58て、鳥肌の立つような興奮を生む。 パイトの『Solo Echo(ソロ・エコー)』(2012)は、ブラームスの2つのチェロ・ソナタにのせた群舞。パイトといえば、前回のNDT来日時に紹介された『The Statement』、2023年に自身のカンパニーであるキッドピボットの初来日の際に上演した『リヴァイザー』が話題を呼んだのは記憶に新しいが、本作では卓越した音楽性を思う存分味わいたい。 カリーソの『La Ruta(ラ・ルータ)』(2022)の表題はスペイン語で「道」を意味する。夢に関する言説に基づいてホラーな世界観を醸成した話題作6/30(日)16:00 高崎芸術劇場 3/19(火)発売問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900 7/5(金)19:00、7/6(土)14:00 神奈川県民ホール 3/22(金)発売問 Dance Base Yokohama contact@dancebase.yokohama7/12(金)19:00、7/13(土)14:00 愛知県芸術劇場 3/22(金)発売問 愛知県芸術劇場052-211-7552 https://ndt2024jp.dancebase.yokohama※公演により演目が異なります。詳細は上記ウェブサイトをご確認ください。『Jakie』より ©Rahi Rezvani『One Flat Thing, reproduced』より ©Rahi Rezvaniなので、ピーピング・トムに通じるディープな舞台に浸れるのではないか。 ゲッケの『I love you, ghosts(アイラブユー, ゴースト)』では、奇才一流の独特な動きの妙に注目したい。前回のNDT来日公演で上演した『Woke up Blind』でも顕著だったように、手や腕を超絶的に細かく震わせてつむぐ、幻覚的な世界が立ち上がるだろう。 まさに“プレミアム”と銘打つにふさわしい豪華な内容だ。世界の先端にして上質なダンスを、日本に居ながら体感できる機会は極めて限られるだけに、ぜひ体感したい。文:高橋森彦ネザーランド・ダンス・シアター プレミアム・ジャパン・ツアー2024世界屈指のダンスカンパニーが豪華5作品を引っ提げて再来日! 2024年初夏、世界最高峰の実力と人気を誇るコンテンポラリーダンスカンパニー、ネザーランド・ダンス・シアター(NDT)が来日し、高崎芸術劇場を皮切りに神奈川県民ホール、愛知県芸術劇場で公演する。オランダのデン・ハーグに拠点を置くNDTは、かつて巨匠振付家イリ・キリアンが率い、世界的名声を得るに至った。だが現在、カンパニーの色彩は変わった。多くの気鋭振付家と俊英ダンサーが協同作業を行って続々と新作を生み、国内外を巡演している。NDTと創作を重ねて、世界的な振付家へと飛躍した大物も少なくない。21世紀のダンスシーンを牽引する存在として新たな顔をみせる。 前回の来日(2019年)は13年ぶりで、ポール・ライトフットが芸術監督を務めていた。愛知と神奈川において行われたツアーは、新生NDTの多彩で新鮮な作品群が反響を呼び、神奈川公演では立ち見が出るほどの盛況だった。5年ぶりの再来日は、2020年より芸術監督に就いたエミリー・モルナーのもと実施されるが、まさに待望の公演である。 今回はNDTの数多いレパートリーより選び抜いた5作品から3作品を、全公演異なる組み合わせで披露する。NDTのアソシエイトコレオグラファーを務めるクリスタル・パイトとマルコ・ゲッケ、それにベルギーの人気舞踊団ピーピング・トムのガブリエラ・カリーソ、フランスを拠点とするL-E-Vのシャロン・エイアール&ガイ・べハール、さらには大御所のウィリアム・フォーサイスの作品のなかから日替わりで3作品を堪能できる。 日本での本格的紹介が初となるエイアール &ベハールによる『Jakie(ジャキー)』(2023)では、16名がヌーディーなボディスーツ姿で低音のビートとともにエネルギッシュに踊る。世界が注視する異能による、ホットなステージとなるに違いない。 現代ダンスをリードするフォーサイスの『One Flat Thing, reproduced(ワンフラットシング, リプロデュースト)』(2000)では、20台の長机が並び、ダンサーたちが所狭しと自在に踊る。フィジカルな力と緻密な空間性があいまっ
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