eぶらあぼ 2024.5月号
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6/22(土)、6/23(日)各日14:00 清瀬けやきホール問 カンタームス03-5926-3548 https://ivctokyo.com/christophorus/※配役などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。62 世界規模で再評価が進む近代オーストリアの作曲家フランツ・シュレーカー(1878~1934)のオペラが日本で初めて、本格的な演出を伴った舞台で上演される。バリトン歌手で、国際声楽コンクール東京などを主催するカンタームスの代表理事を務める田辺とおるが公演監督を担い、6月22日&23日に清瀬けやきホールで日本初演するのは、1924から28年頃に作曲された「プロローグ、2幕3場とエピローグによる《クリストフォロス、あるいはあるオペラの幻影》」。 前衛の作風とユダヤのルーツにより「退廃音楽」の烙印を押され、1933年田辺とおる場で、「青少年の心に響くクラシック音楽の魅力」を届けることをモットーに開催を続けている。 今回のテーマは「ピアノに秘められた音の宇宙」。プログラムはリストの親しみやすい名曲「愛の夢」のほか、バッハ=ブゾーニの「シャコンヌ」や、武満徹「雨の樹素描」など、ピアノ音楽が持つ表現の広さ・深淵さを、トークも交えながら楽しく伝える。リサイタルの1週間前には、特別ミニ公開レッスンや質問コーナーも企画されている。佐野の意欲的な取り組みに期待が高まる。4/27(土)14:00 板橋区立文化会館問 板橋区文化・国際交流財団03-3579-3130 https://www.itabashi-ci.org佐久間龍也舘 亜里沙にフライブルクで予定された世界初演はナチスの妨害で幻に終わった。作曲家である主人公アンゼルムに自身の音楽観を語らせ、バロックから後期ロマン派に至る過去の音楽、新ウィーン楽派、当時最先端の前衛様式、キャバレー音楽までを縦横無尽に融合させる。さらにフロイトの精神分析やヴァイニンガーのジェンダー論まで織り交ぜた実験作。 日本初演は舘亜里沙の演出、佐久羽山晃生ヨズア・バルチュ間龍也の指揮、クライネス・コンツェルトハウス(コンサートミストレス=三戸素子)の弦楽合奏とエレクトーンを得て、ダブルキャストで臨む。歌手にはカンタームス主催の各コンクール上位入賞者のほか、田辺、羽山晃生(テノール)、ヨズア・バルチュ(バリトン)ら審査員クラスを起用した。 6月2日には大泉学園ゆめりあホールで舘、佐久間、田辺らが解説にあたるプレイベントも予定している。文:飯田有抄文:池田卓夫©Olga Lukas佐野優子 ピアノリサイタル 未来への架け橋 Vol.4 〜ピアノに秘められた音の宇宙〜ゆかりの地で描くピアノ音楽の魅力 ロンドン在住の佐野優子は、日本とイギリスとを拠点としつつ、ヨーロッパ諸国やアメリカ、中南米の国々でもアクティブに演奏活動を展開している国際的ピアニスト。エレガントで深みのある佐野の演奏は、各国の放送メディア出演で話題にのぼるほか、スタインウェイ・アーティストとしてニューヨークで収録された演奏が全世界配信され、注目を浴びている。 東京藝術大学附属高校および同大学を経て、ハンガリーのリスト音楽院で研鑽を積んだ。その後ロンドンの英国王立音楽院に留学し、日本人初のアドバンスト・ディプロマを取得。そんな彼女が大切に考えているのは、自らが生まれ育った地元・東京都板橋区でのリサイタルである。「未来への架け橋」と題されたリサイタルシリーズは、今年で4回目を迎える。会場は板橋区立文化会館。佐野自身が16歳(2006年)で大ホールを満席にした思い入れある会オペラ《クリストフォロス、あるいは「あるオペラの幻影」》20世紀前半ヨーロッパの世相を映し出す歌劇を日本初上演!

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