eぶらあぼ 2024.5月号
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♪♪♪拡大版はぶらあぼONLINEで!→31左より:野口葵さん、中島朱理さん、後輩の熊谷心彩さん、鎌田ゆりなさん 1年目はコロナ禍の影響もあり、憧れのオレンジの衣装を初めて身につけたのはマーチングコンテストの京都府大会のときだった。「私自身は変わっていないのに、衣装を着ると性格が明るくなって、うまく演奏・演技ができるような気持ちになったのを覚えています」 3年連続の全国大会金賞を目指した2023年度は部長としての苦労も多かったという。「同期は一人ひとりが部活に対する思いが強すぎて、意見がぶつかり合うことが多々ありました。最終的にみんなが結束したのは11月19日に大阪城ホール演奏力で詰めかけた観衆の耳を楽しませた。初めての試みとなるOB合同スペシャルバンド、総勢180人での壮大な演奏もあった。 そして、第2部はマーチングステージ。青い衣装で登場すると、楽器を振り動かしながら舞台上で行進したり、踊ったりしながら《Winter Games》《君の瞳に恋してる》《サマータイム》などを次々演奏。カラーガードのメンバーはフラッグやステッキなどを手にしてステージ最前列で演技を行った。そして、後半になると、オレンジの衣装に着替えて登場。客席が熱狂する中、《Celebration》《Uptown Funk》などを華々しく披露し、最後は《シング・シング・シング》で大喝采と「ブラボー」の声を浴びた。その演奏・演技は、まさに人の心を虜にして離さない「悪魔」だった。 98人の部員のうち、29人の3年生がこの日でステージを去った。 部長という重責を全うしたユーフォニアム担当の中島朱理(じゅり)は滋賀県守山市から3年間通い続けた。「朝7時には朝練で学校に来るので、5時半には家を出ていました。入部した頃は体が慣れず、部活はもちろん、勉強との両立も大変でした」で行われた全国大会の直前。ギリギリでしたが、雨降って地固まる、という感じで、大会本番では最高の演奏・演技ができました」 マーチングの指揮者であり、リーダーであるドラムメジャーを務めたのは野口葵。座奏ではクラリネットを担当する。「入部する前は人見知りで、人前で話すことも苦手だったのですが、この1年はドラムメジャーとしてみんなをリードし、ときには厳しいことも口にできるようになりました。全国大会でも、定期演奏会でも、私だけが見ることができるみんなのキラキラ輝く表情が最高の思い出です。日本国内だけでなく、世界とも繋がれたのは京都橘じゃないとできなかったこと。幸せな3年間でした」 定期演奏会の最後では、後輩たちの演奏をバックに3年生は一人ずつ兼城先生とグータッチし、花を受け取ってホールを出ていった。リーダーとして最後にステージを降りた葵、そして、朱理の顔には涙と最高の笑顔が輝いていた。 トレードマークのオレンジの衣装は代々引き継がれることになっている。朱理と葵の衣装も後輩たちが身につけて、また新たな《シング・シング・シング》を奏で、踊っていく。「オレンジの悪魔」は今年も我々の心を虜にし続けるだろう。

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