♪♪♪取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)♪♪♪関東学院マーチングバンド42 その日、巨大なイベント施設であるさいたまスーパーアリーナで大観衆を熱狂させていたのは、大物アーティストでもなければ、プロスポーツチームでもスーパーアイドルでもなかった。管楽器を吹き鳴らし、打楽器を力強く叩き、フラッグやセイバーを使ってパフォーマンスをする。それはマーチングバンドの高校生だった――。 2023年12月10日に開催されたマーチングの最高峰であるマーチングバンド全国大会・高等学校の部。現地で熱演の数々を取材した。 マーチングでは「ブラス(ホーンズ)」「バッテリーパーカッション」「ピットパーカッション」「カラーガード」の4パートが協働し、個性あふれる「ショー」を披露する。演奏と動き、道具、衣装などを駆使して音楽を表現するそれは、総合芸術の1ジャンルと言ってもいいかもしれない。初めて見る人であっても、一瞬にして迫力ある音楽や華やかなパフォーマンスの虜になってしまうのがマーチングなのだ。 今大会には小編成16校、中編成8校、大編成4校、合計28校出場。審査結果は金賞・銀賞・銅賞のほか、編成別最優秀賞が3校に、そして、全28校の中から第1位にグランプリが授与される。 演奏・演技に対する規定が基本はないため、28校のショーはどれも個性的で、見どころがあった。 小編成では、情熱的なカラーガードの演技と圧倒的迫力のブラスやパーカッションでジャズ漫画「BLUE GIANT」の世界を描いた沖縄県立西原高校マーチングバンドが印象に残った。中編成では、アンドロイドに支配された廃墟の都市で生きる人間の姿を描いた「automata」が抜群に素晴らしかった茨城県立大洗高校「BLUE-HAWKS」、吹奏楽コンクールで鍛え上げた演奏力が美しかった明浄学院高校吹奏楽部 Queenstar、カラーガードが刀を手に鬼との戦いを表現した大分県立大分商業高校吹奏楽部。大編成では、演奏とパフォーマンスが均等にハイレベルで、「Chameleon Patrol」というテーマでカメレオンの持つユニークさを見事に描いた神奈川県立湘南台高校吹奏楽部 White Shooting Starsのショーに心が沸き立った。 これ以外の学校も含め、ここに書ききれないほど興奮と感動を味わわせてもらった。なお、グランプリには2年連続で湘南台高校が選ばれた。 小編成に50人での出場となった千葉敬愛高校マーチングバンドGraceful Spirit(千葉)は「最後のVol.19 第51回マーチングバンド全国大会さいたまスーパーアリーナを熱狂させた色とりどりのショー
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