eぶらあぼ 2024.7月号
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9/25(水)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp54呼び名が高く、最近は日本でも演奏の機会が増えてきた。作曲家の書法を熟知した大友のタクトが、作品を見通し良くダイナミックに提示してくれるだろう。 プログラム前半にはトルコのベテラン、フセイン・セルメットを招きバルトークのピアノ協奏曲第2番。幅広いレパートリーを持つセルメットは、東響ファン、ピアノ好きの方々にはおなじみのピアニストだろう。バルトークは大友&東響と98年に第3番を共演しており、その様子はCDにもなっているが、丁寧かつ繊細に運びな東京オペラシティシリーズ 第140回7/7(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp世界観が照射されていく。 9月のシリーズ第1回は、シューベルトの第9番と第13番「ロザムンデ」にウェーベルンの「弦楽四重奏のための5楽章」op.5が挟まれる、硬派かつ意欲的なプログラム。ウェーベルンは後年ほどのストイックさはまだ薄く、無調の緊張感の中にエモーショナルなものが大友直人 ©Rowland Kirishima菊野凛太郎三澤響果フセイン・セルメット ©Mat Hennekがら、最後はキレのあるテクニックで力強く締めている。時代が一回りした今、第2番でどんな化学反応が起こるのかが楽しみだ。山本一輝文:江藤光紀文:林 昌英パク・イェウン十分に感じられるはず。シューベルトの第9番はト短調の厳しい響きに10代の作曲者の閃きが光る佳品で、「ロザムンデ」は名旋律の数々とハーモニーの繊細な変化がしみじみ美しい名品。いずれもごまかしは1秒もきかない作品ばかり。まだ若き4人の確信あふれるステージを体感する。大友直人(指揮) 東京交響楽団しなやかなタクトで導く壮大なエルガーの世界 東京交響楽団が七夕に開催する東京オペラシティシリーズ 第140回では、同楽団名誉客演指揮者の大友直人がお得意のエルガー作品を引っ提げて登場する。 大友が東響の正指揮者に就任したのは1991年のこと。その長い共演歴において大友はイギリスのモダンな作品を好んで取り上げてきたが、とりわけエルガーは重要な作曲家であり、交響曲以外にも「神の国」「使徒たち」「ゲロンティアスの夢」といった日本では知られていなかったオラトリオの大作を紹介した功績は大きい。その集大成として昨年1月の「名曲全集」では交響曲第2番を取り上げ、CD化されて話題にもなっただけに、今回の第1番に注目が集まる。 この作品は、50代に入り成功を収めつつあったエルガーの名声を決定づけた作品で、冒頭に提示される勇壮な主題が循環する。初演当初から名曲のクァルテット・インテグラ Vol.1 〜シューベルトとウェーベルンⅠ〜飛躍を続ける四重奏団の新シリーズがスタート! 瞬く間に日本を代表する常設四重奏団と見なされる存在になったクァルテット・インテグラ。ミュンヘンのコンクールで第2位と聴衆賞受賞、現在はロサンゼルスのコルバーン・スクールでレジデンス・アーティストとして在籍し、研鑽を積みながら演奏活動を展開。今年からチェロにパク・イェウンが正式加入し、彼らの活動は新たなステージに入っている。 その新生インテグラが、王子ホールで注目の新シリーズを開始する。最初のテーマに選んだのはシューベルトとウェーベルン。それまでにない精妙かつ大胆なハーモニーで19世紀ロマン派の流れを作ったシューベルト。爛熟した後期ロマン派の音楽を経て、無調から十二音音楽を先鋭的なまでに押し進め、20世紀音楽の潮流を作ったウェーベルン。約1世紀を隔てたウィーンで、新たな音楽の領域を確立した2人を組み合わせることで、それぞれの

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