5/31(金)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp45る稀有にして贅沢な機会となる。 もう1つのポイントは、すべてフランス&イタリア関連の作品である点。フランス生まれの2人に加えて、エリザベート王妃国際音楽コンクール大賞等数々の賞を受賞している酒井もフランスで活動後帰国した作曲家だ。そして、「イタリアのハロルド」は当地の山中東京オペラシティシリーズ 第138回5/17(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール名曲全集 第197回〈前期〉5/18(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp左より:ジョナサン・ノット/青木篤子 ©Junichiro Matsuo/サオ・スレーズ・ラリヴィエール ©Clara Evensに因んだ作品だし、「寄港地」はローマを起点に地中海各地を描いた作品。しかも酒井を含めた全員が、ローマ大賞等の受賞に伴ったイタリア留学の経験を持っている。それゆえ各曲における両国の情緒や色彩感の表現も注目点となる。このノットならではのプログラム…今回も足を運ばずにはおれない。森谷真理 ©Fukaya Yoshinobu/auraY2の山田武彦とともに、フランス象徴主義を代表する3名の詩人による歌曲集を取り上げるとのこと。都会的なアンニュイさを有するボードレール(ドビュッシー「ボードレールの5つの詩」)、実人生は破滅的でも詩句は清々しくロマンチックなヴェルレーヌ文:岸 純信(オペラ研究家)山田武彦 ©井村重人(フォーレ「優しき歌」全9曲)、完璧を求めて深遠な境地を拓いたマラルメ(ラヴェル「ステファーヌ・マラルメの3つの詩」)と3作それぞれの世界観が展開するなかで、「声の芳香」が客席を自然に包み込むひとときを、じっくりと味わってみたい。文:柴田克彦ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団ヴィオラの妙技とラテンの香の稀なる交錯 音楽監督ジョナサン・ノットと東京交響楽団のコンビも11年目のシーズンを迎えた。同コンビはまさに絶好調。緻密かつ迫真的な演奏で、いかなる楽曲にも生気を吹き込むノット指揮の公演は、必ずや足を運んだ甲斐がある。そしてもう1つの魅力が、斬新かつ意味深いプログラムだ。来る5月の東京オペラシティシリーズと名曲全集もその好例といえるだろう。 それは、ベルリオーズの「イタリアのハロルド」、酒井健治のヴィオラ協奏曲「ヒストリア」、イベールの「寄港地」というユニークな内容。まずはヴィオラ独奏を有する作品が2曲並ぶ点が目を引く。「イタリアのハロルド」のソロは東響首席奏者の青木篤子、京響の委嘱で2019年に作曲された酒井の協奏曲のソロは、プラハの春国際音楽コンクール第1位ほか多数の受賞歴を誇るフランスの俊才、サオ・スレーズ・ラリヴィエールが受け持つ。つまり今回は、新旧の楽曲と名手の個性を聴き比べ森谷真理 Spirit of Language −言霊− Vol.1〜Le Symbolisme フランス象徴主義〜珠玉のフランス歌曲で感じる芳香 日本を代表するソプラノ森谷真理が、フランス・オペラのアリアを歌うとき、筆者が最も強く感じ取るのは「声の鮮やかな色合い」である。それは、鮮紅色とも呼びたいぐらいに強烈なもの。声の圧と心の情熱が、閃光となってこちらの心を貫いてくる。 一方、同じフランス語のレパートリーでも、森谷が歌うメロディ(フランス近代歌曲はmélodieと呼ぶ)には、声の色よりもいっそう強く届くものがある。それが「香り」なのだ。香水にもいろいろあるが、森谷が仏語をさらっと放つ場合にはシングルフローラルの爽やかさ、旋律にしっとり乗せたいときには香木系の高い薫りが漂うかのよう。女性に併存する乙女心と艶めかしさが、テクストの訴えかけに寄りそう形でシンボリックに表出するのが、名ソプラノならではの表現力なのだろう。 この5月、「言霊 Vol.1」と銘打つ彼女のリサイタルでは、名ピアニスト
元のページ ../index.html#48