eぶらあぼ 2024.6月号
41/141

6/28(金)18:45 東京オペラシティ リサイタルホール問 キーノート0422-44-1165 https://www.ensemble-nomad.com楽宇宙」をコンセプトとした小品集。 「まだ全曲を固めたわけではないのですが、せっかくですから20曲にしたい(笑)。ショパンの即興曲第3番やバッハ=ペトリの『羊は安らかに草を食み』など、皆さんが『この曲は聴いたことがあるし大好きだ』と思われる曲から未知の素敵な曲まで、音楽のウィンドウショッピングをお楽しみいただければと考えています」38Interview河村尚子(ピアノ)■■■■■■■■■■■■■■ 2024年は、ドイツ在住のピアニスト、河村尚子の日本デビュー20周年に当たる。 「2003年のゲザ・アンダ国際コンクールで入賞した時の審査員で指揮者のウラディーミル・フェドセーエフさんが、翌年の東京フィルハーモニー交響楽団定期に抜擢してくださり、ショパンの協奏曲第2番を弾いたのが最初でした」 2009年にはBMG(現ソニークラシカル)からショパン作品集をリリース、ディスクデビューも果たした。 20周年記念のイベントもコンサート、ディスクの二本立て。リサイタルは9月19日の佐賀を皮切りに30日の東京まで全国7ヵ所を回る。中でも最終日の東京は、ソロ・リサイタルでは初めてのサントリーホールとなる。それぞれの曲目に対する河村自身のコメントを列挙する。 「J.S.バッハ=ブゾーニの『シャコンヌ』は2011年の東日本大震災の1ヵ月後、自粛さなかの東京で弾いた曲。今回も能登半島地震で被災した方々への祈りとして奏でます。プロコフィエフのソナタ第7番『戦争ソナタ』は恩師ウラディーミル・クライネフ先生の十八番でしたが、私にとっては新しいレパートリーです。ドイツに住んでいるとウクライナもガザも日本より間近に感じられ、安らかな日々が崩壊しつつある気がします。『戦ず、感覚の歓びを与えてくれる作品だという。 ジャジーな気分からアンティークな雰囲気までリズミカルに千変万化するリゲティのピアノ協奏曲の独奏を務めるのは、現代ものに定評のある田中翔一朗。坂田作品のエレキギター独奏・山田岳とともに独奏陣も豪華。余の「海底から昇りて、天に触れん」は2023年に中国・成都で行われた作曲コンクールの優勝曲で、本選の演奏を担当したのがノマドだった。今回は改訂を施した新バージョンのお披露目となる。争ソナタ』は今の世の中を映す鏡です。 ショパンのソナタ第3番を大ホールで弾くのは初めて。2011年録音のディスクもあり、この曲とともに成長してきた姿を節目の年に改めて、お聴かせします。即興曲第3番と組み合わせた理由は、最近フランス音楽に力を入れていることもあり、ショパンの中でもとりわけフランス的と思える作品だからです」 前半ではケルン在住の作曲家、岸野末利加(1971~)への委嘱作品「単彩の庭(Monochromer Garten)IX」が目を引く。 「私が教えているエッセンのフォルクヴァング芸術大学の同僚を通じて知り合いました。日本庭園をイメージした『単彩の庭』は2011年から様々な編成で書き連ねているシリーズですが、ピアノソロはIXが初めてです」 今年6月にノイマルクト(ドイツ)でセッション録音する予定の20周年記念アルバムは「小さきものに宿るは無尽蔵の音デビュー20周年特別プログラム 河村尚子 ピアノ・リサイタル9/30(月)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp他公演9/19(木) 佐賀/焱の博記念堂文化ホール(0955-46-5010)9/21(土) 神奈川/フィリアホール(045-982-9999)9/22(日・祝) 山形/白鷹町文化交流センター AYu:M(あゆーむ)(0238-85-9071)9/25(水) 栃木県総合文化センター(とちぎ未来づくり財団文化振興課028-643-1010)9/28(土) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール(0798-68-0255)9/29(日) 軽井沢大賀ホール(0267-31-5555)取材・文:池田卓夫文:江藤光紀©Maki Takagi©Marco Borggreveアンサンブル・ノマド 第81回定期演奏会 ダイバーシティ・多様性 Vol.1 世界の眺望■■■■■■■■■■■■■■■■ 2024年度のアンサンブル・ノマド定期は「ダイバーシティ・多様性」をテーマに掲げた。その第1回は「世界の眺望」と題し、東西から多彩な音楽を届けてくれる。日本からは坂田直樹のエレキギターを用いた新作、福士則夫作品。続いてラテンに移り、イタリアのガブリエレ・マンカとスペインのガブリエル・エルコレカの2曲の日本初演、さらにハンガリー系の家庭に生まれたリゲティ、最後に中国から余铸恩の作品が演奏される。どれも論理的な思考に裏打ちされながら、遊び心を失わ

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る