eぶらあぼ 2024.5月号
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6/2(日)14:00 東京文化会館(小)問 カメラータ・トウキョウ03-5790-5560 http://www.camerata.co.jp1番「春」は、ともに颯爽として躍動感溢れる作品。ピノックの音楽性にジャスト・フィットするし、日本初披露となるシューマンの表現も極めて興味深い。また、ロンドン・フィルやバイエルン放送響等と共演し、公式な日本デビューを果たす1990年ラトヴィア生まれの名花クリスティーネ・バラナスのヴァイオリンも要注目。彼女がソロを弾くドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲は、民俗的で生きの良い“隠れた名曲”。明確な音とフレージングで芳醇なソロを奏でる6/21(金)19:00、6/22(土)14:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp58Joy of Music シリーズ 田崎悦子 ピアノリサイタル[第6回(最終回)]Joy of Debussy(前奏曲集第1巻・第2巻[全24曲])シリーズ最終回は、ドビュッシーの楽しさをの第1巻を録音しており、そ 田崎悦子は、日本人の海外留学が非常に難しい時代に単身ニューヨークにの精緻な技術と色彩豊かな演奏が高い評価を受け渡り、ゲオルク・ショルティや小澤征爾とている。ドビュッシーも重いった世界的指揮者たちにその演奏を惚れこまれたピアニストである。30年要なレパートリーだといえにおよぶニューヨークでの研鑽を経てるだろう。研ぎ澄まされた帰国後は、意欲的なプログラムによる技術、作品に対するリスペ演奏活動や教育活動を行っている。楽クトから生まれる読み込み曲の本質を聴き手へと届けてくれる彼の深さは、ドビュッシーのよ女の演奏にこれまで何度も接してきたうに音によって色や香り、情が、そのたびに作曲家との対話を見て景を描き出す作品と非常にいるかのような体験をした。傘寿を過相性がいいのは当然であぎてもなおその技術と音楽性、そしてる。今回は、より洗練され情熱が力強く進化し続けている田崎た技法と和声によって作り上げられた第2巻も演奏さは、2021年から東京文化会館でのリサイタルシリーズ「Joy of Music」を開始。れるため、さらに深く田崎 第6回にして最終回となる今回のが創り出す音世界に触れるテーマは「Joy of Debussy」。これまことができるはずだ。でバッハやブラームス、バルトークといった作曲家の作品が主に演奏されてきたが、彼女は2012年に「前奏曲集」トレヴァー・ピノック ©Gerard Collettクリスティーネ・バラナス ©Sandra Vijandi彼女なら、ピノックの清新なアプローチを味方に、曲の真価を明示してくれるに違いない。 ここは、華やかで瑞々しさに溢れたオーケストラ音楽を、存分に満喫したい。文:柴田克彦文:長井進之介紀尾井ホール室内管弦楽団 第139回定期演奏会溌剌とした巨匠が魅せる瑞々しいロマン派名曲 敏腕奏者たちがハイレベルの演奏を展開してきた紀尾井ホール室内管弦楽団が、最近生気を増している。それは2022年4月に就任した首席指揮者トレヴァー・ピノックに拠るところ大であろう。彼は、ピリオド楽器オーケストラ「イングリッシュ・コンサート」におけるバロックや古典派の作品で、生気と躍動感漲る音楽を聴かせていたが、そうした美点はその後のモダン・オーケストラ、そして紀尾井ホール室内管、さらには同楽団におけるロマン派作品でも発揮されている。生命力に溢れ、しかも円熟とともにコクや味わいを加えた音楽作りは、75歳を超えた今も健在。いや、いっそう溌剌としてきたようにすら感じられる。 6月の紀尾井ホール室内管定期は、そのピノックの今シーズン初登場。やはり初期を軸にしたロマン派の名曲が披露される。演目のウェーバー《オイリアンテ》序曲、シューマンの交響曲第

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