第398回 横浜定期演奏会 6/15(土)17:00 横浜みなとみらいホール第405回 名曲コンサート 6/16(日)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp8/8(木)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com周すほう防亮介(ヴァイオリン) イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲■■■■■■■■■■■■■ 名ヴァイオリニストとしても知られていたイザイ。彼の作曲したもののなかでも、無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、さまざまな技巧やスタイルがちりばめられた、もっとも野心的な作品だ。全6曲からなるソナタは、それぞれシゲティ(第1番)やティボー(第2番)、クライスラー(第4番)といった往年のヴァイオリニストたちに捧げられている。 今夏、周防亮介がソナタ全6曲の公演に臨む。力強さと艶やかさを併せ持ち、スケールの大きな演奏を聴かせるヴィルトゥオーゾだ。なんといっても、一つひとつの楽曲への入れ込み具合は壮絶そのもの。そして、曲の技巧的な難度が高ければ高いほど、ひたむきなまでにその集中力は増し、音楽はさらに大きくなる。 弦楽器の殿堂たるトッパンホールで聴く周防のヴァイオリンは、とりわけ輝かしく感じる。2021年には、パガニーニとシャリーノのカプリースを組み合40わせ、その動と静がうねるようなプログラムで客席を魅了した。その後も、精彩ながら強靭な集中力で弾ききったヴィトマン作品、あるいはアンサンブルのメンバーとしても優れた腕前を披露した。オーケストラが鳴っているかのように響いた、エルンストの「シューベルトの『魔王』の主題によるグランド・カプリース」も忘れがたい。 この演奏家にとって、イザイのソナタはさまざまなアイディアが次々にわき出てくる泉のような音楽。それぞれ違ったスタイルをもつソナタを鮮やかに描き分けてくれるのではないか。小林研一郎 ©山本倫子サートはオール・ベートーヴェンで、後半には交響曲第6番ヘ長調op.68が組まれている。「皇帝」も「田園」も前後して偉才のいわゆる「傑作の森」をなす名作だが、名曲こそ名演で聴くにかぎる。 ベートーヴェンはそれぞれの音楽家人生を通じて中心に見据えられてきた作曲家に違いなく、時代を生き抜いエリソ・ヴィルサラーゼ ©Nikolai Puschilinてきたふたりの共演にまさにふさわしい。桂冠名誉指揮者の小林が日本フィルと長らく築いてきた信頼がそれを篤く実らせることだろう。 ここまで「円熟」や「巨匠」といった言葉を用いずに記してきたのは、ふたりの熱き心が、いつまでも純粋なまでの若さを保っていると信じられるからだ。©JUNICHIRO MATSUO文:青澤隆明文:鈴木淳史小林研一郎(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 信念の人である。しかも熱く、感情の濃い人である。だから、一本気で頑固にもみえるが、そうして愛する音楽への芯をしっかりと貫いてきたに違いない。 小林研一郎とエリソ・ヴィルサラーゼ、両者の話である。指揮者とピアニストはほぼ同世代で、第2次世界大戦の時代に生まれ、いまや80代を歩んでいる。若い演奏家たちに厳しく温かな心で接し続けてきたのも共通点だろう。 ヴィルサラーゼは、演奏会と後進の指導を含めたさまざまな局面で、近年足しげく日本を訪れ、情熱と確信に満ちた姿をみせている。小林とは2018年7月の読響定期で共演し、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番ハ長調op.15に、揺るぎない存在感をもって豊かな内実を示していたのが鮮やかな記憶だ。 数年がめぐり、この初夏の共演に選ばれたのは同じベートーヴェン最後のピアノ協奏曲第5番変ホ長調op.73、堂々たる覇気に漲る傑作だ。しかも、コン
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