第2005回 定期公演 Cプログラム2/9(金)19:30、2/10(土)14:00 NHKホール問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp2/17(土)15:00 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール問 かつしかシンフォニーヒルズ03-5670-2233 https://www.k-mil.gr.jp58フレッシュ名曲コンサート広上淳一 × 北村明日人 × 東京フィルハーモニー交響楽団クラシックと映像音楽の絢爛たるコンビネーション 燦々と輝くようなプログラムによる名曲コンサートだ。その輝きの源となるのは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。この楽聖の書いたもっとも華々しいピアノ協奏曲を奏でるのは、独奏の北村明日人、広上淳一の指揮による東京フィルハーモニー交響楽団だ。 北村は、4年半のスイス留学から帰国して東京藝大大学院を修了した俊英ピアニスト。2022年にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを獲得するなど成長著しい。得意なレパートリーはドイツの作曲家で、その澄み切った響きで、色彩豊かなベートーヴェンを奏でてくれるだろう。 「モルダウ」も名曲コンサートの定番曲。今年生誕200年を迎えるスメタナの連作交響詩「わが祖国」の第2曲だ。川の流れに沿って、さまざまな情景が生き生きと描かれる。 コンサートのもう一つの柱として、映画やテレビの世界で親しみのある音楽年、妻コージマの誕生日を祝った作品。シュトラウスは少年時代からワーグナーに夢中になり、やがてコージマの知遇を得てバイロイト音楽祭で指揮者を務めた後、大作曲家への道を歩んだ。 オーケストラの機能性を最大限に要求する「英雄の生涯」は、N響にとっても得意のレパートリーだ。現在の首席指揮者ファビオ・ルイージも前任のパーヴォ・ヤルヴィもこの曲で名演を聴かせてくれた。だが、大植の広上淳一 ©Greg Sailorが並ぶ。『ハリー・ポッターと賢者の石』の「ヘドウィグのテーマ」は、映画音楽の重鎮にして、90歳を超えなお指揮者としても活躍するジョン・ウィリアムズの作品だ。 大河ドラマのメインテーマ曲も登場する。『軍師官兵衛』(菅野祐悟)、『麒北村明日人 ©ヒダキトモコ麟がくる』(ジョン・グラム)、『篤姫』(吉俣良)、『真田丸』(服部隆之)、『どうする家康』(稲本響)の5曲を演奏する。縁取りはっきりと描く広上、そして重厚にして華麗な響きをもつ東京フィルによって、ドラマの興奮を再び呼び起こしてくれるに違いない。大植英次 ©飯島 隆「英雄の生涯」は彼らとはまた違ったタイプの雄弁な演奏になるのではないか。新たな英雄の誕生を期待したい。文:飯尾洋一文:鈴木淳史大植英次(指揮) NHK交響楽団ドイツ・ロマン派ふたつの英雄物語 N響定期に大植英次が帰ってくる。大植は2021年4月、コロナ禍のなか定期公演に代わって開催された演奏会で久々にN響に招かれ、シベリウスの交響曲第2番ほかを指揮した。その好評を受けて、この2月に1999年の初共演以来四半世紀ぶりとなるN響定期出演が実現することになった。大植は大阪フィル桂冠指揮者、ハノーファー北ドイツ放送フィル名誉指揮者。恩師レナード・バーンスタインの薫陶を受け、ミネソタ管弦楽団音楽監督やハノーファー北ドイツ放送フィルの首席指揮者、大阪フィル音楽監督、バルセロナ交響楽団音楽監督といった要職を歴任してきた。 今回のプログラムはワーグナーの「ジークフリートの牧歌」とリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。得意の作曲家ふたりの名曲を並べ、19世紀後半のドイツ音楽の系譜をたどる。「ジークフリートの牧歌」はワーグナーが長男ジークフリートの誕生の翌
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