4/7(日)~5/12(日) 川崎市アートセンター、昭和音楽大学 他問 しんゆりチケットセンター044-959-2255 https://artericca-shinyuri.com57 小田急線・新百合ヶ丘駅周辺の文化施設を中心に毎年春に行われている川崎・しんゆり芸術祭「アルテリッカしんゆり」。ピアノにオペラ、オーケストラ、演劇、伝統芸能など、様々なジャンルのアーティストが集う世界的にも稀な芸術祭であり、老若男女問わず楽しめるラインナップが魅力だ。 第16回となる今年は4月7日から5月12日まで、川崎市内8会場などで開催。まず目を引くのはオープニング公演。ピアニストの上原彩子がいま最も力を入れているというベートーヴェンにシューマン、ラフマニノフと、ピアノの魅力を堪能できるプログラムを演奏する(4/20)。ピアノ好上原彩子 ©武藤 章する都響とマッチし、雄大かつ雄弁な音楽が生み出されていく。それは70歳を超えて円熟味を増したここ数年一層顕著。いまや彼は、都響から濃密・濃厚でまとまりの良い演奏を引き出す、言い換えれば“聴く者に無類の充足感を与える”筆頭格の指揮者なのだ。 今回の演目は、シューベルトの交響曲第7番「未完成」と第8番「ザ・グレート」の二大名作。小泉が得意とする独墺音楽で、しかも“流麗・重厚で幅広い”造形がピッタリの作品だ。ここは、堅牢な構築の中で滔々と歌が流れる、【定期演奏会1000回記念シリーズ②】 第997回 定期演奏会Cシリーズ4/27(土) 14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp横坂 源 ©Takashi Okamoto山根基世きの方は「The Piano Men」も注目だ(4/29)。2009年生まれの岩船謙惺にシン・ヨンホ、エマニュエル・リモルディに後藤正孝と国籍や年代の異なるピアニストたちが得意の作品を披露する。 音楽と朗読のコラボレーションも「アルテリッカしんゆり」の人気企画。今回は朗読の大家、山根基世による新美南吉の「ごんぎつね」と「手袋を買いに」を、チェリストの横坂源がバッハやマレ、黛敏郎の作品などで彩る(4/21)。オーケストラの迫力あるサウンドを楽小泉和裕 ©Fumiaki Fujimoto他にはないシューベルト演奏の実現必至。熟達の名匠と高機能で分厚い楽団が奏でる大スケールのロマンを、聴き逃してはならない。鈴木秀美文:柴田克彦白井 圭しみたい方には鈴木秀美が指揮する東京交響楽団とヴァイオリニストの白井圭の共演がおすすめ(5/6)。鈴木の十八番であるハイドンに、ベートーヴェンの華麗な交響曲と協奏曲が並ぶ。 そのほか藤原歌劇団によるオペラ《ラ・チェネレントラ》(4/27, 4/28)、マリンバと尺八、ジャズピアノのトリオ「THE THREE」の公演(4/27)なども見逃せない。映像とのコラボレーションや子ども向けコンサートなども行われるアートの祭典を楽しみに、今年の春は“しんゆり”に出かけてみよう。小泉和裕(指揮) 東京都交響楽団練達の巨匠と盟友たちが生み出す雄大なロマン 東京都交響楽団は6月に第1000回定期演奏会を迎える。そこでこの4月~8月、ゆかりの深い顔ぶれを中心とする著名指揮者が集結した「1000回記念シリーズ」が行われる。その第2回にあたる第997回定期に登場するのが小泉和裕。一連の豪華指揮者陣の中でも、都響との関わりが特に深いマエストロである。小泉は1976年の初登場以来、都響と50年近い付き合い。その間、首席指揮者やレジデント・コンダクター等のポストを長く歴任し、2014年から終身名誉指揮者の地位にある。つまり両者は盟友的存在だけに、記念シリーズの中でもとりわけ一体感のある名演が期待される。 実際その相性は抜群だ。小泉は、日本人指揮者には珍しく、腰のすわった重厚なサウンドを創造する。音楽作りも、縦割りではなく、流麗で横に幅広いヨーロッパ的な造形を旨としている。その特性が、豊麗で重層的なサウンドを有川崎・しんゆり芸術祭 アルテリッカしんゆり2024幅広い分野のトップアーティストが今年も“しんゆり”にやってくる!文:長井進之介
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