6/5(水)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227 https://stage.exhn.jp第547回日経ミューズサロン ケマル・ゲキチ ピアノ・リサイタル■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 待ち望んでいた音楽ファンにとって嬉しいニュースだ。2021年、怪我によりキャンセルとなってしまったケマル・ゲキチのリサイタルが、この6月ついに実現する。圧倒的な超絶技巧と熱量たっぷりの表現力により、聴き手の心を鷲掴みにするゲキチ。1962年クロアチア生まれの彼は、85年のショパン国際ピアノコンクールでファイナリストに残らなかったが、彼を支持した審査員たちが次々と辞退するという形でしっかりとその爪痕を残した。その後は多くの国々からの招聘を経て、ピアニスト47Interview田村麻子(ソプラノ)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 1936年にカリフォルニア州バークレー市で創設された、カリフォルニア州最古のユースオーケストラであるヤング・ピープルズ・シンフォニー・オーケストラ(YPSO)。このYPSOが6月、初の来日公演を行う。その最終日に東京芸術劇場で演奏されるプーランク作曲「グローリア」でソリストを務めるのが、ニューヨーク在住のソプラノ歌手・田村麻子だ。アメリカはユースオーケストラがとても盛んだというが、その中でもYPSOは「演奏技術が高く、また世界各地で演奏旅行を行うなど、とてもしっかりとした組織だという印象を持っている」と田村は語る。 「若い器楽奏者の中には、ソリストを目指す人もオーケストラ・プレイヤーを目指す人もいると思いますが、その道のりはまったく違います。ただ、どちらにしても、両方の経験を積んでおくことは大切だと思います。特に若い時代には、楽しいと思える音楽体験をたくさんしておいた方がいい。今回は、東京藝術大学附属高校のオーケストラも出演します。オーケストラは仲間と一緒に素晴らしい音楽をシェアでき、ひとりでは出せない音をみんなで出したり、指揮者やオケの仲間と一緒に音楽をつくっていける。日米の若者たちにとって、この公演が将来につながる原体験になればいいと思います」としての成功を手に入れた。 多彩なレパートリーを持つゲキチだが、今回のプログラムは、ショパンの「小犬のワルツ」「雨だれ前奏曲」「英雄ポロネーズ」やリストの「愛の夢第3番」「ため息」「ハンガリー狂詩曲第2番」など、名曲中の名曲のオンパレードだ。鬼才ゲキチの手に掛かれば、名曲の新たな一面に出会えること必至。説得力あふれるゲキチの解釈により聴き慣れた作品群がどう響くのか、実に楽しみである。 田村は中学校時代までピアニストを目指していたが、あまりに手が小さかったことからその夢を断念。しかし高校時代にミュージカルに出会い、声楽家への道を志すことになる。 「母からも、歌の方が向いているのではと常々思っていたと言われ、音大の声楽科へ進むことを決めました。そこでオペラと出会い、もともと小さい頃から歌うことやお芝居が好きだったので、その両方の要素が満たせるオペラ歌手になりたいと思いました」 今回演奏する「グローリア」を作曲したプーランクとは、ピアノを勉強した時代に出会った。 「ピアノ協奏曲の奇想天外な展開に心をつかまれ、プーランクが大好きになりました。1996年にサイトウ・キネン・フェスティバル松本で上演されたオペラ《ティレジアスの乳房》には、合唱の一員として参加しました。『グローリア』は作曲家60歳の時の作品で、とてもプーランクらしさを感じさせる要素と宗教的な意味合いが融合しヤング・ピープルズ・シンフォニー・オーケストラ6/25(火)18:30 東京芸術劇場 コンサートホール問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jpた、スペシャルな音楽。今回、この作品をYPSOとともに日本で歌えるのがとても楽しみです」 アメリカ流のグローバルな視点を持ち、世界で活躍する田村麻子がアメリカと日本の若者たちと一緒に奏でるプーランク。これは聴き逃せない公演になりそうだ。取材・文:室田尚子文:飯田有抄
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