ ©Khalil Baalbaki/フアンホ・メナ ©Michal Novak/ディマ・スロボデニューク ©Marco Borggreve左より:ギエドレ・シュレキーテ ©Theresa Pewal/タルモ・ペルトコスキ ©Peter Rigaud/エレーヌ・グリモー ©Mat Hennek/藤田真央 ©Dovile Sermokas/ラデク・バボラーク ©Lucie Cermakova/尾高忠明 ©Martin Richardson/山田和樹 ©Yoshinori Tsuru/下野竜也 ©Nanako Ito術師的なタクトで聴く者を酔わせる。 2月はチェコ出身の期待株ポペルカがN響初登場。ヤナーチェクなど得意のお国ものはもちろん、シュターツカペレ・ドレスデンのコントラバス奏者の経験が生きるドイツ名曲においても、力感溢れる持ち味とN響の伝統とのマッチングが興味をそそる。加えて、正指揮者・下野竜也が軽快で華麗なオペレッタの世界へ誘う。 4月はP.ヤルヴィが帰還。巡礼の旅に因んだ作品、快演続くストラヴィンスキー等近代のレパートリーで、持ち前の解析力を発揮し、生気漲る音楽を紡ぎ出す。 5月は、ルイージのマーラーで欧州公演に向けた気迫を体感。さらにオペラを中心に活躍する女性指揮者シュレキーテが、歌劇を原作とするR.シュトラウスの2作品等でN響初登場を果たす。ここは欧州でも高評の巧みな語り口に注目。 6月は多世代の競演。ロシアの巨匠フェドセーエフがお国の名曲で極め付きの迫真性、スペインの名匠メナが、恩師チェリビダッケ譲りのブルックナー、しかもレアな交響曲第6番で録音でも魅せた雄大かつ起伏に富んだ構築、ドイツ・グラモフォンと指揮者最年少で専属契約を結んだ2000年フィンランド生まれの超新星ペルトコスキがマーラー等で溌剌たる才腕を披露する。 実に多彩で、世界的にも最高水準の陣容となった新シーズンが待ち遠しい。

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