11/26(火)19:00 東京文化会館(小)11/28(木)19:00 武蔵野市民文化会館(小)■ アレグロミュージック03-5216-7131https://www.allegromusic.co.jp※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。他公演 11/30(土) 兵庫県立芸術文化センター(小) (0798-68-0255) 7/28(日)発売32 ザ・キングズ・シンガーズ、ヒリヤード・アンサンブル、タリス・スコラーズ、ザ・シックスティーン、VOCES8…イギリスは錚々たるアカペラ・グループを生み出してきている。今年も6月にタリス・スコラーズ、10月にザ・キングズ・シンガーズと、実力と歴史を兼ね備えた団体がそれぞれの個性を発揮するプログラムを携えて来日するが、11月この顔ぶれに新たなグループが加わる。ルネサンスを代表する作曲家の名を冠したジェズアルド・シックスだ。 2014年に創設されたジェズアルド・シックスは、バスを担当するオワイン・パークを音楽監督とし、ザ・キングズ・シンガーズと同様の2名のカウンターテナーを配した6名のメンバーからなり、2018年のレコーディングデビュー以降すでに9枚のCDをリリースしている。 デビューCDは『イングランドのモテット集』、ダンスタブルにはじまり、ホワイト、ギボンズ、タリス、バードなどルネサンスの声楽に関心のある人には馴染みある自国の正統派レパートリーからキャリアをスタートした。しかし、次のCD『クリスマス』以降、このグループを特徴づけるレパートリーの飛躍的な拡大が始まる。ヒリヤード・アンサンブルも現代のアカペラ作品をとりあげていたが、ジェズアルド・シックスはより積極的に現代の、それもまだ若い作曲家の作品を取り上げ、強くコミットすることで自分たちのポリフォニーの糧にしていることが感じられる。これは、現在まだ30歳の音楽監督のオワイン・パークが歌手としてだけでなく、作曲家、オルガニストという多彩な能力を十全に発揮していることによるだろう。パークの自作だけでなく、ジョン・タヴナーの清明な響き、エレノア・デイリーの不協和音を伴いながら移ろいゆく幽玄な響きなど、ルネサンス・ポリフォニーとは異なる、いや、そこから発展して行き着いた響きに、聴く人は魅了されるに違いない。 今回の来日では、「フェイディング」「ザ・ウィッシング・トゥリー」の2つのプログラムを携えて公演を行う。プログラムについても少し解説しておきたい。2020年発表の『フェイディング』という同名のCDでは、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンにはじまり、ルネサンスと現代のポリフォニーへと瞑想的な音楽の旅の趣きだったが、今回のプログラムはそれをブラッシュアップしたものといえるだろう。ルネサンスと現代をつなぐ作品にも目を配り、より祈りの気持ちを強く表したものとなっている。一方、新たなプログラム「ザ・ウィッシング・トゥリー」は、伝承曲から現代へと幅広いプログラムであるところは似ているが、よりアクティブな作品が多く、ポリフォニーの歴史をたどると同時に、ヴォーカルコンソートとしての絡み合う声の楽しさを感じさせてくれるだろう。 いずれのプログラムもおすすめ。ぜひ新たな若いアカペラ・グループの響きにひたってもらいたい。文:いのうえとーる©Ash Mills英国の新世代・男声アカペラ・グループが満を持して初来日!ジェズアルド・シックス
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