CDSACDCDCD118ハイドン「日の出」&ドビュッシー 弦楽四重奏曲/クァルテット・インテグラシューマン&グリーグ:ピアノ協奏曲集/エリザーベト・レオンスカヤアルヴォ・ペルト:トラクトゥス/トヌ・カリユステ&タリン室内管 他森はねむる/デュオ ウニケコ国際的コンクールで優勝・入賞を重ね、いまや“世界的存在を狙う屈指の新鋭”と目されるクァルテット・インテグラのファースト・アルバム。4人の進化ぶりが伝わる録音で、ハイドン「日の出」は若者のフレッシュさと落ち着いた構築が兼備され、すでに経験豊富な団体の風格さえ備えてすばらしい。ドビュッシーは尖らせ過ぎずに色彩感を出しながら、構えの大きい演奏で巧みに聴かせて、これも見事。最近メンバーが交代し、当盤が「オリジナルメンバーでの最初で最後の録音」になってしまったが、“日本の期待の若手”時代の力量を後に伝える、貴重な記録ともなるだろう。(林 昌英)近年も精力的にアルバムをリリースしているレオンスカヤ。新譜はシューマンとグリーグのピアノ協奏曲という鉄板のカップリングアルバムだ。御年78歳のレジェンドはこの二つの作品で、オーケストラとともに奏でる場面では華やかな対話を、ピアノのみとなる場面では深い抒情性を丁寧に強調する。流麗なテンポの中にも、音楽の“語り口”を聴かせるかのように、繊細な間合いを持たせる。共演のザンデルリンク率いるルツェルン交響楽団はふくよかなハーモニー、管楽器の立体感あふれる対旋律などが見事で、まるで室内楽のようにレオンスカヤと一糸乱れぬアンサンブルを聴かせる。(飯田有抄)1935年生まれのペルトの近作を集めた。大半は21世紀に入って書かれた合唱・声楽曲か、過去の合唱曲の近年の器楽への編曲版だ。アルカイックで物悲しい旋律がゆったりと流れる“ペルト調”は総じて共通しているが、モナコ大公在位50年を記念した晴れやかな「都上りの歌」やハンセン病患者に施しを与えたという「アガトン師」のように、機会音楽やドラマ性を持った作品もあり、パレットの広がりが感じられる。演奏者たちの丁寧な演奏が作品に込められた慎み深い信仰心を掬い上げ、録音会場となったエストニアの教会がそこに柔らかい残響の衣を纏わせている。空間に滲み広がるハーモニーが美しい。(江藤光紀)それぞれフィンランド・日本を拠点に活躍するヴァイオリニストの藤田有希とピアニストの安保美希によるユニット「デュオ ウニケコ」のデビュー盤である。ともにシベリウス・アカデミーで学び、北欧の作曲家による器楽曲はもちろん、歌曲や民謡をレパートリーとして多彩な演奏活動を行ってきた。本盤にはシベリウスやグリーグ、ぺッテション=べリエルの作品をはじめ、フィンランドやカレリア地方の民謡など幅広い楽曲が収められている。藤田の奏でる優しく温かい音色に安保のふくよかな響きの音色が溶け合い、各曲のもつ空気感を丁寧に伝えてくれる。 (長井進之介)ハイドン:弦楽四重奏曲第63番「日の出」/ドビュッシー:弦楽四重奏曲クァルテット・インテグラ【三澤響果 菊野凜太郎(以上ヴァイオリン) 山本一輝(ヴィオラ) 築地杏里(チェロ)】シューマン:ピアノ協奏曲/グリーグ:ピアノ協奏曲エリザーベト・レオンスカヤ(ピアノ)ミヒャエル・ザンデルリンク(指揮)ルツェルン交響楽団ペルト:リトルモア・トラクトゥス(トヌ・カリユステ編)、グレーター・アンティフォナI - VII、都上りの歌、セクエンツィア、アガトン師、ジーズ・ワーズ…、来たれ創造主なる聖霊よ、天にいますわれらの父よ(トヌ・クルヴィッツ編)トヌ・カリユステ(指揮) タリン室内管弦楽団 エストニア・フィルハーモニー室内合唱団 他フィンランド民謡:さあ さあ たばこを巻いて/カレリア地方の民謡(メラルティン編):すてきな夜を/ステンハンマル:森にて/ペッテション=ベリエル:組曲 op.15より「ゆりかごの歌」「セレナータ」/グリーグ:夜想曲/シベリウス:逢瀬から帰って来た少女/アルヴェーン:森は眠る 他デュオ ウニケコ【藤田有希(ヴァイオリン) 安保美希(ピアノ)】ナミ・レコードWWCC-7999 ¥2750(税込)ナミ・レコードWWCC-7998 ¥2750(税込)ワーナーミュージック・ジャパンWPCS-13846 ¥3300(税込)ユニバーサル ミュージックUCCE-2106 ¥3080(税込)
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