第1000回 オーチャード定期演奏会 6/23(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール第1001回 サントリー定期シリーズ 6/24(月)19:00 サントリーホール第162回 東京オペラシティ定期シリーズ6/26(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp5/26(日)15:00 京都/青山音楽記念館 バロックザール問 青山音楽記念館 バロックザール075-393-0011 https://barocksaal.com33 それは、齢を重ねた二人の芸術家が「別れは出会いへの第一歩。旅は新境地を心にもたらす」と感じての選曲のよう。〈歓迎と別れ〉に聴く「若々しく駆け出す姿」、〈夕映えのなかで〉の「黄昏を思わせる落ち着き」、〈とらわれの狩人の歌〉における「束縛から逃れたい男の鼓動」など、解釈に特に注目したい曲である。また、名曲〈魔王〉が含まれるのも今回のプログラミングの面白さ。ゲースのダイナミックなピアノと共に、「予期せチョン・ミョンフン ©Takafumi Uenoに加筆修正を行ったという。いわば、メシアンお墨付きの演奏でもあるのだ。 この時代の作品にしては魅力的な旋律も少なくない。我らがマエストロは、色彩とリズムが押し寄せるなかに情感や歌心をも通わせるメシアンを聴かせ原田 節 ©Yutaka Hamano務川慧悟 ©M.Yamashiroてくれよう。日本が誇るオンド・マルトノの名手である原田節の安定感。ピアノは、シャープな感性が輝く務川慧悟だ。頼もしい共演陣も得て、圧倒的な音楽体験を実現させてくれること間違いない。左:クリストフ・プレガルディエン 右:ミヒャエル・ゲース ©Hermann und Clärchen Bausぬ別れ」を孕むこの大曲を、いまのプレガルディエンがどう歌い上げることか。お聴き逃しなく。文:岸 純信(オペラ研究家)文:鈴木淳史チョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 メシアンの精神を体現するマエストロで聴く“愛”の交響曲 ついにその日がやってくる。チョン・ミョンフンが東京フィルを指揮してメシアンの「トゥランガリーラ交響曲」を演奏するのだ。このコンビが同曲を取り上げるのは17年ぶり。記念すべき第1000回定期演奏会を迎える6月公演での披露となる。 「トゥランガリーラ交響曲」といえば、とにかく規格外の交響曲だ。まずは、その編成。チェレスタなどの鍵盤楽器のほか、打楽器奏者8名を含む大オーケストラ。そこに、ピアノと電子楽器のオンド・マルトノが独奏として加わり、舞台はぎっしりと奏者で埋め尽くされる。全10楽章からなる構成で、全編にわたってメシアンならではの色彩がちりばめられ、スペクタクル、ドラマティックさにも事欠かない。まさに20世紀を代表するシンフォニーだ。 チョン・ミョンフンは、かつてパリ・オペラ座バスティーユ管弦楽団とこの曲をレコーディングしている。そこに立ち合った作曲家は、その演奏をもとに楽譜クリストフ・プレガルディエン(テノール) & ミヒャエル・ゲース(ピアノ)シューベルト〜別れと旅の歌曲集円熟を極めるリート・デュオが描き出す別離の諸相 フランスの近代歌曲が「漂う薫り」なら、ドイツ・リートは「吹き抜ける風」。言葉の硬めの響きが作曲家に与えるインスピレーションも、朧げでなくはっきりとした形を呈す。だからだろうか? 生真面目な心根を有する人ほどドイツ語の歌曲に魅せられるよう。筆者自身も、背筋を伸ばして心を蘇らせたいとき、19世紀のリートを聴くことが多いのだ。 ドイツ、ヘッセン州出身のテノール、クリストフ・プレガルディエンは、もはや大ベテランの歌い手。しかし、抒情性を保った声音を格別の覇気と共に放つとき、その歌声は、夾雑物のない引き締まった響きで鳴り渡る。この5月に、京都・青山音楽記念館 バロックザールで開くリサイタルは、名ピアニストのミヒャエル・ゲースとのお馴染みのコンビ。「別れと旅の歌曲集」と銘打って、シューベルトのリート24曲を披露するという。
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