eぶらあぼ 2024.7月号
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第163回 東京オペラシティ定期シリーズ7/24(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第1002回 オーチャード定期演奏会 7/28(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール第1003回 サントリー定期シリーズ 7/29(月)19:00 サントリーホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp8/20(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com谷 昂登(ピアノ) & 水野優也(チェロ)気鋭ふたりの快演で暑気を吹き飛ばす 若手演奏家を積極的にコンサートに起用し、その成長する姿を常にリアルタイムで紹介してくれるトッパンホール。8月には、いま期待を集めるふたりが登場する。谷昂登(ピアノ)と水野優也(チェロ)である。 トッパンホールのプログラミング・ディレクターである西巻正史はまだ北九州市に住む中学生時代の谷と出会い、それ以降、様々な形で同ホールのコンサートに招いた。その後、谷は地元でも、また全国でも注目の存在となった。水野も昨年、名物企画ランチタイムコンサートに出演して、その伸び盛りの実力をみせてくれたが、名手ペレーニに続き、現在はザルツブルクでクレメンス・ハーゲンの薫陶を受けつつ、日本国内でも様々なところでその演奏を聴くことができるようになった。 初共演となる今回のプログラムはかなり凝ったもの。前半は谷のソロでベートーヴェンの幻想曲ト短調とブラーム50 前半の演目、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番も、自身名ピアニストだったエッティンガーに相応しい。独奏は阪田知樹。16年フランツ・リスト国際ピアノコンクール優勝以来、内外で活躍を続ける彼は、的確な打鍵で雄弁な音楽を奏でる、俊英世代屈指の実力者だ。しかも記念碑的な短調協奏曲=20番は、同作曲家の権威だった恩師バドゥラ=スコダのもとで最初に学んだモーツァルト協奏曲だというから、これもぜひ聴いてみたい。ダン・エッティンガー ©Froehlingsdorf谷 昂登 ©井村重人スの「パガニーニの主題による変奏曲」が披露され、後半では谷&水野によってベートーヴェンの「《魔笛》の主題による7つの変奏曲」、そしてブラームスのチェロ・ソナタ第1番が演奏される。意外な選曲に加え、変奏曲を前後半それぞれに取り入れ、最後は大曲で締める。阪田知樹 ©Ayustet 「今、両者が再び巡り合い、ブルックナーとモーツァルトを演奏するのは絶対、特別な瞬間となる」と語るエッティンガー。久々の本格コラボに胸が高鳴る。文:柴田克彦文:片桐卓也水野優也こうした趣向を凝らしたプログラムが組めるのも、ホールと演奏家の関係が深く、お互いの信頼感があるからだ。その上に立って、若いふたりがどんな演奏を展開してくれるのか。さらに関心は高まっていく。夏の一夜をその意欲的な演奏とともに過ごしたい。ダン・エッティンガー(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団濃密な名作&名演で古巣への帰還を飾る ダン・エッティンガーが10年ぶりに東京フィル定期に登場する。現在、シュトゥットガルト・フィル、イスラエル・オペラ、ナポリ・サンカルロ劇場等の音楽監督を兼任する彼は、2010年から15年まで東京フィルの常任指揮者を務めた(その後は桂冠指揮者)。在任中は重層的かつ鮮烈な演奏で充足感を与えてくれたが、巨匠の風格を備えた今、充実顕著な東京フィルを指揮して、いかなる音楽を聴かせてくれるか? その成果に注目が集まるし、近年の同楽団定期には稀なドイツ地盤の指揮者との共演が、新鮮な感触をもたらすことへの期待も大きい。 メインは、今年生誕200年を迎えたブルックナーの中でもポピュラーな交響曲第4番「ロマンティック」。これは東京フィルとの初のブルックナー演奏だが、エッティンガーは「最も指揮した回数が多いから選んだ」と磐石の構えだし、かつての当コンビの重厚で濃密なトーンからも名演の予感が漂う。

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