CDCDSACDCD116吉松隆:チェロ協奏曲《ケンタウルス・ユニット》/4つの小さな夢の歌/宮田大イン・ビトゥイーン 前田克治 ピアノ作品集/前田克治アンサンブル of トウキョウ ライヴ 2023 秋モーツァルト:セレナーデ ニ長調「セレナータ・ノットゥルナ」/R.シュトラウス:オーボエ協奏曲/ウェーバー:ファゴット協奏曲アンサンブル of トウキョウ 青山聖樹(オーボエ) ダーク・イェンセン(ファゴット) 玉井菜採 戸原直(以上ヴァイオリン) 大野かおる(ヴィオラ) 渡邉玲雄(コントラバス) 収録:2023年10月、紀尾井ホール(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCL-00842 ¥3850(税込)ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集/三浦文彰&清水和音ケンタウルスは半人半馬で弓矢に長ける。吉松隆はチェロと一体化するチェリストのイメージを重ね、協奏曲「ケンタウルス・ユニット」を作曲した。ケンタウルスには粗暴さと賢者の両面があるが、宮田大は後者のケンタウルスだろう。弓矢を天に向かって引くがごとく力強い音色と、繊細な表現力が同居し、刻々と変化するこの曲の壮大なサウンドスケープの天空(原田慶太楼と東響が鮮やかに描く)を駆けてゆく。2003年の作品だが、これはもはや、宮田のために書かれたチェロ協奏曲ではないか。併録の小品共々、大文字のロマンティシズムを信じる心と力量が、曲を鮮烈に蘇らせた。(矢澤孝樹)前田のピアノ曲創作の姿勢はシンプルである。この楽器の打鍵した瞬間から音が減衰する特性に美を見出すこと。そしてその方法もストイックなまでにシンプルだ。音が次第に弱くなっていくこと、低い音から高い音に移っていくこと、それらは遠ざかり、あるいは重力から解放されて天へと昇っていくイメージを与える。前田は調律やペダル操作によってそのプロセスを徹底的に研ぎ澄まさせる。和音がからっと鳴り、他の弦を共鳴させながら消えていくと、そこに音が満たしていた場が澄み切った「空」として出現するのだ。「イン・ビトゥイーン」とはそうした「空」の美学を指しているに違いない。(江藤光紀)オーボエとファゴット、すなわちダブルリードを用いる木管楽器のための協奏曲が当該盤のメインである。青山聖樹、ダーク・イェンセンという第一級のソリストを迎えたことにより、R. シュトラウス、ウェーバーの協奏曲の魅力のみならず、各独奏楽器の可能性についても改めて開眼させられる。引き締まり清透な音色の青山のオーボエ、驚くほど変幻自在なイェンセンのファゴットはいずれも卓越した演奏。一方、本来社交音楽であるモーツァルトの「セレナータ・ノットゥルナ」も結晶度の高いアンサンブルをバックに、トップ奏者による遊びを交えた高度な音楽的対話にまで昇華されている。(大津 聡)かつてハノーファー国際コンクールを史上最年少で制し、最近は風格ある演奏を聴かせてくれる三浦文彰。そして、ロマンティシズムほとばしるベテランの清水和音。国内トップ奏者によるブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲録音だ。ヴィオラを思わせる柔らかでハスキーな音で始まる第1番。そこに絡むピアノが繊細な表情をきらめかせて強い印象を残す。第2番は、艶やかさに加え、アンサンブルもぐんと濃密に。そして、第3番では、両者の組み立てのうまさが光る。音色や強弱を丁寧にコントロールし表情を変化させ、起伏豊かで、スケール感あるブラームスに仕上がった。 (鈴木淳史)コジマ録音ALCD-139 ¥3300(税込)エイベックス・クラシックスAVCL-84157 ¥3300(税込)吉松隆:チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」、4つの小さな夢の歌、ベルベット・ワルツ宮田大(チェロ)原田慶太楼(指揮)東京交響楽団ジュリアン・ジェルネ(ピアノ)収録:2022年9月、ミューザ川崎シンフォニーホール(ライブ) 他日本コロムビアCOCQ-85620 ¥3300(税込)前田克治:イン・ビトゥイーン、影と形、三和音、とぎれない夢(影と形II)、曙光前田克治(ピアノ)ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番〜第3番三浦文彰(ヴァイオリン) 清水和音(ピアノ)
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