62Interview赤坂達三(クラリネット)世代を超えた実力派が集う貴重な機会 日本では珍しいソロ・クラリネット奏者として活動を続ける赤坂達三。これまでも多彩な演奏活動、録音を行ってきたが、この3月には「世紀のスーパー・トリオ」と題したコンサートを開催する。共演者には清水和音(ピアノ)、笹沼樹(チェロ)という実力派アーティストが揃った。 「日本のクラシック界が一丸となって音楽を全国に届ける『クラシック・キャラバン』に参加させていただいたのですが、共演者の中に笹沼さんがいました。彼を見ていると、楽屋の隅っこで、絶えず練習をしているのです。それで、彼と一緒に共演したらどうなるだろう? と思っていたら、笹沼さんから『今度一緒に共演しましょう』と仰っていただいて。たぶん、僕と彼は親子ほどの世代の開きがあるのですが、これまでの音楽生活を振り返ってみると、自分と同じ世代のアーティストと共演することがほとんどで、世代が違うアーティストとはほとんど演奏を行ってこなかったような気がしました。そこで、こちらもかなり久々の共演となる和音さんを誘って、トリオのコンサートをやりましょう、ということになったのです」 と赤坂は語る。そのプログラムはもちろんクラリネットを主体としたものになるが、それだけではない魅力もある。 「3人で演奏するのはロシアの作曲家練のタクトによって明らかにされるに違いない。演奏会前半にはブリテンの「セレナード」が、イアン・ボストリッジの独唱で演奏される。ボストリッジは、現代最高のテノールの一人であり、とりわけブリテンの歌曲を十八番のレパートリーとしている。この作品ではホルンも活躍し、名手アレッシオ・アレグリーニが参加するのもうれしい。バーメルト&札響の集大成というべき東京公演に期待したい。1/31(水)19:00 サントリーホール問 札幌交響楽団011-520-1771 https://www.sso.or.jpグリンカの『悲愴トリオ』です。作曲家がまだミラノで学んでいた時代の作品で、オリジナルはクラリネット、ファゴット、ピアノの三重奏ですが、今回はファゴットをチェロに置き換えます。時にオペラを感じさせるような旋律の魅力があり、日本ではほとんど演奏されないこともあって、この機会にぜひ取り上げたいと考えました。他にクラリネット三重奏の王道ともいえる2作、ベートーヴェンの『街の歌』とブラームスのクラリネット・トリオを演奏します。 さらに、チェロとピアノによるシューマンの『アダージオとアレグロ』、クラリネットとピアノによるバルトークの『ルーマニア民族舞曲』を組み合わせます。僕からアイディアを出して決まったプログラムで、クラリネットを中心とする室内楽の魅力、ベートーヴェンからシューマン、ブラームスと続くロマン派室内楽の魅力も堪能できるものになります。その流れのなかで、世紀のスーパー・トリオ3/27(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 チケットスペース03-3234-9999 https://www.ints.co.jp世代も、育ってきた環境も違うアーティストと共演することで新しい発見があれば、個人的にも嬉しいし、お客様にも喜んでいただけると思っています」 バラエティに溢れた音の世界が広がるコンサートを期待したい。マティアス・バーメルト ©Y.Fujii取材・文:片桐卓也文:山田治生札幌交響楽団 東京公演 2024集大成となる公演を二人の大家が彩る マティアス・バーメルトが首席指揮者として札幌交響楽団との最後の東京公演を行う。スイス出身のバーメルトは、バーゼル放送交響楽団音楽監督、現代音楽祭「ムジカ・ノヴァ」やルツェルン音楽祭の監督などを歴任。2018年から札響の首席指揮者に就任、その演奏も高く評価されている。 今回の東京公演では、生誕200年となるブルックナーの交響曲第6番が取り上げられる。第5番と第7番という大作に挟まれてやや小振りであるが充実した作品である第6番の魅力が、バーメルトの熟
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