それでも踊るそれでも踊る者たちのために者たちのために122Profileのりこしたかお/作家・ヤサぐれ舞踊評論家。『コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER』『ダンス・バイブル』など日本で最も多くコンテンポラリー・ダンスの本を出版している。「ダンス私塾オンライン」開設。皆様の参加をお待ちしております!乗越たかお第115回 「原石ゴロゴロのフェスへ、若い評論家を連れていく」 さて先月言ったとおり、ドイツのダルムシュタッ今回は移動中の歩きやバスの中など、必ず他国のトへ行ってきた。昨年立ち上げたガチの「DaBY/参加者に話しかけることを二人に課した。じっさいProLab 第1期 乗越たかおの“舞踊評論家【養成日本での講義の終わりにも、想定問答で毎回ワン→派遣】プログラム”」の最終行程である。5名の受ポイント英会話レッスンをしておいたのだ(役立ったそう)。講者から2名を選んで、協働のスプリングフォワード国際ダンスフェス Aerowaves’Spring Forward フェスはというと、本当に面白い作品が揃っていFestivalに連れて行ったのだ。EU・ジャパンフェスた。詳細は二人がレポートを書いてアップする予定ト日本委員会の支援によるものである。現地ではさなので見ていただくとして、そのさわりを挙げていくらにヴィースバーデン、マインツの3都市をバスで移と…… ガチの手品のルーティンを繰り返すうち、見事に動しながらの充実のフェスとなった。 オレは「旅は一人。トラブルは現場で解決し力技ダンスが立ちあがる『Iterations』、闇の中で光るで進むスタイル」なので、他人をスマートに引率するローラースケートで走り回る『Cabraqimera』、暗闇のは向いていない。今回も二人はほぼ放し飼いだっの中で手持ちの照明や床の光の帯をゆっくり動かすなどの「光を踊らせる作品」(類似作はあるが完たが、そもそもこれは将来ひとりで海外取材することを前提としたものだ。添乗員のようにオレがお膳成度がすごい)『A BEGINNING #16161D』、ほと立てしては、彼らはただ行って帰ってくるだけの「おんど動かない二人。過剰なメイクやカツラなどの人客様」になってしまう。この旅の主たる目的は、彼ら工物がどんどん剥がれて「人間化」し、また人工物に経験を積ませることなのである。に戻っていく『REFACE』。ひまわりのタネを食べた殻を床に吐き捨てるようなガラの悪い女2人が完 このフェスは、ヨーロッパ中の新しい才能の原石がゴロゴロ集まっている。完成度よりも発想と革新璧なフラメンコ(と、カンテ=歌)をやる『Taranto 性が重要なのだ。オレはここに来るたびに「いまでaleatorio』…… ホントやってくれるぜ、という作品がもなおダンスの可能性の限界、キワッキワの周縁をてんこ盛りだ。 日本のダンス教育で動きは熱心に教えるが、作攻めていくような作品がこんなにあるとは!」とワクワクさせられる。しかもワンアイディア作品のようで品の創り方や発想の飛ばし方はなかなか教えられも、実に細かい思索が積み重ねられている。このあない。さらには各地のイカれた連中をピックアップたり、ダンス文化の分厚さとヨーロッパの歴史の重する体制もほぼない。オレ自身、今後の課題が色々明確になった。みを感じるね。 同行した二人は、建築家で英語と中国語も堪能で旅慣れている林愛弥と、院生ながら演劇系の評論などで活躍中かつそこまで旅慣れてはいない植村朔也の二人。せっかく2名連れて行けるのなら、違う個性のほうが面白い。 そして作品鑑賞だけではなく、海外のダンス関係者とのネットワーク作りも目的の一つだ。とかく日本人は海外で固まって移動することが多いので、
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