■■■■■■11月の見もの・聴きもの曽雌裕一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場11月1、4、8、11、13、15日 プッチーニ:蝶々夫人 指/G.ビサンティ、演出/A.ミンゲッラ、出/M.レベカ、D.スシュコワ◎11月2日 プッチーニ:ラ・ボエーム 指/G.シュレキーテ、演出/F.ゼッフィレッリ、出/S.ピルギュ、E.カジュタジ、L.ネイヴァ◎11月3、7、10日 ブリテン:ビリー・バッド 指/M.ウィグルスワース、演出/W.デッカー、出/G.クンデ、H.M.レンドール、B.シェラット、A.エレート11月6日 P.イェンデS11月9、12、16、18日 ドニゼッティ:ドン・パスクワーレ 指/G.サグリパンティ、演出/I.ブルック、出/E.シュロット、E.ロチャ、D.ルチアーノ、P.イェンデ11月14、17、20、24、27日 マスネ:マノン 指/E.ヴィヨーム、演出/A.セルバン、出/K.ムヒタリアン、V.グリゴーロ◎11月22、25、28、30日 モンテヴェルディ:ウリッセの帰還 指/S.ゴットフリート、演出/J.ヴィーラー、S.モラビト、出/G.ニグル、S.メイトランド、C.デュボワウィーン・フォルクスオーパー11月1(19:00)、12(19:00)、17(18:00)、19(19:00)、24(11:00+19:00)、29(19:00)日バーンスタイン:ウェスト・サイド・ストーリー(ミュージカル) 演出/L.デ・ベア11月2(19:00)、7(19:00)、18(19:00)、22(19:00)日 レハール:メリー・ウィドウ 演出/M.クレマン11月3(17:00)、5(19:00)、14(11:00)、27(19:00)日 J.ボック:アナテフカ(ミュージカル) 演出/M.ダヴィッズ11月4(19:00)、6(19:00)、9(19:00)日 E.ミルチ=シェリフ:アルマ[24年10月プレミエ] 指/O.M.ウェルバー、演出/R.ブラウアー=クヴァム 昨年の11月コメントでもご紹介したことだが、例年11月というのは、ヨーロッパのオーケストラが、アジアやアメリカ方面など大規模海外ツアーを行うことが慣例的に多い。今年も、ベルリン・フィル(指揮ペトレンコ)やコンセルトヘボウ管(指揮マケラ)がアメリカツアーを行い、ウィーン・フィル(指揮ネルソンス)、バイエルン放送響(指揮ラトル)、ミュンヘン・フィル(指揮ソヒエフ)などが日本を含むアジア・ツアーを行う。そのため、ツアーに先立つ現地での公演は、ほとんどの場合はツアー演目の予行演習的な内容となるが、その中で異彩を放つのが11月第1週目のバイエルン放送響の演目。何とワーグナー「トリスタンとイゾルデ」の2幕だけを演奏会形式でラトルが振る、という嬉しいような中途半端なような公演。どうせなら、1981年にこのオケでバーンスタインが行った、1幕ずつ3回の「トリスタン」全曲公演にしたらいいのに…と思うが、それにはツアー直前のこの忙しい時期にはとても無理。全曲を意識しない、あくまで「2幕」だけのコンサートというコンセプトなのだろうが、いずれにしてもダヴィドセンの歌うイゾルデが大いに聴きものなのは確かだ。 一方、コンセルトヘボウ管に帯同してアメリカ・ツアーを行うクラウス・マケラの評価が難しい。数十年に一度の天才として13011月8(19:00)、13(19:00)、16(18:00)、21(18:00)日 モーツァルト:魔笛 演出/H.メイソン★◎11月10(11:00)、17(11:00)日 J.アロウアス:ボタン戦争[プレミエ] 演出/J.アロウアス11月10(18:00)、15(19:00)、23(19:00)、30(18:00)日 チャイコフスキー:イオランタとくるみ割り人形 演出/L.デ・ベアアン・デア・ウィーン劇場〔注〕2022年より継続していた改修工事が終了し、2024/25シーズンは本来の劇場で公演が行われます。★◎11月15(19:00)、17(19:00)、19(19:00)、22(19:00)、24(19:00)、26(19:00)日シューマン:楽園とペリ(演出付上演)[プレミエ] 指/G.シュレキーテ、演出/C.ロイ、演奏/ウィーン放送響11月18(19:00)日 ヘンデル:ロデリンダ(演奏会形式) 指/R.ペ、出/K.ゴーヴァン、R.ペ、G.ブリデッリ、L.モラッシ、M.パラッツィ、演奏/ラ・リラ・ディ・オルフェオウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)]〔11月7日-17日:日本公演〕◎11月22(15:30)(公開リハーサル)、23(15:30)、24(11:00)、26(19:30)、27(19:30)(KH)日 A.アルティノグリュ指揮 B.ハルトル:4月(大管弦楽のためのバラード)、ジョリヴェ:ファゴット、弦楽、ハープとピアノのための協奏曲、ベルリオーズ:幻想交響曲 独/S.デルヴォーfgウィーン響[会場:(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(STU)颯爽とデビューした後、ベルリン・フィルとの初共演で事実上大失敗(多くのマスコミ報道などによる)し、手厳しい批評も珍しくなくなっていたマケラだが、新シーズンにはベルリン・フィルにも復帰(バーデン=バーデン復活祭音楽祭)し、ウィーン・フィルにも呼ばれている(12月)。この急激な再起ぶりがかえって謎を呼んでしまうが、この11月も彼は、パリ管、コンセルトヘボウ管、ロンドン響と多忙を極めている。本欄でも一時期◎印を付けるのを回避していたが、この謎の再起故の興味という意味合いで、再び◎印を付け始めている。 ところで、相変わらず他と違った企画魂を発揮しているのがエサ=ペッカ・サロネン。パリ管でマーラーの交響曲第2番「復活」を振るのは珍しくないとしても、演奏会場が通常のフィルハーモニー・ド・パリに隣接したヴィレット・グランド・ホールという多目的ホールだということ。ここで、カステルッチの演出付で上演するのだという。意欲は買うが、演出が逆効果にならないことを祈るばかりだ。 他にオーケストラでは、ベルリン州立歌劇場音楽監督就任後初めてシュターツカペレ・ベルリンをティーレマンが振る演奏会、リゲティのポエム・サンフォニック(100台の機械式メトロノームのための)が演奏されるコーミッシェ・オーパー管の演奏会、ベルリン・ドイツ響のティチアーティお別れコンサート、メッツマッハー=NDRエルプフィルのシェーンベルク「ヤコブの梯子」、プッチーニの珍曲ばかりを並べたエッセン・フィル等々、まだまだ面白そうなものはたくさんある。 さてオペラの話題が後になってしまったが、11月に注目すべきは、改装なったアン・デア・ウィーン劇場でのシューマン「楽園とペリ」の演出付上演(シュレキーテ指揮)、シャーガー、ニールンドの出演するベルリン州立歌劇場のR.シュトラウス「影のない女」、ケルン歌劇場でのハイドン「天地創造」(ミンコフスキ指揮)、フランクフルト歌劇場のベルク「ルル」プレミエ(グックアイス指揮)、バイエルン州立歌劇場でのワーグナー「ラインの黄金」とヴァインベルク2作品上演、チューリヒ歌劇場でのシュニトケ「愚者との生活」、ミラノ・スカラ座でのワーグナー「ラインの黄金」(ティーレマン指揮)、フェニーチェ歌劇場のヴェルディ「オテロ」、ナポリ・サンカルロ歌劇場のドヴォルザーク「ルサルカ」(グリゴリアン出演)、英国ロイヤル・オペラのオッフェンバック「ホフマン物語」といったところだろうか。これ以外では、バーデン=バーデン秋の音楽祭でのヘンゲルブロックの活躍振りが目を奪う。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演=ベートーヴェンザール[リーダーハレ](シュトゥットガルト)、(FRB)=ロルフ・ベーメ・ザール[コンツェルトハウス](フライブルク)、(MUC)=イザールフィルハーモニー(ミュンヘン)、(FRA)=アルテオーパー(フランクフルト)、(HAM)=エルプフィルハーモニー(ハンブルク)、(KOL)=フィルハーモニー(ケルン)、(DUS)=トーンハレ(デュッセルドルフ)、(HAJ)=クッペルザール[コングレス・ツェントルム](ハノーファー)]◎11月7(19:30)(KH)、9(19:30)(KH)、10(15:30)(KH)日 P.ジョルダン指揮 マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」 独/E.タイゲS、J.ファン・オーストルムS、R.ミューレマンS、T.A.バウムガルトナーA、N.ベイナルトA、B.ブルンスT、C.マルトマンBr、T.ナズミBs◎11月19(19:30)(MV)、20(19:30)(MV)、22(19:30)(STU)、23(20:00)(FRB)、24(20:00)(MUC)、25(20:00)(FRA)、26(20:00)(HAM)、27(20:00)(KOL)、28(20:00)(DUS)、29(19:30)(HAJ)日 M.ジャコ指揮 ブルックナー:交響曲第7番(レーヴェ版)〜アダージョ、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルクによる管弦楽編曲版) 独/M.ドゥエニャスvnムジークフェライン[楽友協会]大ホール[ウィーン](主要公演のみ)◎11月6(19:30)日 A.グリゴリアンS ラフマニノフの作品 共/L.ゲニューシャスp11月7(19:30)日 R.ブッフビンダーp、H.ハーンvn、G.カプソンvc シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番、第2番11月9(15:30)日 E.ガードナー指揮ロンドン・フィル → 〔ロンドン・フィル〕参照◎11月14(19:30)日 D.ガッティ指揮シュターツカペレ・ドレスデン → 〔シュターツカペレ・ドレスデン〕参照◎11月15(19:30)、17(15:30)日 F.ルイージ指揮トーンキュンストラー管 モーツァルト:2024年11月の
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