eぶらあぼ 2024.4月号
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第370回 定期演奏会 5/11(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp【第1夜】4/12(金) 【第2夜】4/15(月)各日19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com※本公演はジャン=クロード・ペヌティエの怪我により中止となりました。54藤岡幸夫 ©青柳 聡 演奏会冒頭には同じくイギリスの作曲家ディーリアスの「夜明け前の歌」を置いた。慎ましい曲調の中にイギリス音楽の粋が顔を出す。 間に挟まれるのはリストのピアノ協奏曲第2番だ。ラプソディックに展開されるこの曲で独奏を務めるのは福間洸太朗。誠実な性格が表れた演奏福間洸太朗 ©T.Shimmuraもさることながら、コンサートのプロデュースや的確で分かりやすい楽曲分析の動画配信など活動の幅も着実に広げ、円熟味を増している。 全力で作品にぶつかっていくパッション型の藤岡、そのリードに熱く応える東京シティ・フィルと、どんな風景を見せてくれるのだろうか。文:江藤光紀文:片桐卓也©大窪道治藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ヴォーン・ウィリアムズ「ロンドン」待望の上演 英国王立ノーザン音楽大学を卒業し同国のオケを数多く振ってきた藤岡幸夫にとって、イギリス音楽は文字通りホームグラウンドだ。そしてイギリスには20世紀になって書かれた交響曲がたくさんある。19世紀の伝統を踏まえオーケストラの醍醐味をたっぷりと味わわせてくれるこれらの作品の紹介に、彼は情熱を注いできた。 そんな藤岡が首席客演指揮者を務める東京シティ・フィルの5月定期でヴォーン・ウィリアムズの「ロンドン交響曲」を聴かせてくれる。コロナで流れた企画のリベンジだ。朝焼けのような美しい序奏の後ダイナミックに展開する第1楽章に、抒情的でセンチメンタルな緩徐楽章、夜想曲調のスケルツォが続き、終楽章は苦悩の行進曲となるが、鐘の音が遠くに聞こえると夜のとばりが下りるように曲を閉じる。50分近くかかる大曲だが、オケがよく鳴るうえに耳になじむ民謡風のメロディも随所に出てくる。ジャン=クロード・ペヌティエ(ピアノ)衰えを知らぬ巨匠の響きに包まれる至極の2日間ルトの「即興曲」は全4曲が演奏され 昨年「80歳アニヴァーサリーリサイるので、聴き逃せない。タル」を開き、古典派から現代作品に 第2夜は「モーツァルトと遊ぶ」といたる多面的な活動の到達点とも言題して、ピアノ協奏曲第12番のピえる演奏を聴かせてくれたフランスのアノと弦楽四重奏版(作曲者自身至宝ジャン=クロード・ペヌティエが、再の編曲)、ピアノ四重奏曲第2番をびトッパンホールに帰ってくる。しかも2024年はソロと室内楽、2夜にわた演奏。日本の実力派弦楽器奏者4りコンサートを開催。第2夜の室内楽人(湯本亜美、渡邉ゆづき、柳瀬省太、笹沼樹)と共演する。モーツァでは昨年演奏しなかったモーツァルトルトもペヌティエの愛する作曲家でをプログラミングしてくれた。 第1夜「リサイタル」では、シューベあり、しかもウィーン定住後初めてルト「4つの即興曲 D935」から始まり、完成させたピアノ協奏曲で、室内楽フォーレを3曲、そしてドビュッシーの「喜的で繊細と評されるこの「第12番」を選んだというのも、おそらくペヌびの島」を並べる。昨年演奏したフォーレの舟歌第3番と夜想曲第12番は、まさティエなりの深い意図が隠されてに今のペヌティエにしか表現できない慈いるはず。それを知るためにも駆しみに満ちており、コンサート直後にあけつけなければならない。わてて会場で彼のCDを買い込み、家に帰って聴き直したほどだった。今回は舟歌第2番、「主題と変奏」、夜想曲第6番と3曲を演奏する。ちなみに今年はフォーレの没後100年にあたる。またシューベ

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