eぶらあぼ 2024.5月号
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取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)♪♪♪30 「オレンジの悪魔」という異名を持ち、世界中にファンを持つ高校バンドが京都府京都市伏見区にある。京都橘高等学校吹奏楽部だ。創部は1961年。男子は黒いパンツ、女子はミニスカートというオレンジの衣装を身に着けて、激しくも軽快なステップを繰り出しながら演奏する《シング・シング・シング》がその代名詞で、全日本マーチングコンテストなどで活躍してきた。 現在の顧問、兼城裕先生は2018年度に就任。すでに定評のあったマーチングの動きの部分に加えて、音楽的な技術・表現の底上げに力を入れて指導してきた。その成果が出て2021年には5年間遠ざかっていた全日本マーチングコンテストに復活し、金賞を受賞。以来、2023年まで3年連続で全国大会金賞という快挙を成し遂げた。 人気と実力を兼ね備えた京都橘は各地から引っ張りだこで、2023年度は合計100ステージ以上で演奏。2022年10月には台湾遠征で蔡英文総統の前で演奏し、2023年12月にも再度遠征した。台湾では「橘色惡魔」とのキャッチフレーズで大人気だ。 そんな京都橘が2024年3月22・23・24日の3日間、滋賀県のびわ湖ホールで第60回記念定期演奏会を開催した。約1800席の大ホールでの3日公演は京都橘にとって初めてのチャレンジだったが、結果は3日とも満席。最終日の24日は、3年生にとって「卒部」の舞台でもあった。 定期演奏会は第1部・コンサートステージで《トゥーランドット》(プッチーニ)などクラシカルな曲に加えてアニメやポップス曲を演奏。兼城先生が高めてきた定期演奏会リハーサル中の兼城裕先生(左)YouTubeでの動画再生総数は1億回を超え、世界各地のファンからコメントが寄せられている。驚異的な活躍を続けている吹奏楽部なのだ。憧れの「オレンジ」は受け継がれる――3年生の旅立ち、そして次世代へVol.21 京都橘高等学校 吹奏楽部

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