eぶらあぼ 2024.5月号
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5/30(木)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com【定期演奏会1000回記念シリーズ③】第998回 定期演奏会Cシリーズ5/11(土) 14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp取り組み、最初に人前で弾いた曲、バルトークは21年の同名コンクールで第1位を獲得した彼らの主軸をなす作曲家で、5番はコンクールでも弾いた「自分たちの強みが一番活かせる作品」との由。これに当然「コアとなる」ベートーヴェンの代表作を加えた内容は、新プロジェクトの開始に相応しい。 特に洗練された作風で円熟路線への一歩を記したバルトークの5番は、リゲティの凄演からも期待大。加えて同曲とラズモフスキー3番は、フーガが重要な鍵を握る(後者の終楽章の快速フレーズも要注目)とい36尾高忠明 ©Martin Richardsonたし、2017/18シーズンにBBC New Generation Artistsに選出されるなど、ヨーロッパでライジングスターとして注目を浴びる気鋭だ。19年に初来日して上岡敏之指揮・新日本フィルと共演している。 ウォルトンの交響曲第1番は尾高がう共通点もある。また、ベートーヴェンが中期の明快な作品だけに、全体のメリハリも申し分ない。今後への期待が膨らむこの周到な幕開けを、皆で見届けたい。マリアム・バタシヴィリ ©Josef Fischnaller最愛の曲のひとつとして、これまでに数多くオーケストラで指揮してきた作品。高揚感にあふれた輝かしい傑作だ。近年、都響とはエルガーの交響曲第1番や同第2番で共演を重ねてきたマエストロが、イギリスの交響曲に新たな名演の歴史を刻む。文:飯尾洋一文:柴田克彦©Abby Mahler尾高忠明(指揮) 東京都交響楽団十八番のウォルトン、都響で満を持して披露! 東京都交響楽団の第998回定期演奏会Cシリーズでは、尾高忠明が登場して得意のレパートリーを披露する。プログラムは武満徹の「3つの映画音楽」より映画『ホゼー・トレス』の「訓練と休息の音楽」と映画『他人の顔』の「ワルツ」、バルトークのピアノ協奏曲第3番(マリアム・バタシヴィリ独奏)、ウォルトンの交響曲第1番。 武満作品はともに勅使河原宏監督の映画のために書かれた音楽で、武満がスイスで開かれた第1回グシュタード・シネミュージック・フェスティバルのテーマ作曲家となった際に、弦楽オーケストラ用の「3つの映画音楽」としてまとめられた。生前の作曲者と親交が深かった尾高の指揮で聴ける好機だ。 バルトークのピアノ協奏曲第3番では、ジョージア出身のピアニスト、マリアム・バタシヴィリの独奏に期待が高まる。2014年、ユトレヒトのフランツ・リスト国際コンクールで優勝を果クァルテット・インテグラ(弦楽四重奏団)躍進著しい精鋭たちが挑む新シリーズの幕開け クァルテット・インテグラが日本トップ級の技量を持つのは誰しも認めるところだ。2015年に桐朋学園在学中の4人で結成された同グループは、22年ARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位受賞で大きく飛躍。以後、研ぎ澄まされた集中力と強靭なアンサンブルで、絶大な賞賛を博している。中でもトッパンホールでは、23年のリゲティ・プロジェクトで緻密にして鮮烈な快演を、開館23周年バースデーコンサートの「死と乙女」でロマンティシズム濃厚な熱演を展開。キャパシティの広さを印象付けた。 今年彼らは、チェロにパク・イェウンを迎え、まさにその室内楽の殿堂で活動の核となる年1回のシリーズを開始。5月の第1回では、ドビュッシーの弦楽四重奏曲、バルトークの同第5番、ベートーヴェンの「ラズモフスキー第3番」が並んだ本格派のプログラムを披露する。ドビュッシーは、結成年に

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